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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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「存在の耐えられない軽さ」 ミラン・クンデラ著 を読む

「存在の耐えられない軽さ」 ミラン・クンデラ 集英社文庫 399ページ

帰国時、ダッカの空港から読み始め、
成田から帰りのリムジンバスで読み終わった本。

ダニエル・デイ・ルイス、ジュリエット・ビノシュ主演で映画化されたほうは観ていたが、それも90年代のこと。話の内容もほとんど忘れていた。

1968年、「プラハの春」と呼ばれたチェコスロバキアで起こった民主化の波。
その時代に、外科医トマシュの家に転がり込むようにしてやってきた女性テレサ。
ガールフレンドは数多い女たらしのトマシュだが、
テレサの持つ魅力にひかれ、彼女と一緒に住むように。
やがて、ソヴィエト軍がチェコを占領し、トマシュとテレサはオーストリアへ。
しかし、トマシュの浮気に耐えかねたテレサが祖国へと突如帰国。
トマシュも仕事をなげうってプラハへと戻る。
プラハは以前のプラハではなかった。重苦しい、監視と密告の世界。

そんな中でも、トマシュは浮気をやめない。
それが彼の生活そのものであるかのように。
しかし彼はテレサのことも愛している。
テレサは彼のことを強く愛しながらも、嫉妬に苦しむ。

「軽さ」と「重さ」について作者の意見が論じられ、
どちらが良く、また悪いのかの今昔の思想家の説が引用される。
が、正直言って、僕には「軽さ」が耐えられないほど「重い」という感覚がわからない。
せいぜい、同じ相手でも、恋をしている時はあんなに身も心も軽いのに、
嫉妬が始まると鎖をつけられたように重くなるということ。

会話がページの大半を占める日本の小説を読みなれた目には、
会話がほとんどないこの本は、読み進めるのに時間がかかる。
しかしその分、全体のトーンを変えることなく、
一定の雰囲気にずっと浸っていられた。
久しぶりにどっしりとした「文学」を読んだ充実感。
人生は些細なことの積み重ね。
世の中の大きな事件に比べれば、個人単位では平穏に暮らしているように見える。
しかし、そんな中にも葛藤があり、
それがその人の人生では大きなウェイトを占めるのだ。

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by mahaera | 2010-02-26 10:14 | 読書の部屋 | Comments(0)
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