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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ダンガル きっと、つよくなる』 安定したクオリティで、楽しんで感動も!



2016年


監督 ニテーシュ・シュワーリー
出演 アーミル・カーン
公開 2018年4月6日より、全国公開中

■ストーリー
レスリングで、国のチャンピオンにまで上り詰めたマハヴィル。
引退した彼の夢は、自分の息子に金メダルを取らすことだった。
しかし生まれてきたのは女の子たちばかり。
夢を諦めかけたマハヴィルだが、ある日、娘のギータとバビータが
近所の男の子たちを喧嘩で負かしたことから、新たな希望が生まれる。
二人への特訓が始まった。
厳しい訓練に反抗する二人だが、やがて父親の深い愛情を知り、
また勝利の喜びも知り、前へ向かって進み出す。
数年後、国内の名だたる大会に出場している2人の姿があった。
やがてギータは国の代表選手に選ばれるが、
父とは次第に疎遠になっていく。。。

■レビュー

すでに観た方もいらっしゃるでしょう。
地元の映画館では今週いっぱいなので、急いで行ってきた。
ストーリーは単純。
もと国の代表レスラーだった父が、自分が取れなかった
金メダルの夢を子供に託そうとするが、生まれてきたのは女の子たちばかり。
そこで、父はスパルタ教育で娘たちを強くし、
一流選手に育て上げるという話で、しかも実話を元にしている。

最初は馬鹿にしていた村人たちも、
娘たちが勝ち進みだすと賞賛のまなざしに変わり、
反抗していた娘たちも勝利の喜びと父の深い愛情を知り、
前に向かって進み出す。

インド映画でおなじみのミュージカルシーンはないが、
時折挟み込まれる歌が、ストーリーを補完(覚えやすい曲ばかり)。
成長した長女が都会に出て、親離れしていくところは、
こっちは完全にオヤジの気持ちで、時に涙腺決壊。
「頑張れば夢は叶う」という超ポジティブストーリーも、
2時間半の夢を観客に見せてくれる、
映画館の暗闇のマジックを最大限に生かしている。
後ろを振り返ったら、スクリーンを見つめている
観客の顔がみな、幸せそうだったもの。

人権問題に関心を示しているアーミル・カーンだが、
本作はインドの女性が置かれている社会環境にも問題提起をしている。
成長しても、そのまま結婚して家庭に入り、
家事労働するしかない一生を強いられているインドの女性たち。
本作は、自分で自分の道を切り開くことが、
インドの女性たちにとっても夢ではないという、
メッセージも込められているのだ。

映画館を出た時は、頭の中では主題歌の
「ダンガル!ダンガル!」がぐるぐると回っていた。
★★★☆

PS.
映画とは関係ないところで気づいたのは、
2010年のデリーで行われたコモンウェルス大会がハイライトになるのだが、インドにおいてはオリンピックよりも重要な大会ということ。
確かにあの時、インド人、大騒ぎしていたし。
あと、インド国歌を初めてちゃんと聞いたこと。
それとインドでは、官僚は怠け者で仕事をしないとみんなが思っていることだなあ。
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# by mahaera | 2018-04-26 11:24 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『パシフィック・リム/アップライジング』レベルダウンだが、これはこれでいいのかな



子供の頃は怪獣映画が大好きだった。
何よりも怪獣は、ビルを破壊するほど大きくなければならない。
そしてそれと戦うヒーローも。21世紀になり、
ハリウッドで次々と怪獣映画が作られ始めているが、
元祖となる日本では、子供達は怪獣離れ。
ゲームばかりとは残念だ。

さて、前作『パシフィック・リム』は日本以外では大ヒット。
しかし制作費がかかりすぎて(『シン・ゴジラ』の約10倍)、
中国での大ヒットがなければこの続編は作られなかったろう。
そしてその間に、制作会社のレジェンダリーフィルム自体が
中国資本に買われてしまった。そうした裏事情もあるが、
今現在、宇宙からの侵略者が現れて戦うとしたら、
主力は米中ロの軍になるのだろうなあと、本作を見ていて思った。
日本人しかいない地球防衛軍が出てくる邦画と違い、
この環太平洋部隊の国籍や人種は混合。
結構、バランスに気を使っている感じがする。

時代は前作から10年後の世界。
平和が続き、巨大ロボのイエーガーの出動もほぼない。
しかしそこにまた危機が訪れ、次世代のパイロットたちが活躍する。
正直言って、前作よりもかなり落ちる。
全体的にノリが軽く、ハラハラするところが何もないのだ。
映画というよりは、テレビドラマのウルトラヒーローもの並み。
ただし、それを予算をたっぷりかけて作っている。
リアリティはなくご都合主義、ツッコミどころはあるが、
まあそれを要求されるタイプの映画じゃない。
物足りないが、子供向けと割り切って見よう。
最終決戦となるちょっとおかしな日本描写も楽しめた。
東京と富士山が近すぎ。
しかしロボットも怪獣も、今やほぼCGだな。 
★★★
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# by mahaera | 2018-04-23 12:24 | 映画のはなし | Comments(0)

蔵前仁一氏の新刊『テキトーだって旅に出られる!』が届く(データ制作で協力しました)



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昨年末、データ制作で協力させていただいた
蔵前仁一氏の新刊『テキトーだって旅に出られる!』(産業編集センター刊)が届いた。

依頼があったときは、まさかこんなに本にバッチリ使われると思わず、「資料なのかなー」と思っていたのだが(笑)

本が届いたので、これからじっくり、
いやこうした本だから電車の中でとか、
気楽に読ませていただきます。

旅に出るのに理由はいらない。
とりあえず、出てみれば何とかなるし、
何とかならないときはならない(笑)。
でも、たいていのことは、どうにか悪くはないところに着地する。

蔵前さんだけでなく、僕も含めて、
人は海外に出ると物の見方が変わることは確か。

ということで、皆さんも読んでみませんか。

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# by mahaera | 2018-04-21 13:15 | 仕事のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『パティケイク$』 郊外や家庭の閉塞感から、ラップの力で抜け出そうとする主人公



2017年/アメリカ

監督:ジェレミー・ジャスパー
出演:ダニエル・マクドナルド、ブリジット・エヴァレット、シッダルタ・ダナンジェイ
配給:カルチャヴィル×GEM Partners
公開:4月27日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか

知っている俳優もスタッフもおらず、まったく前知識なく観て、
意外な拾い物となった作品だ。

主人公は太ったその容姿から“ダンボ”とあだ名されている
23歳のパティ。
住んでいるのは、電車に乗れば1時間もせずにマンハッタンに行けるニュージャージーだが、その距離は永遠に縮まらない。
寂れた郊外の街では、みなそこから出て行こうとしないから、
子供の頃からの顔見知りだ。
ただし小学校の頃にいじめられていれば、
大人になっても軽く見られる。
車椅子生活の祖母と、かつてはロック歌手を目指していたが今は酒びたりの母親と3人暮らしのパティには、愛してくれる者もいない。
そして働かなければ、生きてはいけない。
そんな彼女の救いは、ラップミュージックだ。
薬屋の店員でインド系のジェリ、無口なギター弾きのバスタードと、パティはグループを組み、オーディションに挑む。

たった僅かな距離なのに、郊外の住人は
住んでいる町から出ようとしない。
1時間の旅でも、まるで海外旅行に行くのと同じくらいレアだ。
地元で働き、地元で結婚し、地元で生涯を終える。
そんな郊外の閉塞感、そしてそこに本当に住んでいそうな人々(美男美女は登場しない)、人生の反面教師にしかならないダメな大人達、そんな空気を吸いながら、パティは育ってきた。
このままだったら、いずれ酒びたりの毎日になるだろう。
しかし何かを諦めるには、23歳はまだ若すぎる

パティの夢は「スターになること」。
むちゃくちゃ漠然とした夢だ。しかし、それが精一杯なのだ。
そしてそれは母が果たせなかった夢でもあり、母が酒と男に逃避し、パティに辛く当たる理由でもある。
僕は、ラップミュージックはほとんど聞かないが、
本作は結構楽しめた。
「サタディナイトフィーバー」や「SRサイタマノラッパー」のような、都会はそこにあるのに届かない郊外の閉塞、
それを打破する(解放される)手段として音楽があり、
ジャンルに関係なく共感できるからだ。

脚本にご都合主義や、演出のベタさ加減とか洗練されてはいない部分はあるものの、初期作品やインディーズに通じる、初々しさがこの作品の中にはある。
また、ほぼ無名の俳優たちの熱量も高く、いい味を出している。
ラップもインド人が歌うとそこだけインド映画のサントラぽくなるなぁとか、やはりニュージャージーだとブルース・スプリングスティーンがかかるなとか、母親役の人がオジー・オズボーンに似ているなとか、細かく気になって書きたくなることは他にもあるが、長くなるので(笑)。
愛すべき小品だ。
★★★☆

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# by mahaera | 2018-04-20 13:05 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『女は二度決断をする』 人種差別テロで家族を失った女性が、下した決断とは


あなたならどうする? 家族を失った時、彼女は何を決断したか


2017年/ドイツ

監督:ファティ・アキン
出演:ダイアン・クルーガー
配給:ビターズ・エンド
公開:4月14日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館にて


■ストーリー

ドイツのハンブルク。トルコ系移民のヌーリと結婚したカティヤは、息子ロッコも生まれ、3人で幸せな日々を送っていた。
かつては服役もしていたヌーリだが、
今は更生して真面目に働いている。
しかしある日、爆弾が爆発し、ヌーリとロッコが犠牲になる。
犯人はネオナチのドイツ人カップルで、
目的は人種差別テロだった。
裁判が行われるが、その過程でカティヤは身も心も傷ついていく。
そして裁判の結果を受け、カティヤが下した決断とは…。

■レビュー

もし、これが自分の家族だったら?という問いを、
見ている間、ずっと問い続けられている。そんな辛い映画だ。
移民問題やテロ、悲惨なニュースを毎日見ていても、
どこか他人事のような気がしてしまう。
しかし、もしそれが家族だったら、
その苦しみは身近に感じるだろう。

200万人ともいうトルコ系移民を受け入れ、
比較的移民に寛容と言われていたドイツだが、
近年はシリア系などの移民の増加により、
ネオナチや極右による外国人迫害による事件も多発している。
映画のモデルとなったのも、実際にドイツで極右グループが起こした事件だという。
その時はまだ、警察は事件を外国人排斥のテロだと思わず、
何年も犯人を特定することができなかったという。

人はどうしても、相手を国籍や肌、習慣や宗教、
その外見で判断する。
それは否定しない。それでしか判断できないからだ。
しかし、自分の置かれている境遇への不満を人のせいにしだりたりすると、
それが自分が属していないグループ全体に向けられるようになる。
映画の中でヒトラーを崇拝する若い男女も、
別に外国人の小さな子供に個人的な恨みがあったわけではない。
ただ、外国人だろうが同国人だろうが、
結局は個々の人間であることが、
もはやわからなくなっているのだ。
いろいろ理由はつけるが、結局は通り魔殺人が言う
「誰でもよかった」と大して変わりはない。
で、こうした人は、日本だろうが海外だろうが、
その場になったら自分の命は惜しくなる。
そもそも、「人の命は自分の命より軽い」と
普段から考えているから起こすのだ。

映画の中で印象深いのは、犯人が捕まるきっかけになったのが、
犯人の父親が「ヒトラー崇拝の息子が何か犯罪をしでかす前に」と警察に通報したことだろう。
しかしその時、すでに犯罪は行われていた。
この父親に主人公は裁判で会うが、主人公はこの父親も大きな苦しみを抱えていることをわかり、許しもしないが責めもしない。
二人は多くを語らないが、逆に重さがこちらにも伝わる。二人とも被害者なのだ。

反トルコということで、ギリシアの極右組織とドイツのネオナチが
結びついていることもあるのだなあということも本作で知った。

最後の彼女の決断については、映画を見た各自が重く受け止めるしかないだろう。
それでよかったのか監督自身の迷いも見られるし、
正解はないのだから。
★★★

■関連情報
監督のファティ・アキン自身も、トルコ系移民の元に生まれた。
代表作は『そして、私たちは愛に帰る』『愛よりも強く』『消えた声が、その名を呼ぶ』など。
・本作は第75回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞、
カンヌ国際映画祭でダイアン・クルーガーが主演女優賞

本レビューは旅行人のウエブサイト「旅行人シネマ倶楽部」に寄稿したものを転載しました


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# by mahaera | 2018-04-13 11:26 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『さよなら、僕のマンハッタン』 マーク・ウエブ監督、NYを舞台にした青年の成長物語



監督:マーク・ウェブ
出演:カラム・ターナー、ジェフ・ブリッジス、ケイト・ベッキンセール、ピアース・ブロスナン
配給:ロングライド
公開:4月14日より丸の内ピカデリー他にて公開

大学を出たけれど、バイトをしながら、
ニューヨークのロウアーイーストサイドで暮らす青年。
父はかつて作家を目指していたが、今は編集者として成功。
母は精神を病みがちで家に閉じこもりがち。
アッパーウエストサイドに住むリッチな実家から出てはみたものの、すでに刺激的なニューヨークは90年代で終わり、
自分の時代のニューヨークは、
ただ先人たちの過去の栄光を眺めているだけで退屈。

日本の20代男子のような、典型的な文系青年が主人公だが、
日本と違って彼が一切ゲームをしないところが大きな違いか。
そして女子に対して、積極的にアタックするも違い(笑)。
そんな彼が、つまらないと思っていた人生が、父の浮気を目撃したところから、変わっていく。
父役もピアース・ブロスナンだからイケメンだが、
その愛人役もケイト・ベッキンセールだから美人だ。
そして、隣に引っ越してきた謎のやさぐれオヤジのジェフ・ブリッジスの助言も、彼を勇気づける。
父の愛人の尾行を続けるうちに、主人公に変化が訪れていく。

全編、マンハッタンロケで、
遅れてきた70年代ニューシネマのような味わい。
それに映画の原題で、テーマソングでもあるサイモンとガーファンクルの「ニューヨークの少年」が、その雰囲気に拍車をかける。
最後は、両親を「父」「母」ではなく、愛も失敗も後悔もある一人の人間であることに気がつくことにより、青年は成長していく。
『(500日)のサマー』の監督による、おそらく監督自身を投影した青春映画だ。

欠点は、あまり主人公に魅力が感じられなかったこと。
なんだかイライラしてしまうのは、もう気持ちが
主人公の両親世代の気持ちに行ってしまっているためね。
きっと子供は、親だって人生いろいろなことに後悔しているなんて、思いもよらないのだろう。
親は親というキャラなのだ。

★★☆
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# by mahaera | 2018-04-12 10:19 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』 深みはないが、お気楽に見られる娯楽作



2017年/アメリカ

監督:ジェイク・カスダン
出演:ドウェイン・ジョンソン、ケヴィン・ハート、ジャック・ブラック、カレン・ギラン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

ロビン・ウィリアムズ主演の映画『ジュマンジ』は
1996年の映画なので、もう20年も経ってしまったのだなあ。
本作はそのリメイクではないが、時代設定的に
その続編的な匂いも漂わせている。
ただし、前作はゲームの中のキャラクターが現実世界に現れてしまうが、今回はプレイヤーがゲームの中の世界に入ってしまうと逆。
そこで設定が大きく変わるのが、
現実世界のキャラとゲーム世界の中で俳優が変わり、
キャラも真逆になってしまうということ。
これはゲームプレイヤーである子供達にとっては、
ゲームをしながらいつも夢見ていることだろう。

映画の内容は、予告編通りで想像を裏切らず、
安心して子供と楽しめるファミリームービーだ。
それほど深いテーマもなく、大人にはもちろん物足りないが、
こうした作品に文句をつける方が野暮。
ガンズ&ローゼスのヒット曲に乗って、
ボケーっと映画館で楽しむのがいいだろう。

主演のドウェイン・ジョンソンは、かつてのシュワちゃんのように
今やアメリカのトップアクション俳優になったなあ。
あと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のネビュラ役の
カレン・ギラン、メイクをしなければ普通に美人なのね。
目力が気になる人。
★★★
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# by mahaera | 2018-04-07 14:11 | 映画のはなし | Comments(0)