ヤング≒アダルト
2011年/アメリカ
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:シャーリーズ・セロン、パットン・オズワルド、パトリック・ウィルソン
配給:パラマウント
公開:2月25日より全国公開
ヤングアダルト小説のゴーストライターをしているメイビスは37歳。
ひとり暮らしの部屋で今日も二日酔いの朝を迎えた彼女。
そこに一通の見慣れないメールが来ている。
高校時代の元カレのバディからの、子供の誕生メールだった。
メイビスはバディと再びあの青春時代を取り戻そうと、故郷に戻る。
故郷でバディと再会したメイビスは、
彼がいまだに自分に好意を持っているとカン違いし、
やがてそれがトンでもない方向へ…。
『JUNO/ジュノ』の脚本家と監督である、
ディアブロ・コディとジェイソン・ライトマンが再びコンビを組んだ新作。
『JUNO/ジュノ』は観ていないが、ライトマン監督の前作
『マイレージ、マイライフ』は、ユーモアとほろ苦さを交えた語り口で、
見ごたえある“大人のコメディ”だった。
シャーリーズ・セロン演じる主人公の女性は、37歳という微妙な年齢?だが、
いまだに大人になりきれないところがあるゴーストライターだ。
ゴーストライターといっても、本に自分の名前が載っているが、
ヒットシリーズの続編を書かされているだけで、自分の名前は誰も知らない。
笑いながらも人によっては少々“イタい”気持ちになるドラマだ。
高校時代は周りがうらやむほどの美しさと才能を持ち、
自分中心に物事が回っていた主人公。映画ではふつう主人公ではなく、
脇役として描かれるタイプだろう。ハンサムな彼氏がいて、
成績も悪くなく、劣等感なんてまるで持っていなかった。
まあ、クラスの女王的存在だ。
しかし退屈な田舎町を出て20年近くたてば、
現実との落差が彼女にも忍び寄ってくる。
田舎じゃ女王でも、都会じゃ「そこそこ」にしかならない。
そんな彼女が田舎町に戻れば、
みな目の前の現実と折り合いをつけ、
なんだか幸せそうに暮らしている。
イケイケだった元カレもマイホームパパで、子供にデレデレだ。
しかし自分中心に物事を考える主人公は、それを理解できない。
都会にいた時からそうだったのか、それとも大したことのない
現実に満足している、かつての友人たちを見てしまったからか。
ここから彼女の、
カン違いの暴走が始まる。
描き方によっては、“イタい”人のシリアスドラマ、
サイコスリラーにもなりかねないところだ。
途中で、元カレの奥さんが地元で組んでいる女性バンドのライブ
がバーであるのだが、その
アマチュア感がものすごいリアルで、
(日本でもママさんバンドの発表会はこんな感じ)
先日見た、
黒木瞳の『ウタヒメ』がいかに現実離れしていたかが相対化される。
あっちもリアルにしょぼ゛く演奏してほしかったなあ。
そして主人公、セロンはもう最後のほうはどんどん、イタい、
かわいそうな人になっていくのだが、
それまでまったく存在感のなかった脇役の女性が、
それまでの見た目とまったく違った人だったことがわかったりと、
とにかく、イタい笑いが続いていく。
このあたりは、今までの映画ではあんまり描かれなかったけど、
現実には「あるある」という感じだ。
そういえば僕の周りにも、かつては美人で仕事ができて、
理想が高く、婚期を逃してしまった女性たちがいたなあ。
もっともそれは女性には限らないんだろうけど。
(★★★☆)