人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

映画レビュー『テルマエ・ロマエ』 原作の良さを改悪。上戸彩ありきかでガッカリ


温泉付きのホテルや旅館に行くと、たいていマンガコーナーがある。
今ではほとんど漫画は買わないし読まない僕だが、昔はけっこう読んでいた。
さて、温泉で読むのにはぴったりのマンガといえば『テルマエ・ロマエ』だろう。
以前、途中まで読んだ記憶があるが、今年ようやく全巻読み通した(温泉の置きマンガの定番なので、場所が変わっても大抵置いてあるのだ)。

最初のうちは1話完結のコメディで、主人公のローマ人の建築士ルシウスが日本の風呂にタイムスリップ。
現れるのは、日本の温泉、公衆浴場、自宅の風呂と毎回異なり、それがヒントとなり、ルシウスが悩んでいる問題を解決するという設定だ。
毎回、ルシウスが日本の風呂に驚くリアクションがおかしく、そこで得た知識を元に、それをローマで再現すると、ローマ市民ばかりか皇帝までも大喜びするというオチが毎回ついていた。

不定期掲載から人気が出て連載になると、もう少し長いストーリーが必要になり、ルシウスが話すラテン語を理解できる人物が必要になってくる。そこで、さつき(ディアナ)という女性が登場してくる。
ちなみに後半のマンガの舞台は、伊豆の伊東温泉だ。
人気があったが、作者は長く続ける気はなく、6巻で終了。
ダラダラと新しい設定が付け足しで続くことがなく、思い切りもよく、綺麗に着地して終わった。

さて、マンガを読み終わったので、話題になった劇映画版を観たのだが、これが面白くなかった。
ただルシウスを阿部寛にしたのは大正解、いや、そのアイデアだけでもっている映画と言ってもいいかも。
最初の30分ぐらいは原作に忠実で、ここは面白く見れるのだが、途中から上戸彩の出番が増えてくると、急激につまらなくなってくる。
原作の女性ヒロインのキャラを、上戸彩ありきで改変したのだろうが、これは改悪。
話の都合上だろうが、上戸彩や温泉の老人たちもローマにタイムスリップさせて、ドタバタをさせる後半は、正直見るのが苦痛。
もうこの映画、早く終わらないかなと思ってしまったよ。

映画はヒットしたが、マンガの方がずっと面白いし、映画で面白かったのはマンガを忠実になぞった部分だけ。
映画オリジナル部分は、ちょっとひどいかな。
映画は興収約60億円の大ヒットとなったが、原作者のヤマザキマリがもらった原作料が100万円程度というのもニュースになった。出版社が原作者に相談もせずに、映画化の取り決めをしてしまったのだという。
ただし、出版社(KADOKAWA)には数千万単位が映画製作委員会から支払われたという。
そんな具合だから、原作者が出版社に不信感を持つのも当然だろう。
ヒロインを改悪した上、ヒロインの名前が原作者と同じマリで、ルシウスの出会いから「テルマエ・ロマエ」の漫画を描くという映画のオチも複雑な思いで受け止めていたと思う。

ちなみに日本では映画化に際し、原作者が歩合で受け取るというのは一般的ではなく、100-200万円ぐらいを渡されるのだという。大ヒットした『鬼滅の刃』でいえば、興行収入の1万分の1ぐらいにしかならないのだ。
あとは、映画化に際しての話し合いにも原作者が参加できないことが多いので、それがストレスになることもあるようだ。

有名なのは『海猿』の原作者と映画製作をしていたフジテレビとのトラブルがある。
フジテレビが原作者に知らせることなく、グッズや書籍を販売したり、アポなし番組に出演させられたことに対する不快感が大きく、フジテレビ側が謝罪したものの、シリーズで250億円を売上げた『海猿』は、二度とドラマ・映画化されることは無くなってしまった。
原作者に対する、出版社やテレビ局、映画制作会社の傲慢さを印象付けてしまった2つの事件だった。

ちなみに、『テルマエ・ロマエ』は、Netflixで2022年にアニメ化され、配信されている。
こちらは原作者のヤマザキマリが最初から監修として関わっており、新しいエピソードも追加しているようだ。

# by mahaera | 2022-12-24 09:41 | 映画のはなし | Comments(0)

2022年11月 東北3泊4日の旅 その3 盛岡

東北旅行3日目。
この日は天気はずっと曇りで気温は15度ぐらいという予報。

晴れたら猊鼻渓の舟下りも考えていたが、こんな日は景色から色が消えるので、やめて盛岡観光に切り替える。
街ならまあ天気悪くても。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その3 盛岡_b0177242_14101302.jpeg
一関駅から新幹線で盛岡へ。さすが新幹線、40分だ。
昨日、通り過ぎた盛岡だが、駅を降りるのは初めて。
そもそも予備知識もないので、観光案内所に行って、
「4時間ぐらいで観光名所を回れるコースを教えてください」とストレートな質問。

「では、まずは周回バスのでんでんむしで、盛岡八幡宮へ行き、あとは城とか寄りながら歩いて戻って来れますよ」。

駅から東へ3kmだが、バスは2.4km地点のバスセンターまでしか行かない。
なのでそこから600m歩いていくのだが、Googleマップが進めるのは裏道で、そこはかつては栄えていたであろうスナック街。
2022年11月 東北3泊4日の旅 その3 盛岡_b0177242_14103143.jpeg
なぜここに?と思うと、江戸時代は盛岡八幡宮への参道が結構賑わっていたらしく、それはつまり花街もあったということだった。

昔から日本人は「神社仏閣にお参りした後は心が清く」ではなく、
「ハメを外して女郎部屋」というのは、日本各地の参詣地にいくとなんとなく感じる。
ただ、そういう文化は昭和になるとだんだん温泉地にとられていくんだけど。
盛岡八幡宮への参道も明治までは賑わったのだろう。
フィリピンパブがあるのはその名残か。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その3 盛岡_b0177242_14101994.jpeg
八幡宮は最近建て直されたので新しいが、釣竿で鯉を模したおみくじを釣るのが面白かった。

参道を歩いて戻って行くと、かつての銀行街。
ポツポツと1910年代に建てられた西欧風建築の建物が残っている。
2022年11月 東北3泊4日の旅 その3 盛岡_b0177242_14103770.jpeg

一つは宮沢賢治と石川啄木の展示館に。
そうか、二人は岩手が生んだ二大スターなのか。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その3 盛岡_b0177242_14104124.jpeg
中津川を渡って岩手公会堂の建物を見て、櫻山神社へ。
途中、小さな飲食街があって人が並んでいる店があるので調べたら、盛岡名物じゃじゃ麺「白龍 本店」とあるので入ってみる。
あとで地図を見ると、盛岡城の内丸内にある。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その3 盛岡_b0177242_14105343.jpeg
じゃじゃ麺とは何かというと、汁なしそばで、味が濃い味噌を麺に絡めて混ぜて食べる。
それにお好みでラー油と酢をかけるのだが、最初にラー油入れすぎて辛くなってしまった。
後は「中」を頼んだが、これが結構量が多く、博多豚骨の替え玉分足したぐらいだ。
その後、空いたお皿に生卵を溶いて入れてスープを足してもらうチータンタンも飲み、終了。
激ウマではないけど、狭い店の雰囲気やスタッフの感じもよく、なかなか満足。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その3 盛岡_b0177242_14130414.jpeg
その後は、盛岡城跡公園を歩くが、石垣しか残っていないので風景と相まって寂しい。
盛岡城跡公園を通って、材木町を歩き、盛岡駅に戻る。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その3 盛岡_b0177242_14132866.jpeg
盛岡、なかなか良さげな街だった。今度はゆっくり来よう。


# by mahaera | 2022-12-18 14:14 | 日常のはなし | Comments(0)

2022年11月 東北3泊4日の旅 その2 平泉

朝、角館を出て盛岡乗り継ぎで平泉へ。

翌日は天気が崩れるとのことなので、天気のいいうちに平泉を観光しようと、盛岡によらずにそのまま平泉へ。
でこれが正解だったかも。

というのは、午後2時を過ぎると、日が弱ってくるので、盛岡に寄っていたら平泉観光は寂しい景色になっていたろう。
失敗したのは、徒歩ではなく、自転車借りるべきだったことかな。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その2 平泉_b0177242_09472381.jpeg
早めにランチを取り、まずは藤原氏の館があった跡地へ。
もちろん今は何もない空き地だが、発掘調査で堀が巡らせてあったことがわかる。
平泉には二つ歴史博物館がある。
一つは元からあった市営の平泉文化センター
もう一つは世界遺産になったため、県が作った県立平泉世界遺産ガイダンスセンター
同じような内容のもの、ふたつははいらないのではないか。
無料で新しい平泉世界遺産ガイダンスセンターの方に行ったが、韮山反射炉といい石見銀山といい、日本のこうした世界遺産センター、大抵客がいない。
国から補助金が出たのかなあと思ってしまう。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その2 平泉_b0177242_09474112.jpeg
そこから少し歩いたところには、義経終焉の地の高館がある。
ドラマ「鎌倉殿」では平地だったが、行ってみると館の後は小高い丘の上で、
当時はここから藤原氏の館が見えたことだろう。
また丘下の片側は川が流れ、開けているので、敵がくるのも見えたろう。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その2 平泉_b0177242_09475498.jpeg
芭蕉の句碑がそばにある。ここで詠んだと伝わっている。
「夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡」

2022年11月 東北3泊4日の旅 その2 平泉_b0177242_09480051.jpeg
そこから徒歩15分ほどで、中尊寺入り口だ。
ただし入り口から金色堂までは登り坂が続き、さらに15分はかかる。
金箔が貼られた金色堂は、奥州藤原氏の時代のものだが、これだけ価値があるものが焼失も盗難にも遭わずに残っているのはすごい。御本尊は藤原三代のミイラと頼朝に敗れた四代目の頭。これらは見れない。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その2 平泉_b0177242_09480408.jpeg
中尊寺を降り、毛越寺の庭園へ。極楽浄土を模したという池を中心とした庭園だ。
冬枯れが寂しく、もっと季節がいい時に来たい。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その2 平泉_b0177242_09481201.jpeg
平泉からバスで一関へ。
4時半にはもう暗く、5時半に居酒屋で一人飯と飲みだが、手持ち無沙汰で、6時半にはもう宿に戻ってしまったよ。
冬の東北の夜は早い。

# by mahaera | 2022-12-17 09:49 | 日常のはなし | Comments(0)

2022年11月 東北3泊4日の旅 その1 角館


11月末「大人の休日倶楽部パス」を使って東北へ。
東北って、飛行機だと関東から行くのは中途半端なので、どうしても新幹線になる。
で、新幹線は値段が高いので、こうした乗り放題パスは嬉しい。
ただ、うちから東京駅に行くまでが、1時間以上はかかるけれど。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その1 角館_b0177242_12003483.jpeg
初日は秋田新幹線こまちで、秋田県の角館へ。
人生初秋田だ。
盛岡までは結構速いんだが、そこから在来線を通るので、スピードも在来線並み。
11時ぐらいに角館に到着した。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その1 角館_b0177242_12015022.jpeg
駅から15分ぐらい歩いた、公共の温泉施設に付属した宿にチェックイン。
靴箱に自分の名前が書いて貼ってあったが、それを見るとその夜、泊まるのは僕だけかもしれない。
チェックインまでは時間があるので、その間にランチと観光を。
2022年11月 東北3泊4日の旅 その1 角館_b0177242_12004740.jpeg
この町では、比内地鶏を使った親子丼とうどんが売りなので、そのセットを。
うどんといっても、そば程度の太さで、ちょっと硬めの素麺みたいな感じ。味はない。
天気は曇りがちだが、武家屋敷通りまで歩く。

石黒家、青柳家などの有料・無料の武家屋敷を見学。
武家屋敷と言っても、明治期に建てられたものが多いから、厳密には「元武家屋敷」だ。それに江戸時代にこれらの武士はすでに地元の豪農化もしていた。
というので建物内は、武家っぽいところと庄屋っぽいところ、両方ある。
2022年11月 東北3泊4日の旅 その1 角館_b0177242_12012976.jpeg
各屋敷の外側に木の板が立てかけたものを見て、
「これは隈研吾建築?」と想像してしまった。
この板張りの家が街中の民家にはなく、武家屋敷だけだったので、「隈研吾イベント開催中」だと思ってしまったのかもしれない。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その1 角館_b0177242_12061877.jpeg
気になって、建物の中の係の人に
「いつもああして板を置いているんですか?」
と聞くと
「先週からですよ。雪除けで。この辺りは1mぐらい積もりますから」
と教えてくれた。「雪囲い」というのだそうだ。
確かに、縁側がガラス張りの引き戸だと、雪に押されて割れてしまいそうだ。
自分がそんなところに住んだ事がないので想像つかなかった。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その1 角館_b0177242_12060303.jpeg
そんな目線で見ていくと、家は洋風だから囲っていなくても、木の枝が折れないように木を覆っている板がある(こちらは「冬囲い」ともいう)。
雨戸だと、真っ暗になってしまうので板の方がいいという理由か。
旅行をすると、いろいろ気がつく事がある。

紅葉は二週間前ぐらい終わり、景色はすでに冬枯れ。
来週ぐらいから雪が降るという。
2022年11月 東北3泊4日の旅 その1 角館_b0177242_12013871.jpeg
宿のフロントは、風呂の受付と同じ。
最近の湯船が複数あるタイプではなく、湯船は大きいのが一つあるだけ。無色透明なので、温泉とあるが、まあ銭湯みたい。
観光客はおらず、客は地元の人ばかり。
農家の人たちなのか、皆ガタイがいい。
夜は、部屋でサッカーを見て、そのまま二度目の風呂へ。

寝るときはあったまっていたのでそうでもなかったが、夜中には結構部屋も冷えてきたよ。

2022年11月 東北3泊4日の旅 その1 角館_b0177242_12020778.jpeg
コンビニで、夜中にお腹すいた時のためにおにぎりを買ったのだけど、見慣れぬ名前の具材が。
「ぼだっこ」って何だ?
ちなみに紅鮭おにぎりは別に売られています。
秋田では、塩を吹くぐらいの塩辛い塩じゃけのことを「ぼだっこ」といい、ご飯のお供として人気らしい。


# by mahaera | 2022-12-14 12:06 | Comments(0)

映画レビュー『キャメラを止めるな!』 割と忠実なリメイク。amazon primeにて鑑賞



大ヒットした日本映画のフランス版リメイクで、監督は『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス、主演は『スパニッシュ・アパートメント』などのロマン・デュリス

日本公開時にはあまり話題にならなかった気もするが、観てみると、それも何となくわかる気がする。
ダメではないが、オリジナルにあったマジックが消えてしまっているのだ。
オリジナルと違うのは、本作では「日本で大ヒットした映画をフランスでリメイクする」という設定になっている点だけ。
後の流れやキャラクターなどはほぼ同じ。
むしろどこかでフランスらしいオリジナティを出してくれた方が良かったかと思うほど。

日本版ではほぼ無名の俳優ばかりで、その不器用さを味にしていたが、
今回は主演のロマン・デュリスをはじめ、フランスでも一線の俳優たちなので、この部分はレベルはアップ。
ただし、それがいい方向に行っているとも言えないのが微妙
オリジナル版でグッときたところの一つの「家族の絆」部分が、どうも日本とフランスでは違うのか、その辺りは日本版の方が良かったかな。
もしかして、最初にこのリメイク版を見ていたら、また違った感想になったかもしれないのだろうけど。

どうしても本作はファーストインパクトが強い作品なので、そっちを先に見てからのこっちだと分が悪いかな。
たとえていえば、『アメイジング・スパイダーマン』の最初の1時間を見せられている退屈感(ストーリーは知っているので、早くを話を進めてくれよ)に近いかも。
あと、上映時間も96分から111分にのびているように、ちょっと間延び感もあり、「長く感じた」という声が多いのもわからなくはないかな。
なので、何が悪いとは言えないのだけれど、これから観る人は、本作かオリジナルかどっちかでいいかと思う。

# by mahaera | 2022-12-11 11:25 | 映画のはなし | Comments(0)