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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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『ジャンデック~謎のミュージシャンの正体を追う』を観る

『ジャンデック~謎のミュージシャンの正体を追う』
2003年/アメリカ 監督チャド・フライドリッヒ


“ジャンデック”というミュージシャンを知っていますか?
おそらく日本では誰も知らないと思うこのミュージシャンの正体を
追うドキュメンタリーを、年末に渋谷のアップリンクで行われる
「未公開映画祭」の試写で見た。

1978年にジャンデックは自分自身の音楽レーベル
“コーウッド産業”より、ファーストアルバムを発表した。
調子外れのチューニングによるアコースティックギター一本に、
これまた調子外れなのか合っているのかわからない歌が重なる。
メロディーがあるのかないのか、
心の中に思いつくままを歌っているのか、
陰鬱なその響きは、「不気味」「率直」「ほんやり」などといっ
た言葉で紹介されているように、とらえどころがないものであり、
“精神を病んでいる者のリハビリ・テープ”とまで言われた。

しかしジャッンデックの音楽は一般受けはまったくしないが、
一度聴いたら好き嫌いはともかく、印象に残るものだった。
ジャンデックの音楽は何人かの批評家の目に止まったが、
彼が何者であるかはそのジャケットからはまるでわからず、
ただその音楽があるだけで、多くの謎に包まれていた。

ジャンデックのアルバムは、
その後も年に1~2枚のペースで届けられた。
ジャケットに青年の姿が写っているものもあるが、
それが本人なのかは定かではない。
その他の写真は、ただ家具が写っているだけのもの、
なんでもない通りを写しただけのものなど、
明らかにやる気が感じられないものが多かった。
彼に興味を持つものも現れたが、
初期にインタビューに成功した例を除き、
取材はすべて断られた。第一、彼とコンタクトを取ろうにも、
注文を受け付けている私書箱に手紙を送るしかないのだ。

ジャンデックの音楽は、ほとんどギター一本と彼の歌だったが、
ある年に発表されたアルバムには
「NANCY SINGS(ナンシーが歌う)」という曲があり、
ジャンデックのギターに合わせて女性が歌い、
それまでのジャンデックのファンを驚かせた。
少なくとも、ジャンデックには友達がいたのだ。
一部ではジャンデックは“狂人”や
“友人のいない自閉症者”と思われていたのだから。

やがて、ジャンデックの音楽にドラムが入る曲も加わるように
なり、それも旧来のファンには驚きだった。少なくとも
ジャンデックには、ドラムを叩いてくれる知り合いがいるのだ。

アルバムが発表され始めてから30年以上がたっても、
ジャンデックが何者なのかはさっぱりわからない。
成功したインタビューは、わずかに2件。
このドキュメンタリーは、そんなジャンデックの謎に迫る作品だ。
さまざまな人々へのインタビューや解釈、
彼の作品が紹介されるが、
最後に、インタビューテープが流される。
意外にハキハキしていて、異常な感じはない。
しかし、彼の録音に参加したドラマーなどの人たちに
ついて尋ねられると、一分近く沈黙が続き
「…言えない」。

ウィキで調べてみると、ジャンデックはこの映画以降も
年間にアルバム4枚ほどのペースで活動を続け、
現在そのタイトルは60枚もあるという。
また、謎に包まれていたジャンデックだが、
ライブ活動も始めたらしく、YouTubeには
ドラムとベースを従えた彼のライブ映像もある


興味がある方はどうぞ。

未公開映画祭公式サイト HYPERLINK "http://www.webdice.jp/realmikoukai" www.webdice.jp/realmikoukai
12/25より渋谷アップリンク・ファクトリーにて上映される9作品のうちの1本
by mahaera | 2010-11-27 16:45 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)
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