カンパニー・メン
The Company Men
2010年/アメリカ
監督:ジョン・ウェルズ
出演:ベン・アフレック、トミー・リー・ジョーンズ、クリス・クーパー、ケヴィン・コスナー、マリア・ベロ
配給:日活
公開:9月23日より:ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開中
そのうちブログで書こうと思っていたら、もう公開中だった。。。
正直言って、どうでもいい映画もここで紹介しているが、
これはむしろ見てもらいたいな。
とくに
家族持ちの男たちは、観ていてつらくなる人もいるかもしれない。
フリーランスで会社勤めしていない僕だが、
言い方を変えれば、ひとつの仕事が終わり、
次の仕事がすぐになければ失業と同じ。
2週間のプチ失業ならいいが、それが長いとあせってきて、
どんな仕事でも請けたいと思うようになる。
この映画のように、仕事が続いているときは
当たり前のように思っていることでも、いざなくなれば、
それがいかに大事で、自分が守られていたことがわかる。
舞台は、造船会社から起業した総合企業のGTX社。
若くして販売部長の座についた
ボビー(ベン・アフレック)は、
突然のリストラを受ける。解雇手当は12週間分。
家のローンと高級車のローンもあり、
家族を養わなければならないボビーは再就職の道を歩む。
しかしそれはとても困難だった。
創業時から在籍している、重役の
ジーン(トミー・リー・ジョーンズ)は
リストラに反対しながらも、最終的にはそれを受け入れる。
やがて、リストラはジーンの身にも及ぶ。
いつまでも仕事が見つからないボビーは、
相性が悪いブルーワーカー
義兄(ケヴィン・コスナー)に頭を下げ、
とうとう建築現場で働くことになる。
会社に忠誠を尽くしてきた
仕事人間たち(カンパニーメン)。
条件がいい仕事にあっという間に転職してしまうと、
日本から見れば自由度が高く見えるアメリカだが、
その反面、長年勤めていても、あっさり首を切られる。
重役だろうが、それは同じ。
その会社を愛して、家族のために働いて来た男にとって、
仕事を失うことは、最悪の状況だ。
家族を養わなければならないという現実的な問題と、
自分が会社にとって必要がない人間という自分を否定される屈辱。
この映画の男たちも、その事実をなかなか受け入れることができない。
観ていて、僕はずっとジリジリとしていた。
前に日本映画だが『トウキョウソナタ』を観たときも、同じような
ジリジリ感を感じていた。
いい家に住み、奥さんと二人の子供を養い、高級車に乗る
主人公のボビーの年収が
現在の円高レートだと、840万。
意外に少ない気もするが、販売部長ってこんなものなのかな。
それが何ヶ月も仕事がなく、その先も就職の見込みもなく、
大工の義兄の手伝いをすることになる。
ブルーワーカーの義兄は、この義弟が嫌いで、
ボビーも見下していたのだが、自分が仕事を失って、
頭に下げて、仕事をもらうことにより、逆に交流が生まれてくる。
よくあるアメリカ映画だったら、一発逆転の
ハッピーエンドが待っているだろう。
しかし、主人公やリストラされた男たちの努力は
なかなか実を結ばず、ようやくほのかな希望が見えたところで終わる。
仕事が見つからないって、本当に厳しいよね。
自分の未来が見えないということだし、
家族への責任もあるし。
そして家族も、どんどんジリジリしてきて、
ふがいない自分にもジリジリしてきて、
中にはこの映画のように、家族に言えず、
とうとう自殺してしまうことだってある。
俳優たちの演技が、すばらしい。
ふだんは大作やアクション映画に出ている人たちが、
本領を発揮して、じっくり演技をしている。
(★★★☆)