ブログトップ

旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

子供に教える世界史[古代編]古代オリエント文明(前3500〜前2300年ごろ)2・エジプト古王国時代(その5)

b0177242_17002953.jpg

(写真)ギザにあるクフ王のピラミッド。バスや馬から見ると、いかに大きいかわかる


ピラミッド建設黄金時代
前2600年頃に第3王朝から第4王朝へと変り、
ピラミッドは途中で角度が変わるスネフェル王の屈折ピラミッドなどが作られ、いよいよクフ王、カフラー王、メンカウラー王の三代の王によるギザの三大ピラミッドが建設される時代になる(前2550〜前2490年ごろ)。
なかでもクフ王のピラミッドは底辺約230m、高さ約140m(建設当時は146.5m)あり、当時の高い技術水準がわかる。

ギリシアの歴史家ヘロトドスは、
クフ王はこのピラミッドの建設のために強制労働を国民に強いて、奴隷を酷使したと述べており、
そうしたイメージが今にいたるまでついてしまっているが、
近年の研究ではそうではなく、「失業者対策」の意味も兼ねていたという説が有力になっている。

石材はアスワンで大きく切り出され船で運ばれ
ギザに近いナイル河畔の石切場でブロック
整えられて運ばれる。
ピラミッド建設の主要期間は、増水となる農閑期の4か月だ。
この時期はナイルも水量を増しているから、
川の流れも早かったろう。
建設現場近くには労働者村が築かれ、
そこで労働者は家族たちと暮らしていた。
食料はファラオの食料庫から提供されており、パンやビール、精がつくようにニンニクとタマネギが配られたという。
食うにも困る人々は、
ここで働けば少なくとも食は補償されたわけだ。
また、徴用されたとしても、当時のエジプトの人口からすると数年から10年に1度、それも4か月ぐらいの働きなので、古代中国の兵役に比べればさほど負担ではなかったろう。
しかもクフ王のピラミッドは建設に30年もかかった
というから、早く完成することが
そもそも目的でなかったのかもしれない。
ピラミッド建設のようなこうした大規模な公共事業は、
それ以外の効果ももたらした。

エジプト各地から人を集めるのには、各地域の正確な人口を知らなければならないから、人口調査が行われたことだろう。
また、様々な地方から来る人々の間に共通言語が生まれたり、同じ神を信じることから
エジプト人意識も進んだりしたことだろう。
大規模な土木工事には官僚制の整備も必要であり、またファラオにならない王族に役職を与えるのにも好都合だった。

(続く)


[PR]
# by mahaera | 2018-11-15 17:02 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

「子供のための世界史」関連本紹介4(古代オリエント)その1「毛皮と人間の歴史」「シュメール―人類最古の文明の源流を辿る」

b0177242_10595457.jpg

毛皮と人間の歴史
 紀伊國屋書店 2003年 西村三郎

図書館で探したけど、ありそうでなかった人間の衣服歴史本。

この本はタイトルにある通り、服飾の中でも毛皮に絞ってあるが、最初の頃の古代の章では人類が服を着始める頃のことについても記してあって参考になった。
特に資料から具体的な数字を引いているので
イメージしやすい。
世界史の教科書からは、古代人の服装をイメージしにくい。
まだ布が高価な時代、自分では、古代の一般庶民は手に入りやすいヒツジやヤギ、犬などの毛皮を下半身に身にまとっていたと思っていたが、どの歴史本でも言及していなかったので謎だった。
しかし、この本ではローマ時代の物価の資料で、
その3種の皮が取引されていたことが出てきて
ようやく納得がいった。中世以降は、
具体的な毛皮の貿易量が出てくるので、これも参考になる。
★★★☆


シュメール―人類最古の文明の源流を辿る
 アリアドネ企画 1998年 ヘルムート ウーリッヒ

タイトルのようにシュメール文明の研修者による解説本なのだが、構成のせいなのか、翻訳のせいなのか、大まかな流れがわかりにくい。
ページを読み進めていっても、50ページ前からどのくらい歴史が流れていったのかがわかりにくいのだ。
もちろん一冊まるごとシュメールなので、
詳しいことは詳しいのだが、読み終わっても、
あまりシュメール人のことが生き生きと伝わってこないのが
残念。★★


[PR]
# by mahaera | 2018-11-13 11:01 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編]古代オリエント文明(前3500〜前2300年ごろ)2・エジプト古王国時代(その4) エジプト初期王朝時代


b0177242_13592174.jpg
(写真)サッカーラの階段ピラミッド

さて前回、エジプト神話でオシリスの息子のホルスが、
父の弟で仇であるセトを打ち負かして王になったと述べた。
これは初期王朝のころは、セト神とホルス神を信じる
グループがおり、その抗争後、
和解して統一したということかもしれない。
ただし初めてエジプトが統一されたころは、
王はまだ上エジプトの有力者の中の第一人者にすぎなかった。
だから強力な王権を確立するために、首都を下エジプトに近いメンフィスに移し、各地に遠征も行ったようだ。
第二王朝のころにはエジプトが青銅器時代に入り、
シナイ半島にある銅山を手に入れている。

この初期王朝時代に、古代エジプトの文字であるヒエログリフが生み出された。これは絵文字から発達したもので、
やがて早く書きやすいようにやがて様式化されていく。
神官文字(ヒエラティック)からやがてもっと簡略化された民衆文字(デモティック)が作られるが、
それはもっと時代が下ったころだ。

書記は穀物の量や家畜の頭数を調査して税の基準とし、
また土木事業の進行具合を記録し、
戦時には軍団にも同行して記録を残した。
記録は木製のパレットに赤と黒の絵の具を入れ、
葦の筆でパピルスの紙に文字を書いた
神殿には膨大な書類があり、専門の書類整理係がいた。
シュメール人が粘土板に楔形文字を刻んでいたころ、
エジプト人も同じようなことをしていたのだ。
世界史の中で文字の発達は、まずは税の管理から始まった。
しかし書類がパピルスだったエジプトならいいが、
粘土板だったメソポタミアの書記は大変だったろうな。
上司に「おい、去年の資料持ってこい」と言われると、
その重労働におびえたことだろう。
粘土板100枚とか重そうだもの。


ピラミッド建設の開始(エジプト古王国時代)

さて、次に続く第3王朝から第6王朝までの約500年間(前2686〜前2181年)が「古王国時代」だ。
エジプトは上下エジプトの境界であるメンフィスを都として栄え、ピラミッドが数多く建設された。
この時代に王であるファラオの力は確立し、
神と同一視される神権政治が確立した。
ピラミッドが最初に作られたのは、
第3王朝の2代目の王ジェセル(前2630年頃)の時で、
それがサッカーラにある階段ピラミッドだ。
石造りの巨大建築としてはエジプト初で、
建設当時はピラミッドの周辺に王宮や神殿もある
複合施設だった。
最初ということで建設中に何度も計画が変更され、
このピラミッドだけ底辺が正方形ではない。
この階段ピラミッドは形がメソポタミアのジッグラトに似ているので、その影響を受けたというのが定説だ。
それがエジプト独自で発展していき、
方錐形の「真正ピラミッド」に発展していく。(続く)


[PR]
# by mahaera | 2018-11-12 14:02 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

最新映画レビュー『ボヘミアン・ラプソディ』 クイーンというよりフレディの半生を描いた伝記映画。王道の作り


ドドパッ、ドドパッ、we will we will ROCK You !

という訳で、日本でもものすごい宣伝費かけている
フレディの半生を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』、
公開になったので紹介です。
この映画、試写が日本でもギリギリだったので
ちょっと心配したけど、中身はひとまずホッとする出来。
監督がちょっと苦手なブライアン・シンガー(『Xメン』シリーズ)なんで外したらと思ったけど、かなり王道というか、
ストレートすぎる作り。
『グレーテスト・ショーマン』ぐらい、深読み不要なわかりやすい作品だ。

映画は、クイーンというよりフレディの映画で、
フレディがクイーンに参加するあたりから、
1985年の伝説のライブエイドのパフォーマンスまでを描く。
このあたり、もっとアルバムやシングルごとにいろんなエピソードを見せて欲しいところなんだが、わりとサクサク進んで行く。
クイーンと日本の関係もセリフでさらっと触れられるぐらいで、ほぼ無視されているのが残念。
正直、クイーンの他のメンバーの描き方は書き割り背景に近く、内面にはほぼ踏み込んでいかない。
あくまでフレディの物語を進めるための進行役といった感じだ。
でも、ときどきサービスで名曲誕生秘話も入れている。

この映画で知ったのは、フレディの上顎の歯が
ふつうより4本多いということ。
そのため、口元がむきむきっとしているのだが、
映画でもバンドにボーカルとして入りたいとフレディが言うと、
メンバーに「歯医者に行け」的に言われるシーンがある。
あとは、クイーンのデビューの頃は印パ戦争があったころなので、イギリスには難民も多かったのだろう。
「パキ野郎」と一般人に罵られるシーンがあるが、
当時、日本のファンはフレディがインド系ってほとんど知らなかったと思う。

フレディの出生名は、ファルーク・バルサラ
生まれたのは父親の仕事でアフリカのザンジバルだが、
8歳からはムンバイで成長。
ロックバンドなどを結成するが、ボリウッド映画の
音楽の影響も受けていたようだ。
17歳の時にイギリスに家族で移住するが、
映画では幼少時代のことには触れてはいない。
ただし、フレディの家族のシーンで、
彼が自分の出自にコンプレックスを持っていたことが示される。

クイーンとしてデビューしてからのバンドの成功物語は、
あっさり、ひとすら登り調子として描かれているが、
それと並行してフレディの性についてもきちんと描かれる。
今ではフレディがゲイであることは誰でも知っているが、
当時はそれは噂程度だった。
最初の頃は、女性の恋人を連れて来日もしていたし。
映画では、フレディがメンバーから孤立していく様子を、
スタッフひとりの悪者に集約しているが、実際はどうだったのだろう。
映画なので史実通りでなく、
余計な枝葉の部分は切られているのだが。

ドラマ部分は物足りないところは多い(テレビ的というか、昔の娯楽映画を見ているぐらいさらっと進む)が、音楽シーンになると俄然盛り上がる。
何だかんだで、ライブエイドの演奏シーンを再現したクライマックスは、鳥肌ものだ。
大観衆をCGで作ったのかな。
これは劇場の大音響で見ないとダメでしょ。
あ、あとフレディ役のラミ・マレックさん、
熱演しているが似てない
これは当初の配役のように、サーシャ・バロン・コーエン(ボラットさん)にやってほしかったかも(笑)。
★★★

[PR]
# by mahaera | 2018-11-11 13:01 | 映画のはなし | Comments(0)

2018年11月8日 斉藤和義presents西日本豪雨復興チャリティコンサート ZEP DVER CITY

b0177242_12490355.jpg

斉藤和義presents西日本豪雨復興チャリティコンサート

11月8日、ZEP DVER CITYにて、
斉藤和義が発起人で、ノーギャラで出演してくれる友人たちを招いてのライブ。

あっという間にチケットが売り切れてしまったようで、2階席から1階を見ると、もうすし詰め状態。

でもまあ、収益金は寄付に回すので、いっぱい入ったほうがいいのかな。。
ノーギャラなんで、バンドメンバーは雇えない(その分は寄付に回す)ということで、基本的には出演者のソロライブ(2曲交代、1曲目がソロ、2曲目が斉藤と)と出演者によるバンド編成のライブ。

割と代表曲をやっていたようです(あまり知らない人もいるので)。以下、出演順に感想などを。

1. 斉藤和義 月光、ウサギとカメ
 挨拶とアコギによるソロ。メッセージ色ある2曲。歌詞がいい。

2. YO-KING(倉持陽一)Heyみんな元気かい、素晴らしきこの世界
 「素晴らしき」は斉藤も加わり2人で。声が圧倒的にいい。なんかここまで全て吉田拓郎にカバーしてほしいなと思う曲。なぜか。「Heyみんな元気かい」はKinkiが歌ってたのね。知らなかった。

3. 寺岡呼人 大人、紳士協定
 この人の曲だけ、なんか違うジャンルの人だと思いました。歌い方もあるけれど、いわゆる普通のJ-pop

4. 浜崎貴司 幸せであるように、オリオン通り

 「幸せであるように」弾き語りで聴かせてくれました。本当に歌心があってよかった。コード進行は、Just a two of usなのなのね、

5. 奥田民生 マシマロ、イージュライダー
 結構酔っ払っていたみたいで、話噛み合わなかったり、ものまねしてたりと、けっこうグダグタ(笑)。まあ、いつものことか。でもうまいから得。

6.カーリングシトーンズ
 トータス松本抜きだが、企画バンド「カーリングシトーンズ」の曲を2曲。寺岡ベース、ギター浜崎、YO-KING、奥田と斉藤は曲によってドラムとギターを交代して2曲。おっさんたちの遊び場。斉藤の曲は、KinksのCome Dancing風。


b0177242_12493043.jpg

7.藤原さくら 500マイル、君の友だち
 この人初めて見たが22歳なのね。斉藤のセクハラ発言のかわしが笑えた。2曲とも、洋楽の有名曲カバー。

8. Chara Swallowtail Butterfly〜あいのうた、レモンキャンディ
 珍しくCharaのピアノ弾き語りに斉藤がドラムでリズムをつける「Swallowtail」。二人とも緊張したといっていたが、確かに緊張しているのがわかった。この曲、すごくいい曲だな。「レモンキャンディ」は岡村靖幸がCharaに提供した曲ということで、ここで岡村靖幸登場。会場、大いに盛り上がる。Charaのステージ、余裕の中にもピリッとしていてよかった。

9. 岡村靖幸 家庭教師、即興ブルース
 岡村ひとりになり、リズムマシンに乗りアコギで自分のヒット曲。これがかっこうよかった。その後、斉藤と2人でアコギで即興の歌詞でブルース。これがまた様になっていて、良いステージ。

10.荻野目洋子 ダンシングヒーロー
 斉藤和義が最近ツアーの余興で、ダンシングヒーローを踊っているということで本人がサプライズ出演。カラオケだが、キレキレの踊りと歌唱で、昔のアイドルはさすがと感心。個人的にはここが一番の盛り上がりだったかも。後では斉藤、奥田、浜崎、YO-KINGが踊る

11. 出演者全員(岡村除く) 歩いて帰ろう
 まあ、岡村ちゃんはこういうのやらないでしょう。和気藹々と全員で。ドラムは奥田。

12. 斉藤和義 空に星が綺麗
 最後はアコギ一本でしめる。


1965年生まれ奥田、浜崎、岡村、1966年生まれ斉藤、967年生まれY0-KING、1968年生まれ寺岡呼人、Chara、荻野目洋子と、藤原さくら以外はほぼ同世代の50代前半。僕よりは少し下だけど、ノリ的にはよくわかる感じ(笑)。ボリュームたっぷりで楽しめました。


[PR]
# by mahaera | 2018-11-09 12:51 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編]古代オリエント文明(前3500〜前2300年ごろ)2・エジプト古王国時代(その3)

b0177242_12071877.jpg
(写真)太陽神ラーとファラオ。ラーの頭はハヤブサで、頭上には太陽を表わす円盤を載せている(アブシンベンル神殿)

エジプトの統一

ナイル川沿いに40以上あった小国家であるノモスだが、
やがて上エジプトと下エジプトの2つの王国にまとまり、
前3100〜前2900年頃には上エジプトのナルメル王(別名メネス王)が下エジプトを征服しエジプトを統一する。
都は上下エジプトの境界線であるメンフィスに建設された。
メンフィスは現在のギザの20キロほど南にあり、今では遺跡が残っているだけだが、古王国時代を通じて首都となる。

古代エジプトの王朝区分だが、
このナルメル王の統一からアレクサンドロス大王による征服までを約30の王朝に分けている。
そのうち重要な時代を、古王国、中王国、新王国の3つの時代に分けているが、細かく言うとそれぞれに中間期があり、
前後に初期王朝時代や末期王朝時代がつくので、
全部で8つに区切られる。
が、試験にはそこまで細くは出ないし、マニアでなければそういうものがあったぐらい頭に入れておけばいいだろう。

「初期王朝時代」と呼ばれる第一王朝と第二王朝時代は、
教科書レベルだと取り上げられないが、
ここはエジプト王国の王権が確立された時期だと思えばいい。
王はハヤブサの神ホルス神の化身とされた。
この時期は、のちに伝わるエジプト神話が形成される時期でもあった。
歴史的にはわからないことが多いが、神話にそのヒントが残っているかもしれない。

エジプトの創生神話

万物を創生した太陽神アトム=ラーは、大気の神シューとその妻の湿気の女神テフネトを作り、その2人は大地の神ゲプと天空の女神のヌトを生んだ。
ゲプとヌトの間には4人の子供がおり、兄のオシリスと姉のイシス、弟のセトと妹のネフティスがそれぞれ結婚する。
オシリスはエジプトの王となり、善政を行って人々に慕われるが、それを妬んだ弟のセトに殺されてしまう。
ところが殺されたオシリスはイシスによって復活する。
セトはオシリスが生き返らないように、
今度は殺してバラバラにして各地に撒いてしまうが、
イシスは忍耐強くパーツを拾い集めて
またオシリスを復活させる。
いろいろあって最後にはオシリスの息子のホルスがセトを打ち負かして、この世の王となる。
この神々の争いはエンタメ映画『キング・オブ・エジプト』で描かれていた。
映画自体は酷評されたが、エジプト神話を散りばめた作品と見れば参考になる。(続く)


[PR]
# by mahaera | 2018-11-08 12:08 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

最新映画レビュー『ヴェノム』 ヴェノム、いい人じゃん! 期待は高かったが、物足りない出来となった


2018年/アメリカ

監督:ルーベン・フライシャー
出演:トム・ハーディ、ミシェル・ウィリアムズ、リズ・アーメッド
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:11月2日より全国公開中

アメリカで大ヒットし、日本でも初登場一位と、興行収入では大成功を収めた作品。

しかし評論家受けはうまり良くない。では実際はどうなのか。

ヴェノムは、アメコミではスパイダーマンシリーズの悪役で、トビー・マグワイア版の『スパイターマン3』にも登場している。

記者エディ・ブロックが宇宙からの生命体シンオ・ビートに寄生されてしまう。

彼はスパイダーマンを逆恨みしていて戦いをしかけるが、彼の中では自分が善、スパイダーマンが悪と信じている。


今回の「ヴェノム」は、スパイダーマンシリーズとは直接関係なく、単独で完結する作品。

宇宙から未知の生命体シンオビートを回収し、人体実験をしている財団があった。

そこに潜入した記者エディがシンオビートに寄生されてしまい、“ヴェノム”となる。

財団からの追っ手と戦い逃走するエディ。

ひとつの体に、2つの人格があるというキャラは、日本の「寄生獣」とほぼ同じだ。


予告編では「最強の悪」が強調されていたが、映画ではそんなに悪くない。

いや、ヴェノムいい人なんじゃないのという感じなのだ。

もちろん主人公として共感できるようにというキャラ変更はあるのだろうが、人間臭い。

それに年齢規定をクリアにするためだろうが、バイオレンス描写が生ぬるい。

血しぶきも不自然なくらい飛ばない。そのものを見せなくとも、血だまりぐらいは見せてもいいでしょう。残酷なキャラなら。

寄生されて驚くエディ。そしてエディとの会話シーンは、「寄生獣」のミギーとのユーモラスな会話そっくり。

つまり、ちょっと笑えるコミカルなシーンだ。

たぶん、トム・ハーディ演じるエディ自体のキャラが、わりとフツーな人なので、ヴェノムの“悪”感がないのだろう。

たとえば、ウルヴァリンの『ローガン』のようなハードボイルド的なキャラなら、もっと違っていたろう。

エディが普通に善悪の基準を持っている(正義感がある)というキャラなので、「ヴェノムいい人じゃん」と、生ぬるく感じるのだ。


最終的に彼が戦うものは何か。

映画では、一緒に回収されたシンオビートの「ライオット」との戦いになる。

ライオットは地球にさらに多くの仲間を連れて来ようとするが、ヴェノムはそれを阻止しようとする。

その理由は?

それはヴェノムがエディと一体となることによって、彼を理解し、シンオビートの地球侵略を阻止ようとするというのだが、何となく弱い。

全体としては「こんなのが見たかったんじゃないのに」と、消化不良。

掘り下げが足りないエンタメ作品。

成人指定でもいいから暴れて欲しかったなあ。

★★☆


[PR]
# by mahaera | 2018-11-07 11:34 | 映画のはなし | Comments(0)