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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー 『ブラック・ファイル 野心の代償』 ダメなこの映画最大の謎はキャスティング!

『ブラック・ファイル 野心の代償』

2016年/アメリカ

監督:シンタロウ・シモサワ
出演:ジョシュ・デアメル、アンソニー・ホプキンス、アル・パチーノ、イ・ビョンホン
配給:松竹
公開:2017年1月7日より新宿ピカデリー他にて公開中


「あれ、こんな映画、上映していたの?」
と思う方は多いはず。
主演はあまり知らないけれど、他には大物・有名俳優がゾロリ。
その割にはまったく話題にはなっていない。
そう、せっかくここまでいい俳優を揃えたのに、
残念な出来になってしまい、アメリカでは酷評。
ヒットもせず、日本でもひっそりと公開されることになった作品。
それでも公開されるのは、Tsutayaとかゲオの棚に並ぶ時、
「未公開」だと借りる人がいなくなってしまうことを見越してのことだろう。

ストーリーはこんな感じ。
主人公は、一流弁護士事務所に勤める
野心家の弁護士ベン(ジョシュ・デアメル)。
夫婦生活は冷え切っており、彼はそれを振り払うように仕事に打ち込んでいる。
ある日、彼は昔の恋人エミリーから連絡を受ける。
今は巨大製薬会社のCEOのデニング(アンソニー・ホプキンス)の愛人になっているエミリーは、
会社の不正行為を証明するファイルをベンに渡す。
ベンは、弁護士事務所の代表であるチャールズ(アル・パチーノ)に
製薬会社に対する訴訟を持ちかけるが、
思いもよらぬ方へと事件が起きる。

主人公の弁護士を演じるジョシュ・デアメルは、
『トランスフォーマー』シリーズの軍人役といえばわかるだろうか? 
その後、パッとしないながら、
BC級の低予算アクションやサスペンスで、なぜか主演をしている。
数年前のそんな映画『ファイヤー・ウィズ・ファイヤー炎の誓い』もパッとしなかったが(笑)、なぜかブルース・ウィリス、ロザリオ・ドーソン、ヴィンセント・ドノフリオ、50セントらが脇を固め、3日拘束仕事をこなし(笑)、アメリカではソフトスルー。
今回も、どうやって脇を豪華キャストで固めたのか。

主人公はそれまで万事順調だった若手弁護士。
やり手だが、やり方はグレーの部分もある野心家だ。
その彼に飛び込んだネタが、彼を思わぬ方向へと導いていく。
登場人物が引き起こす偶然が、なぜか悪い方へとばかりと進んでいくのは、この作品がデ・パルマ作品へのオマージュだから。
不安を増長させる音楽と移動し続けるカメラワークも、
もちろんデ・パルマチックと分かりきってやっている。
ところが、作品は一向に盛り上がらず、どんどんと失速していく。

確かにパチーノとホプキンスという二大俳優が出ているシーンでは
画面が引き締まる。
が、これは明らかに彼らのキャリアの無駄使いだ。
また、「謎の男」としてイ・ビョンホンが登場するが、
彼の役割も「不安を煽る」以外は無意味。
これも無駄な出演としか思えない。

デアメルの演技が木偶の坊なのか、それとも演出がスタイルにこだわりすぎて下手なのか(それとも両方なのか)、
見ていてハラハラも感情移入もしない。
つまり、いくら事件が起きても、
「どうでもいい」としか思えない状態なのだ。
スタイリッシュににやりたかったのだろうが、
たとえば主人公にライアン・ゴズリングあたりを持って来れば、
もっと見応えがあったかもしれない。

アメリカの映画評では、
「この映画に謎があるとすれば、なぜパチーノとホプキンスが出たのか。それが最大の謎である」
とまで、皮肉を書かれたが、僕も同感。

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# by mahaera | 2017-01-19 15:17 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『ミューズ・アカデミー』 ドキュメンタリーとフィクションの合間を狙う演出だが、、

ミューズ・アカデミー

2015年/スペイン

監督:ホセ・ルイス・ゲリン
出演:ラファエレ・ピント、エマヌエラ・フォルゲッタ、ロサ・デロール・ムンス
配給:コピアポア・フィルム
公開:2017年1月7日より東京都写真美術館ホールにて公開中


日本では2010年に公開されたスペインの監督
ホセ・ルイス・ゲリンの『シルビアのいる街で』(2007年製作)。
名作とか傑作というわけではないが、
ちょっとそれまでになかった新鮮な映画体験をさせてくれた。
ストラスブールの町でひとりの青年が
かつて会った女性の面影を追い求める話だが、
物語はあってないようなもの。
ただ、ひたすら映画を見ている間、自分の聴覚や視覚が
研ぎ澄まされていくという珍しい体験をした(サウンド設計は話題になった)。

今回、東京都写真美術館ホールで、ゲリン監督の連作上映が行われることになり、この2015年作品も公開される運びとなった。
バルセロナにある大学で、イタリア人の教授が
ダンテやペトラルカといった古典の詩を通し、
男に芸術的なインスピレーションを授ける
現代のミューズについての講義をしている。
教室では生徒たちの意見が白熱化する。
そのテンポに慣れた頃にカメラは教室を離れ、
教授の家での教授と妻の会話になる。
あれ、これってドキュメンタリーじゃなかったの?
実は、これはフィクションだったのだ。
教室で高尚なことを話す教授だが、
プライベートでは教え子たちと浮気して痴話喧嘩もする教授。
学問と現実の落差が、コミカルにも描かれる。

今回はそうしたドキュメンタリーに見せたフィクションという仕掛けがあるものの、ペトラルカやダンテの引用やそれについての講義がけっこうあるので、見ていてその素養がないとちょっと辛い
(そもそも何を話しているかわからない)。
ベアトリーチェとかグウィネヴィアとか、
欧州の人はそもそも教養として知っているのか。
ドキュメンタリーとフィクションの垣根を取り払う試みは面白いが、それが題材とうまく相乗効果を生み出しているのかは、
いまひとつ。
1時間を超えると、緊張よりも退屈さを生み出してしまった。
キレが欠けるというべきか。
個人的には「ふーん」で終わってしまった作品で、期待はずれかなあ。
★★
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# by mahaera | 2017-01-18 11:25 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー 『MERU[メルー]』  クライマーが自ら撮った迫力ある映像! そして人間力が必要です

MERU[メルー]

2015年/アメリカ

監督:ジミー・チン、エリザベス・チャイ・バサヒリィ
出演:コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズターク、ジョン・クラカワー
配給:ピクチャーズデプト
公開:12月31日より新宿ピカデリー他にて公開中
公式HP: meru-movie.jp/


僕が仕事を受けているウエブの映画紹介欄。
先方から回ってくる映画は、
いちおう「この人にはこの映画」みたいな設定があるらしく、
ベタベタの恋愛映画やホラー映画はあまり回ってこない。
あと、おしゃれな女子映画も(笑)
で、なぜか登山映画は、必ず回ってくる。
いや、僕は登山もしたことがないし、
ふだんからそんなに興味があるわけではないのだが、
仕事で10数本見ていて、しかも原稿を書くので調べているうちに、
まあ、そこそこ知識は増えていった。
山岳映画は日本ではたいてい夏に公開されるが、
今回は珍しく年末年始にやってきた。
前置きが長くなったが、
それが今回紹介する『MERU[メルー]』だ。

これはインド北部のヒマラヤ山脈にある、
メルー峰を目指す登山家たちのドキュメンタリーだ。
2008年10月、コンラッド・アンカー、ジミー・チン、
レナン・オズタークの3人のアルピニストが、
難攻不落のダイレクトルートに挑戦。
しかし7日間の予定が20日間に延び、
山頂までわずか100メートルの地点で3人は登頂を断念する。
その後、3人はそれぞれの生活に戻るが、無念さは変わらず、
2011年、コンラッドが他の2人を説得して再挑戦を決意する。

冒頭に「いろんな山岳映画を見た」と書いたが、
様々なスタイルがある。
まず、劇映画かドキュメンタリーか。
登頂方法にしても、多くのシェルパを従えて登頂するエベレスト登山もあるし、自分たちで機材を上げて登るロッククライミングもあり、杭打ちもないフリークライミングなど、もういろいろ。
本作では、登頂する3人のうちの2人がカメラマンとなり、
うち一人が監督もしている。
撮影隊がいるわけではないのだ。
これは機材の軽量化のたまものだろう。
まあ、そうでなければ、絶壁を登りながら
自分たちを写すこともできないんだが、
もうこんなこともできるんだなあという気分にもなる。

利点としては、もう自分がそこにいるかのような
迫力を得られること。
そして3人の親密さが画面から伝わってくること。
絶壁は外部が全くいない、3人だけの空間になっている。
話としては、チャレンジ→失敗→再起→思わぬ障害→再チャレンジ→成功、という王道ものだが、それはそれでいい。
みんなポジティブすぎるのも、そう思わなければそもそも命をかけてチャレンジしないので、当たり前だろう。
ただ、登頂を成功させるのはわずかな人たちだが、
その周りには家族をはじめ、多くの人々のサポートがあるからこそだと、どの映画からも伝わってくる。
そして成功するクライマーたちはみな、
そんなサポートが受けられるほどの、「人間力」の持ち主なのだろうとも。
★★★
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# by mahaera | 2017-01-16 14:02 | 映画のはなし | Comments(0)

子供に教えている世界史〜 アルジェリアの独立とフランス第5共和制(1954〜1962年)

さて、フランスがディエン・ビエン・フーの戦いで、
ヴェトミンに敗北した1954年、アルジェリアではアラブ人による「民族解放戦線(FLN)」が結成され、
フランスからの独立闘争が始まる。

なぜ、アルジェリアは他のアフリカ諸国と違い、
すんなりと独立できなかったか。
他のアフリカ諸国は欧米人にとって原料提供地、
あるいは市場だったが、アルジェリアは1800年代から
多くのフランス人が入植し、「コロン」と呼ばれる
現地生まれのフランス人が大土地私有をしていた。
つまり、彼らはそこが故郷であり、
引き上げることもできなかったのだ。
コロンの数は約100万人おり、本国フランスにも政治的な影響力を持っていた。

FLNのゲリラ活動やテロ活動を取り締まる、
フランス政府の負担は増大していった。
そこでフランスはアルジェリアのイスラム教徒にも
フランス市民権を与えることで、
アラブ人の独立運動を手打ちにしようとしたが、
これにはコロンたちが反発する。
アルジェリアでの自分たちの絶対的優位が崩れるからだ。
アパルトヘイト時代の南アフリカのようなもので、
コロンたちは自分たちの特権を保持するため、
段階的な改革さえ認めなかった。
そこでコロンたちは軍部を動かして、
フランスのコルシカ島でクーデターさえ起こそうとする。

フランス本国でも独立容認派と阻止派が対立していた。
そこで登場したのが第二次世界大戦の英雄ド=ゴール将軍だ。
コロンたちと軍部、右翼らに支援されて
ド=ゴールは政界に復帰する。
ただし条件付きで。
それは憲法を改正して、大統領に強力な権限を与えるものだった。
1958年、フランスで憲法改正が行われ、
大統領権限を強化した第五共和政が生まれる。
国民投票でド=ゴールが支持されたのは、
この時期のフランスは常に軍部の反乱の危機にあったからだ。

ところが、ド=ゴールは大統領になると、
自分を支援したコロンや右翼たちの期待を裏切って、
アルジェリアの独立を認める方向に向かう。
彼はもうこれは時代の流れだと理解していたのだ。
1960年、1961年とアルジェではコロンや将軍達による反乱が起き、これを鎮圧したド=ゴールだが、
彼自身も何度か右翼による暗殺の危機にあう。
映画にもなった小説『ジャッカルの日』は、
このド=ゴール暗殺を題材にしたフィクションだ。
未読、未見の方はぜひ。

1962年、アルジェリアはエヴィアン協定によりついに独立。
この独立戦争の死者は100万人とも言われている。
また100万人と呼ばれるコロンたちは、最後まで独立に反対していたたため、フランスへ移住するしかなかった。
他のアフリカにあるフランス植民地は、大部分が平和的に独立したので、独立後もフランスとの関係を維持するところが多かった。

この時代、ド=ゴールは米の冷戦構造に組み込まれない、
第三の「極」を作る独自路線を目指した。
1960年にはアルジェリアのサハラ砂漠で核実験も行い、
アメリカの影響力が強いイギリスのEEC加盟も阻止している。

文化面では、フランスでは映画の新しい流れ、
ヌーヴェルヴァーグが始まっていた。
トリュフォーの『大人は判ってくれない』、
ゴダールの『勝手にしやがれ』はともに1959年に公開された。
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# by mahaera | 2017-01-13 08:38 | 世界史 | Comments(0)

最新映画レビュー『ストーンウォール』 宇宙人は撃退できるが、人間ドラマは下手だったエメリッヒ

ストーンウォール
Stonewall
2015年/アメリカ

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:ジェレミー・アーヴァイン、ジョナサン・リース・マイヤーズ、ジョニー・ボーシャン、ロン・パールマン
配給:アットエンタテインメント
公開:12月24日より新宿シネマカリテにて上映中


この映画は、1969年の夏にニューヨークのゲイタウン、
クリストファーストリートで起きた、同性愛者たちが初めて警官に立ち向かった「ストーンウォール事件」を描いたものだ。
映画を見て初めて知ったが、1960年代のアメリカでは
まだ同性愛者に対する差別が法制化されていた。

映画は、田舎町からニューヨークのクリストファーストリートに、高校を中退した青年ダニーがやってくるところから始まる。
ダニーは自分がゲイであることがばれ、高校にも自分の家にも居づらくなって逃げるようにしてここにやってきたのだ。
最初に彼を仲間に向かい入れたのは、
街娼として生きている少年や青年たちの集団のリーダー、レイだ。
ほかにも、ゲイの社会的地位の向上を訴えるインテリグループ、
ゲイを顧客に稼ぐバーのボス、
そしてそこから小銭を巻き上げる警官たちがいた。
しかし、1969年6月28日、ゲイたちが集まるバー
「ストーンウォール・イン」に警察の捜査が入ったとき、
今まで差別や迫害を受けていたものたちの怒りが爆発する。

ウッドストック・フェスの2ヶ月前といえば、
音楽ファンなら時代の空気がわかるだろうか。
黒人の差別撤廃を求める公民権運動、ヴェトナム戦争反対運動、ウーマンリブなど、人々は政府や社会に向かって、
大きな声でNOと言えるようになっていた。
しかしLGBTの権利を求める運動は、
それらに比べてさほど高まっていなかったという。
時代がまだ、そこまで追いついていなかったのだろう。

そうした歴史や社会、文化的な部分を知るにはこの映画は
興味深いのだが、映画の出来はとなると、
残念ながら繊細さに欠ける。
テレビドラマのように出来事が続き、
登場人物の心のうちの掘り下げが足りないのだ。
監督・製作は、かなり意外なのだが、『インデペンデンス・デイ』『デイ・アフター・トゥモロー』『2012』など、ひたすら人類が危機に陥る大作ばかり撮っているローランド・エメリッヒ。
彼自身はゲイであるとカミングアウトしている。

エメリッヒらしさがよく出たのは、
CGなどを使いながら再現した1969年のニューヨーク、
これは見せ方としてかなりいい線いっている。
ただし、人間ドラマとなると、どうしても映画の駒として登場人物が話を進めているだけにしかみえない。
もちろんいいシーンもある。主人公を演じる
ジェレミー・アーヴァイン(『戦火の馬』の少年だ)が
ストーンウォール・インで、ジョナサン・リース・マイヤーズと
出会う場面は、何かが始まりそうなミステリアスな雰囲気(プロコル・ハルムの「青い影」がジュークボックスから流れ)で
期待させる。
しかし、クライマックスで盛り上がるはずの“反乱”も、
それまでの人間ドラマの助走が足りなかったせいで、
高く飛び損ねてしまった。
ということで、志はよかったのだろうが、
残念な出来となってしまった作品。
★★
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# by mahaera | 2017-01-12 09:58 | 映画のはなし | Comments(0)

子供に教えている世界史 〜アフリカ諸国の独立(1955〜1967年)

米ソ冷戦の緊張と緩和が続いている中、
戦前はそのほとんどが欧米の植民地だったアフリカ諸国が、一斉に独立していく。
まず、民族や宗教などが比較的同質でまとまりやすい
北アフリカ諸国から。
戦後最初に独立した国はリビアで、1951年に王国として(1969年に軍部がクーデターを起こしカダフィがトップに)独立。
1956年にはチュニジア、モロッコ、スーダンが独立する。

サハラ以南のブラックアフリカ最初の独立は、
ガーナ共和国で1957年のこと。
初代首相は独立を指揮したエンクルマ。
翌1958年にはフランスからギニアが独立。
初代首相はセク・トゥーレ。

1960年は一挙に17の国が独立を果たしたため、
この年を「アフリカの年」ともいう。
「パン・アフリカニズム」が盛り上がり、ケニヤが独立した1963年には、アジスアベバで「アフリカ独立諸国首脳会議」が開かれ、「アフリカ統一機構(OAU)」が発足。

彼らは植民地主義を根絶することを目標にしたが、
その前途は多難だった。
というのも、欧米諸国は政治的な独立認めたものの、
経済的な支配(新植民地主義)は続けてたからだ。
また、アフリカ諸国は米ソ、ついで中国などの超大国が
それぞれ自分の陣営に引き込もうとする場となり、
腐敗や独裁がはびこった。

まず1960年にコンゴ動乱が起きる。
ベルギー領だったコンゴは、独立直後、
鉱物資源が豊富なシャバ州だけがベルギーや英仏の後押しを受けてさらに独立を果たそうとする。
中央政府は米ソや国連に助けを求め、国連軍の派遣が決定。
しかし中央政府のルムンバに対し、米CIAやベルギーが裏で画策して軍部にクーデターを起こさせて、ルムンバを謀殺。
紛争は深刻になり、最終的にはモブツが大統領になる。

また、時代は少し降るが、ナイジェリアでは部族対立から1967年にビアフラの内戦が起きる。
独立を宣言したビアフラ共和国に対し、
このときはイギリスが石油の利権のためにナイジェリア連邦政府を支援(のちにアメリカ、ソ連も加わる)。
包囲されたビアフラでは
150万人もの人々が飢餓で死んだという。
このとき報道されたビアフラの飢餓の様子は、
世界中にショックを与えた。
僕もこのとき、小学低学年だったが、
新聞でやせ細った子どもの写真を見て驚いた記憶がある。
1970年、ビアフラ共和国は降伏し、
ナイジェリアに再併合された。

これらアフリカ諸国は、独立時には高い経済成長をしたものの、次第に景気は長い低迷期に入っていくことになる。
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# by mahaera | 2017-01-11 23:46 | 世界史 | Comments(0)

最新映画レビュー『マイルス・デイヴィス 空白の5年間』 全然似ていないチードルの成り切りぶり!

マイルス・デイヴィス 空白の5年間
Miles Ahead
2015年/アメリカ

監督:ドン・チードル
出演:ドン・チードル、ユアン・マクレガー、エマヤツィ・コーリナルディ
配給:ソニーピクチャーズ エンタテインメント
公開:12月23日よりTOHOシネマズシャンテにて公開中

ジャズばかりでなく、音楽のパイオニアとして
20世紀を駆け抜けた巨人、マイルス・デイヴィス。
常に第一線に立っていた彼だが、そのマイルスが唯一、
一切の音楽活動を休止していた5年間があった。
その間、彼は何をしていたのか。
そしてそこからどうやってカムバックしたのか。
本作は、そのカムバックにいたる空白の時期を、
フィクションを交えて映画化したものだ。

1975年、マイルス(ドン・チードル)は一切の音楽活動をやめてニューヨークの自宅に引きこもる。
過去の手術の影響による股関節の痛み、ドラッグ中毒、
そして何よりも音楽への情熱が失せていた。
一向に新作を発表しないマイルスだが、
新作用のレコーディングは行っているようだった。
そこへ雑誌ローリングストーンの記者だと名乗る
デイブ(ユアン・マクレガー)が訪ねてくる。
半ば強引にマイルスの家に上がり込んだデイブだが、
インタビューではなく、マイルスの小間使いのように使われる。
一方、悪徳プロデューサーのもとで働く、かつての自分のような
有望なトランペッターのジュニア(エマヤツィ・コーリナルディ)がいた。
マイルスの家のパーティで、リハーサルテープを見つけた
悪徳プロデューサーはそれを盗み出す。
マイルスはそれを取り戻すために、
デイブとジュニアの家に向かうのだが、、、。

『ホテル・ルワンダ』、あるいは『アイアンマン』シリーズのウォーマシン役で知られる俳優のドン・チードルが以前から温めていた企画で、チードルは製作、脚本、監督、主演をつとめるほどの熱の入れようだ。
で、これがちょっと変わった映画で、
まず、伝記映画のようで伝記映画ではない。
マイルスが隠遁生活を送っていたのは事実だが、
実際にあったのはそのくらいで、マイルスに絡む記者や、
若手トランペッター、悪徳プロデューサーは架空の人物だし、
マスターテープをめぐる争奪戦やカーチェイスも
まったくのフィクション。
時おり入るマイルスの回想シーンには、有名なエピソードもあるが、ほとんどは事実とは違うかもしれない。
じゃあ、マイルスとは関係ないじゃないかと思うかもしれないが、そうでもない。
これは、ドン・チードルが考えた「マイルスはこうだ」
「マイルス大陸ならこれはこうなる」
というエッセンスをちりばめた作品だからだ。

何年か前にディランの“伝記映画”と呼ばれた
『アイム・ノット・ゼア』という映画があったが、
あれはディランのエピードを散りばめながらも、
6人の俳優がそれぞれディランを演じるという方法で撮られ、
見事にディランの“ある面”を描いていた。
本作も事実をありのままに描くのではなく、
チードルの思う“マイルスなら”というエッセンス、
あるいは妄想(笑)で描かれている。

まず、チードルの顔がまったくマイルスに似ていない(笑)
マイルスの過去に登場するバンドメンバーが、
実際のメンバーにまったく似ていないし、
似せようと努力もしていない(笑)
しかし、「似ていないが、俺はマイルスだ!」
という意気込みは伝わってくるのだ。

正直、監督デビューとなるチードル演出は、
あまりうまくない(青い)。
カーチェイスとか、空回りしているシーンもある。
しかし、チードルのなりきりマイルスは嫌じゃない。
もうファン映画のようでもあるし、またチードルに“チードルの考えるマイルス”が憑依した映画でもある。
そこにほほえましいほどの「マイルス愛」が感じられ、
憎めない一品に仕上がっているのだ。

エンドクレジットに流れるコンサートシーンは、本来カムバックコンサートを再現するのが映画としては正しい。
しかしそうではなく、「いま、マイルスが演奏したら」という形で新旧の素晴らしいミュージシャンが揃い、そこに“なりきりマイルス”のチードルが加わっているのが、この映画のスタイルなのだ。
曲もマイルスのではなく、まったくの新曲だしね。
しかし「マイルスなら」らしさはしっかり入っている。

ちなみに演奏メンバーは、ドラムはアントニオ・サンチェス(映画『バードマン』のドラマー)、ベースはエスペランサ・スポルディング、ギターはゲイリー・クラーク・Jr、ピアノにロバート・グラスパーといった、現在の音楽シーンの第一線のメンバーに、元マイルスのグループのハンコックとショーターが加わるという豪華なもの。

というわけで、出来は確かに微妙だが、
マイルスのファンの僕でも、憎めない作品であることは確かだ。
https://www.youtube.com/watch?v=W_RLLvh6aSQ
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# by mahaera | 2017-01-09 10:59 | 映画のはなし | Comments(0)