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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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新作映画レビュー『ふたりのヌーヴェル・ヴァーグ ゴダールとトリュフォー』

ふたりのヌーヴェル・ヴァーグ ゴダールとトリュフォー
2010年/フランス

監督:エマシュエル・ローラン
出演:フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、ジャン=ピエール・レオー
配給:セテラ・インターナショナル
公開:7月30日より新宿K’s cinemaほかにて


ヌーヴェル・ヴァーグを代表する監督には、エリック・ロメール、
ジャック・リヴェット、クロード・シャブロルらがいるし、
本作ではまったく名前が出てこないがルイ・マルもそうだ。
しかし多くの信奉者を生み出し、映画ファンにアイドル的人気を得たのは、やはりトリュフォーとゴダールにつきる。
当時のニュース映像や作品からの抜粋映像を使い、
ヌーヴェル・ヴァーグの誕生からふたりの作風の変化、そして決別までを描いたドキュメンタリーだ。

1959年、カンヌ国際映画祭で一本の映画が話題をさらった。
フランソワ・トリュフォーの長編第一作『大人は判ってくれない』だ。
本作でヌーヴェル・ヴァーグが始まったわけではなく、
その数年前から若手映画批評家たちを中心に、
従来のフランス映画の枠にはまらない映画が作られ始めていた。
しかし『大人は判ってくれない』の監督賞受賞は、
そのヌーヴェル・ヴァーグの評価を確固たるものにした。
そのすぐ後にゴダールが『勝手にしやがれ』を発表した

貧しい一家に生まれたトリュフォー、
裕福なブルジョア家庭に生まれたゴダール。
ふたりは「映画」という共通の言語を通して、友情を結ぶ。
ふたりは60年代を駆け抜けるが、
どんどん政治にのめりこんでいくゴダールに対し、
映画職人への道を進むトリュフォー。
73年の『アメリカの夜』は映画愛に満ちたすばらしい作品だが、
ゴダールは“ブルジョア的”と厳しい批判を行い、2人は決裂する。

僕はゴダールの映画はおそらく10本は観ているが、
もう一度観たいと思ったのは『勝手にしやがれ』ぐらい。
あとは、勉強をするように何とか観た。
なかには忍耐を強いられる作品もあった。
トリュフォーも出来不出来はけっこうあるが、
出来の悪い作品もどこか好きな部分があるのと対照的だ。
一番好きなのは『突然炎のごとく』だが、
『トリュフォーの思春期』『私のように美しい娘』も好きで、
とくに映画についての映画『アメリカの夜』は高校時代に見て、
かなり感銘を受けた。
ところが、ゴダールからすれば、
そんなトリュフォーはかなり生温く感じたに違いない。

このドキュメンタリーだが、後半は駆け足になってしまい、
ゴダールとトリュフォーを描きたかったのか、
それともヌーヴェル・ヴァーグという運動を描きたかったのか、
中途半端な感じになってしまったのが残念。
(★★☆)
by mahaera | 2011-07-29 21:30 | 映画のはなし | Comments(0)
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