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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ヒトラーと戦った22日間』 まだまだ知らなかったことがある。実話の映画化

「『ヒトラーと戦った22日間』予告編」の画像検索結果

2018年/ロシア、ドイツ、リトアニア、ポーランド
監督:コンスタンチン・ハベンスキー
出演:コンスタンチン・ハベンスキー、クリストファー・ランバート
配給:ファインフィルムズ
公開:9月8日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館にて公開中
公式ページ http://www.finefilms.co.jp/sobibor/

最近、ナチス政権下のユダヤ人もの、「ヒトラー」を入れ込んだ邦題が多いのが気になるが、本作にもヒトラーは出てこない。
そして本作は収容所ものには珍しい、ロシア映画。
監督・脚本・主演をこなすのは、ロジア人のコンスタンチン・ハベンスキーだ。
というのも、実話に基づいた本作だが、反乱のリーダーとなるサーシャが、ユダヤ系ソ連兵だったからだ。

1943年9月、ポーランドにあるソビボル絶滅収容所に、ソ連兵のサーシャが送られてくる。
ほとんどのユダヤ人はすぐにガス室に送られて殺されてしまうが、作業に必要なユダヤ人だけは生かされていた。
彼らは脱出計画を練っていたが、強力なリーダーがいない。
そこにウクライナで脱走経験のあるサーシャが来たので、一部のものたちが彼をリーダーにして反乱計画を練る。
それはSS将校たちを殺し、全員が脱走するというものだった。
そして22日後の10月14日、反乱が決行される。

有名なアウシュヴィッツ=ビルケナウ以外にも、多くのユダヤ人強制収容所があった。
勉強不足だったが、強制労働を目的とした強制収容所のほかに、最初から殺戮だけを目的とした絶滅収容所があった。
そのうち、本作の舞台となるソビボルでは16万7000人が殺されているという。
殺害が目的だから、列車で着いたユダヤ人のうち、生かされるのは死者の遺品の整理やそれを直して再利用できる職人などごくわずか。
仕事ができない子供は問答無用で殺された。
そしてソビボルなど、多くの絶滅収容所はソ連軍が迫ると、証拠隠滅のために残っていたユダヤ人もろとも、なかった状態にされた。

本作の題材となった事件は、珍しく、収容されていたユダヤ人たちがやられっぱなしではなく、反乱を起こしたことだ。
機を見て、11人のナチス将校を殺して武器を奪い、600名中、360名が脱走に成功。
そんな歴史があったことは、あまり知られていないのでは。
映画は、決してうまい出来ではなく、前半はナチスの囚人いじめがネチネチ描かれ、まったり感がある。
ただし、脱走当日になると展開はスピーディに。結末を知らなかったので、ハラハラしながら見る。
将校をひとりひとり呼び出して、ナイフで殺害するくだりは、「殺っちゃってください」と心の中で拍手喝采(映画なので、ナチス軍人は良心の欠片もない極悪人として描かれている)。

脱走後の顛末は、字幕で書かれるが、脱走した360人のうち200人は、すぐに追っ手の親衛隊によって殺され、逃げられなかった240人も全員殺され、残った160人のうちの100人余りは、民間のポーランド人に殺されたり密告によって命を落としたという。
当時のポーランドでは、反ユダヤ主義も根強く、自分たちがナチスに占領されながらも、そこから逃げてきたユダヤ人を殺したりしていたというのも陰惨な話だ。
また、映画では触れられていないが、看守などにはドイツ人ではなく、反共産のウクライナ人が多く使われており、彼らもまた残虐だったという。
弱いものがより弱いものをいじめるという構図はやりきれない。

本作の主人公であるサーシャも、脱出後にはパルチザンに加わり戦ったが、戦後はドイツの収容所にいたとして「外患罪(外国の捕虜になった者は半共産思想に感染しているという言い分)」により、ソ連の強制収容所に入れられたこともあるという数奇な運命を辿っている。

ということで、人間ドラマとしては薄い出来だが、こうしたことがあったという事実を知るにはいいテキストかもしれない。★★★
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# by mahaera | 2018-09-15 11:22 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『判決、ふたつの希望』  国家、民族の対立や憎しみを乗り越えるには


レバノンに行ったことがある。1996年のことだ。
内戦は終わっていたが、あちこちの建物は壊れ、銃弾の穴が開き、薬莢が落ちていた。
日本がバブルに浮かれ騒いでいたころ、この国では国民同士が殺しあっていた。
本作は、今もそのころの傷が残っていることを描いている。

ベイルートの住宅街。パレスチナ難民のヤーセルは工事の現場監督をしていた。
一方、車の修理工場を営むトニーは、キリスト教政党の熱心な支持者で、身重の妻を抱えていた。
そのふたりが、ちょっとしたことから口論になる。
謝罪に訪れたヤーセルだが、トニーがさらに罵ったことから、暴力を振るってしまう。
問題は法廷に持ち込まれ、それをメディアが取り上げたことから、このふたりの争いは国民を巻き込む裁判に発展していく。

レバノンの宗教や政治問題、大変なので端折って書くが、キリスト教徒とイスラム教とが混在して暮らしているこの国で、80年代、各派閥が近隣の支援を受けてお互いに抗争を繰り返し、深刻な内戦を生んでいた。
内戦なので民間人の虐殺が起きる。
それがまた、憎しみを生んでいく。
内戦終結と共に内戦時の犯罪は不問になった。
人々はいまは穏やかに暮らしてはいるが、憎しみを忘れたわけではない。
ちょっとした口論でそれが出てしまうのだ。

本作でも元をただせば人と人の関係なのだが、その人が属する集団を相手は見てしまい、集団同士の罵り合いとなる。
この映画でも裁判が進むと、キリスト教右翼とパレスチナ難民支持派の団体双方が争う事態に発展していく。
話が大きく広がりすぎ、当の二人も困惑していくほどになるのだ。
そこでふたりは気づく。相手を“人”として見ていくことに。

政治的、社会的な問題を多く含む映画だが、難しくならないように、監督は主人公となる二人の個人的なドラマと法廷劇をうまく組み合わせ、きちんとエンタテイメントとしても楽しめるようにしているので、ふつうに面白く見ることができるだろう。

遠い国の出来事のようにも思えるが、こんなことは日本の日常にもよくあることだと。
人はつい、よく知らない人にレッテルを貼って、くくってしまう。
そして、相手をけなすことで、優越感に少し浸る。
あるいは、相手の気持ちを想像することができずに、素直に謝れない人もいる。
自分の立場からすれば正しいかもしれないが、相手の立場もまた正しい。
また、自分の不甲斐なさや不安を、“奴ら”のせいにすり替える人もいる(飲み屋にはよく来るので)。
どうすれば、おだやかにできるか。
本作では、それを主人公二人が見つけていくところに救いがあるだろう。
良作。★★★☆

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# by mahaera | 2018-09-02 10:38 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』最大の敵は自分。似ていないようで似た者同士


監督:ヤヌス・メッツ
出演:シャイア・ラブーフ、スベリル・グドナソン、ステラン・スカルスガルド、ツヴァ・ノヴォトニー
配給:ギャガ
公開:8月31日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて

格別テニスファンでもないし、ウインブルドンも見ていないが、スポーツ映画はわりと好きという自分。
今年は、実話ベースのスポーツ映画が大豊作で、『アイ、トーニャ』『バトル・オブ・セクシーズ』と良作続き。
本作も、地味ながらもなかなかの感動作だった。

1980年、世界ランキング1位のスウェーデンのボルグは、5連覇をかけたウインブルドンの試合を前に、過度のプレッシャーを受けていた。
“氷の男”と言われ、いつも冷静さを保っていいるボルグだが、その彼の心の内を知っているのはコーチと婚約者だけだ。
才能はあるが自分を抑えられず、癇癪を起こす少年を鍛え上げたコーチと、試合の前の夜に儀式のようにラケットの張りをチェックするボルグ。
彼はかろうじて、自分の感情をコントロールしていたが、それは大きな孤独を抱えることでもあった。

一方、世界ランキング2位のマッケンローの憧れの存在はボルグだった。
癇癪持ちで自分をコントロールできずに、試合中でも悪態をつく。
しかしそれは、トップを目指すための過度のストレスからくるものだった。
そして、運命の対決の日がやってくる。

映画は、ウインブルドンを控えた1、2週間ほど前に始まり、ボルグ、マッケンローの二人がプレッシャーを抱えながら、対決に向かう様子を、過剰にあおることなく、大人の目線で冷静に追う。
まさに水と油のような二人だが、映画を見ていくうちに、その奥底には似た“何か”があることに観客は気づいていく。
そして彼らを支える存在にも。ボルグは父親代わりのコーチ、マッケンローは父親だ。
彼らがいるから、二人は重圧に耐えることができるのだ。

監督は、アフガニスタンに駐留するデンマーク人部隊を追ったドキュメンタリー『アルマジロ』で注目されたスウェーデン人ヤヌス・メッツ。
本作が初長編ドラマ作品だが、ヨーロッパ映画らしい大人の目線と、エンタテイメント性をうまくマッチさせている。
また、ボルグ役のスベリル・グドナソン、マッケンロー役のシャイア・ラブーフも好演。
試合の結果は、有名だからみなさんは知っているだろうが、もし知らないなら知らないで見た方がいいだろう。
僕はハラハラした(笑)。
★★★☆
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# by mahaera | 2018-09-01 09:44 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『ヒトラーを欺いた黄色い星』 多くの人が知らなかった意外な事実


ふと気づいたら、この映画もう公開して一ヶ月ぐらい経っていた。
最近、やたら公開されているナチス政権下のユダヤ人もの。
きっと、収容所の生存者たちがもう高齢で(1945年に20歳ならいまは80代。
収容所では小さな子供は率先して殺されたので少ない)、話を生で聞いたり、出演してもらうギリギリだからか。

本作は生存者たちへにインタビューをもとに映画化した劇映画だが、実際の生存者たちも登場するので、ちょっとテレビの再現映像ドラマのような趣もある。
なので、登場人物たちがどうなるかと共感しながらというより(少なくともメインキャラクターは助かることは知っているので)、実際にあったことを俯瞰しながら観るといった作りになっている。

舞台は1941年の戦時下のベルリンから始まる。
このとき、ベルリンには移動を禁じられた多くのユダヤ人たちがいたが、強制収容所への移送が始まる。
その時、ホロコーストの事実は、ユダヤ人だけでなく、一部のドイツ人以外は誰も知らなかった。
しかし、身の危険を感じ、ベルリン市内に潜伏したユダヤ人が7000人いた。
人目が気になる田舎よりも、都会の方が安全なのだ。
それに見た目では、ユダヤ人だとほぼわからない。
なので、町を歩いたり、映画を見に行ったりするものもいた。

問題は、自分をユダヤ人と知っている人に会うとまずいということだ。
身分証を偽造して家を転々とするもの、髪の毛を染めて別人のようになるものなど様々だが、常に怯えていることはまちがいない。
彼らが頼れるのは、同じユダヤ人ではなく、彼らのことを知りつつもかばってくれるドイツ人協力者たちだった。そんな人たちもいたのだ。

ロシア軍がベルリンになだれ込んできた時、見つからずにベルリンで生き残っていたユダヤ人は1500人だったという。

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# by mahaera | 2018-08-28 10:42 | 映画のはなし | Comments(0)

ソニックマニア2018。レポートその5 電気グルーヴ テクノに負けた


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マイブラの轟音に疲れて、終わった後もしばらくプラチナラウンジで休む。
元気だったらフライングロータス、少し見ようと思ったが、そこに行ったら朝までもたないと思い、体を休める。イスがあって本当によかった(笑)プラチナありがとう。

3:55 電気グルーヴ登場。
実は彼らの音楽、ちゃんと聴いたことがない。
知っているのは歌謡ポップの「シャングリラ」ぐらいだ。
そもそも歌のないテクノは、まったく聴かない。

始まって10分ぐらいして、会場のプラチナスペースへ。
ピークを過ぎたからか、一時期に比べて人の空きが目立つ。
前の方にわりと行けるがステージ横なので、バックスクリーンの映像はあまり見えない。
単調なビートは、元気だと気持ちいのだろうが、4時を過ぎたこの時間、気を許すとぼーっとしてくる。ピエール瀧がお客を煽るときは、ふっと気をとりなおすが、立ったまま寝落ちしてしまいそうだ。
もう終わりかなと思ってからがまた15分ぐらいあり(スタートが少し押した)、終了したのは5:10ごろだった。テクノに負けました

終了後の海浜幕張駅は激混みだというので、ゆっくり会場を出ることにする。
まずはクロークへ行き、預けた荷物をピックアップ。
途中の通路とか、みなさん思い思いに倒れて寝ている。
そういえば電気の会場でも、ふつうに床でみんなバタバタ倒れていたなあ。

6時を過ぎていたが、駅へ向かう人はまだまだ。
外はけっこう涼しいが、道路の中央分離帯で寝込んでいる人もいた。
キケン。東京駅までの30分の立ち乗車がダメ押しで辛かった。
東京駅に着き、乗り換え通路を歩くと、逆方向に向かうディズニーランド客らしき人々が、まぶしい。
8時開園だから、7時にはもう向かっているのだろう。
こちら朝帰りで悪い大人である。

帰宅後、涼しい1日だったこともあり、倒れこむようにして寝る。
もちろん起きたら、貯まっている仕事が容赦しないが、充実感あるひと晩だった。
オールナイトイベントは、ペース配分が大事だなー。

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# by mahaera | 2018-08-27 20:56 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

ソニックマニア2018。レポートその4 マイ・ブラッディ・バレンタイン、轟音に負けた

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僕はリアルタイムでマイ・ブラッディ・バレンタインを聴いていない。

映画『ロスト・イン・トランスレーション』のサントラをたまたま手に入れて、その中に入っている曲で知ったから、2000年代に入ってからになる。

2010年ごろようやく「ラヴレス」を聴いて、久しぶりにいい音楽に出会ったと思った。

ということで、今回のフェスの中では一番の自分の目玉である。


サンダーキャットを抜け出して、始まる前にプラチナエリアに入り、開演を待つ。
始まったのは10分ほど遅れた1:55ごろ。ギター&ボーカルのビリンダはスパンコールのドレスで登場。
ボーカル&ギターのケヴィン・シールズは老けたなあという感じ。
メンバーは他にドラムとベース。サボートのキーボードの女性。

轟音とともにI Only Saidが。
ただ、コードを鳴らすだけの単調な曲をイントロに(体感的には長く感じる)、2曲目は早くもヒット曲のWhen You Sleep。ライブを通じて棒立ちなメンバーの中で、リズムをとって動いているのはベースくらい。
とにかく、轟音。音の壁となってリズムもなくなっているディストーションギターの向こうに、ドラム、そしてかろうじてボーカルらしきものが聞こえるといった程度。
演奏が始まっちやうとボーカルが聞こえなくなる高校生バンド、というと雰囲気がわかるだろうか。こちらはワザとやっているのだが。

新曲を挟んで、代表曲が続くが、途中で轟音に負けて、ステージ前から後ろに退散。
ステージ上のメンバーに動きはないので、後ろのスクリーンに映るライトショー(こちらは凝っている)を見るためだが、休憩のつもりでプラチナラウンジまで下がってしまった。ちょっと疲れが出てきた。
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イスに座って正面のスクリーンを見ながらマイブラを見るが、ラウンジはステージの正面なので、そこにも轟音が鳴り響く。
Only Shallow、To Here Knows Whenという代表曲も、イスの魅力には勝てず、そこで楽しむことに。
轟音に負けた。。。
開き直って、ご飯を食べ、ビールを飲んでくつろぎながら鑑賞。
プラチナチケットにしてよかったぞ。ちなみに専用トレイもあるので並ばず。
(続く)
 ライブが終わったのは3時過ぎ。フェスも終盤に近づき、あちこちで倒れて寝込んでいる人々がいる。懐かしい光景だな。
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# by mahaera | 2018-08-25 16:37 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

最新映画レビュー『チャーチル ノルマンディーの決断』こちらもチャーチルのもうひとつの顔


アカデミー賞にノミネートされ、日本人が手がけたチャーチルの特殊メイクも話題になった映画『ウインストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』の裏に隠れて話題にはならなかった、もう1本のチャーチル映画が日本でも公開中。
まあ、あちらが製作費3000万ドルに対し、こちらは1/3の1000万ドルでキャスト、スタッフとも小粒。
チャーチルを演じるブライアン・コックスは知られた名脇役だが、一般にはあまり知られておらず、こちらでは特殊メイクなしでチャーチルを演じている。

『ヒトラーから世界を救った男』はダンケルク撤退から抗戦を訴えるまでの強いチャーチルだが、こちらはそれから数年後、ノルマンディー上陸作戦の数日前になり、作戦に反対しているチャーチルを描いている。
なぜ、そこまでチャーチルは上陸作戦に反対したか。
映画では、第一次世界大戦時、海軍大臣だったチャーチルが計画したガリポリ上陸作戦が失敗したトラウマを抱えていると描いている。

ガリポリはトルコのダーダネルス海峡(トロイがある辺)のヨーロッパ側の半島で、敗北寸前のトルコにダメージを与えようとイギリス、オーストラリア&ニュージーランド軍が大規模な上陸作戦を決行。
しかしトルコ軍を甘く見ていた連合軍は、猛烈な反攻に遭い、4万5000人の死者を出して作戦は失敗。
この時、トルコ軍の指揮を取っていたのがムスタファ・ケマル大佐で、彼はこの戦いにより一躍国民的英雄になり、のちにトルコ共和国を建国し、アタチュルクと呼ばれるように。
一方、チャーチルは失脚して大臣の任を解かれる。
この戦いは映画『誓い』(メル・ギブソン初期の名作)でも描かれている。

さて、本作だが、過去のトラウマから逃れられない老人をブライアン・コックスが熱演。
アメリカの参戦により、すでに戦争の主導権は米ソに移り、決定権がなくなってしまったイギリスの没落をチャーチルが体現しているともいえる。
もはやイギリスがいくら反対しようが、戦争の大勢には影響がないのだ。
戦争の行方を決めるのは、アメリカのアイゼンハワー将軍であり(のちの大統領)、戦後の超大国アメリカの時代も予感させている。

そんな中で、ただただ反対するチャーチルは、「老害」として邪険に扱われて、さらにそれが彼のイライラを増幅させる。
「俺はもう必要ない人間なのか」と。
まあ、最後はそこから立ち直って国民を鼓舞するスピーチをするのだが。
それが映画として面白いかというと、演出力のせいか単調で、スケール感も乏しくテレビ映画のような感じがしなくもない。
ほとんどのシーンを、チャーチルと妻、その周りとの会話で押し切っているので、映画的な広がりがないのだ。
そのあたりもテレビ映画的。
やはり先日公開された『ウインストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』のほうが、出来としては上だ。
★★

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# by mahaera | 2018-08-24 09:18 | 映画のはなし | Comments(0)