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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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DVDで観た最近の映画2013 -3『ミッション8ミニッツ』『メランコリア』ダンカンVSトリアー

ネパール出発前にTSUTAYAに行って見逃していた2012の映画を
何本か借りてまとめて観ました。
忘れないよう、感想を簡単に上げておきます。

1/19 『ミッション8ミニッツ』(ダンカン・ジョーンズ監督)
『月に囚われた男』で監督デビューしたダンカン・ジョーンズ
父デビッド・ボウイとは似つかぬ風貌だが、
才能は遺伝するのか『月に囚われた男』は悲しくも優れたSF映画だった。
この『ミッション8ミニッツ』も期待が高まろうというもの。
主人公はアフガニスタンに派遣されていた兵士。
眠りから覚めるとそこは列車の中。
自分は見知らぬ男になっており、向かいには見知らぬ女性がいる。
8分後、爆発が起き、列車は炎に包まれる。
気がつくと彼は狭いブースの中にいて、モニターに軍人の女性が映る。
そして彼の任務を告げる。数時間前、乗客が全員死亡した
列車の爆破テロがあり、犯人は次の犯行を予告している。
それを防ぐために、彼は死んだ乗客の脳に残った記憶にアクセスして、
犯人を捜すという使命を帯びていたのだ。。。
何度も何度も繰り返す8分間。最初は失敗続きだが、
やがて要領をつかんでいく主人公。そして8分間を繰り返すうち、
目の前にいる女性を好きになっていく。

ずっと前に見たコメディの佳作『恋はデジャヴ』を思い出した
ふつうの映画なら、クライマックスに持っていく仕掛けを、
ここでは中盤にあっさり見せてしまい、
また犯人も早々とわからせてしまう
たぶん「意外な展開」ではなく、それらをふまえた上で
主人公はどうするか、を描きたかったのだろう。
主人公の境遇も『月に囚われた男』と同様、悲しくも絶望的だ。
しかし、今回は反則かもしれないがあえてハッピーエンドを選んだ。
その前で終わってしまったほうが、映画的にはすっきりするが、
そこからあえて一歩先に進んだ所に、希望が見える。
(★★★☆)

1/24 『メランコリア』(ラース・フォン・トリアー監督)
ラース・フォン・トリアーは基本的には好きな監督だが、
きっと本人は非常に嫌な奴に違いない(笑) 
本作は鬱病をわずらっていた彼が、その回復のために作った映画だ。
(『アンチクライスト』もそうだ)。
キルステイン・ダンストの結婚式が始まろうとしていた。
姉のシャルロット・ゲンズブールとその夫の
キーファー・サザーランドの計らいで、豪華な結婚式だが、
キルステインは鬱で、それが苦痛でしょうがない。
人によっては「延々とキルステインのわがままを見せられて苦痛」という
前半1時間だが、僕はそうでもなかった。
でも、人のレビュー読むと、かなり嫌な女として
この主人公は受け止められているようだ。
まあ、お客を待たせて風呂に入ったり、結婚式の日に旦那以外と
屋外セックスしたりと、破滅的という自傷行為というか。
がんばろうとしようと思うと、体が動かなくなってしまう。
ここで常識的な姉とその夫が対比される。
第二部では、今度は地球にメランコリア(鬱)
という名の惑星が接近している。惑星が近づくに従って、
キルステインはどんどん元気になり、その反面、
姉のシャルロットは錯乱していく。
そしてメランコリアは地球を飲み込んでいく
前作『アンチクライスト』に比べると、
メタファーもかなり直接的でわかりやすい
トリアー監督は自分が鬱だったときに、それを理解できない周囲に
そうとうイライラした
という。
ただ鬱の人はふだんからそうした状況にいるので、
何か一大事があったときに、ふつうの人に比べて動揺しないと
いうのが彼の持論だ。そこで、この映画では、
「世界なんて滅んでしまえばいい」と思っていたところに、
そういう状況になったため主人公キルステインは生き生きとしてくる。
しかし常識人たちは、みな無様な姿を見せ始めていく。
たぶん、そんな姿を描くことにより、トリアーは周囲の人たちに
復讐しているのだ。自分が鬱だったときに無神経だった人たちは、
巨大な「鬱」に飲み込まれ、無様な姿をさらして死ねばいいと(笑) 

イントロのハイスピード撮影、そして惑星衝突はすばらしい映像。
そしてお金もかかっているであろうSF大作なはずなのに、
自分よがりな映画を作るトリアー監督。
嫌いな人もたくさんいるだろうなあ。相変わらず面白かったけど、
今回は言いたいことがちょっとストレート過ぎで、
子供っぽく、深みに欠けるのが難かも。
映像はすばらしいけれど。
(★★★☆)
by mahaera | 2013-02-04 15:41 | 映画のはなし | Comments(0)
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