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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画評 「ベンダ・ビリリ!~もうひとつのキンシャサの奇跡」

ベンダ・ビリリ!~もうひとつのキンシャサの奇跡Benda Bilili !
2010年/フランス

9月11日よりシアター・イメージフォーラムにて公開
公式HP:bendabilili.jp

2004年、コンゴ民主共和国の首都キンシャサ
フランス人映像作家のルノーとフローランは “スタッフ・ベンダ・ビリリ”と出会う。
ポリオのため下半身不随になった彼らは、
レストランの入口で演奏を聞かせてお金を稼いでいた。
“ベンダ・ビリリ”とは、リンガラ語で「内面を見よ」という意味。
「路上の真実」を歌う彼らに興味を持ったルノーとフローランは、
彼らのアルバムとドキュメンタリーを作ろうとする。
空き缶にギターの弦を張った手製の楽器を操る少年ロジェが加入。
しかし、アクシデントにより録音は中断。メンバーは四散するが、翌年、
レコード会社の支援を取り付けたルノーたちが、キンシャサに戻ってきた。

第三世界ではストリートミュージシャンは珍しくないが、
このグループの中心人物たちは車イス生活をしている者ばかり。
このドキュメンタリーは、そんな彼らがチャンスを掴み、
アルバムを出してヨーロッパまで行ってしまうサクセスストーリーだ。
自分の力で生きていかねばならないタフな世界。
そんな世界のさらに底辺で暮らす彼らだが、
常にポジティブさを失っていない。
歌う詞の内容は、「内面を見よ」というグループ名の通り、
辛い現実を描いたものだが、サウンドは明るく聞こえる。
人々を楽しませようと心意気があるからだろう。
初期は素朴なサウンドだが、レコーディングや多くのライブ活動を経て、
サウンドがどんどん良くなっていくのが観ていてわかる。
コンゴ人の平均寿命45歳をとうに越えての成功を手にした、
リーダーのパパ・リッキー。
「人生に遅すぎることはない」のだ。(★★★)

・映画の公開に合わせて、9月25日から宮城を皮切りに、スタッフ・ベンダ・ビリリの日本ツアーが10月27日の三鷹市公会堂まで行われる。10月11日には、東京の日比谷野外音楽堂でのイベント「World Beat」にも出演。詳細は以下のHP参照。
http://plankton.co.jp

「旅行人」のHP、旅シネに掲載したものを転載しました。
by mahaera | 2010-09-04 15:40 | 映画のはなし | Comments(0)
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