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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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息子に世界史を教えていて思うこと 4 宗教改革

●12月6日

子どもに教える世界史。今日は「宗教改革」。

 こう聞くとすぐに「スペインの宗教裁判」を思い出す人はモンティ・パイソンファンだが、子どもはルターの主張はわかっても、カルヴァンの「予定説」は理解できない。「だっていくら努力しても決まっているなら、がんばらないじゃない」。まあ、ふつうそうだ。しかし当時のカルヴァンを受け入れた人たちはそうはとらず、「私がこれだけ勤勉に仕事をしているのは、私が選ばれた人間だからだ」と思ったようだ。しかしカソリックとか正教会は、この「予定説」は当然ながら受け入れていないのだけれど。試験的には、ルターよりもカルヴァンのほうが出る。あとは宗教改革で起きたいくつかの戦争や和議や公会議。
 教科書だと細切れだが、このころはルネサンスや大航海時代や、オスマン帝国の躍進やらが、平行して進んでいた。ローマ法王のユリウス2世がミケランジェロにシスティナ礼拝堂の天井画を描かせていたころ、東方ではオスマン帝国ではセリム1世が即位し、イランではサファビー朝が起こり、オスマン朝との戦いが迫っていた。インドのグジャラート王国のディウ沖海戦では、ポルトガルがマムルーク朝海軍を撃破。その2年後にはマラッカ王国も征服している。ヨーロッパではエラスムスが「愚神礼讃」を書き、あと5年でルターが「九十五か条の論題」を出して宗教改革が始る。ダ=ビンチはモナリザを描き、イギリスでは生涯に6度も結婚したヘンリ8世が即位。新大陸は18年前に発見されたばかりなのに、早くも西インド諸島にアフリカから黒人奴隷がスペインによって運ばれている。きっとそんな世情に疎かったミケランジェロは、せっせと天井画を描いていた4年間だった。ちなみにミケランジェロは88歳まで長生きし、後輩のラファエロが早く死んだのでその仕事(サン・ピエトロ聖堂の建築)まで引き継いだ。その間に30年続いたイタリア戦争が始まって終わっていた。
 写真は60歳の頃のミケランジェロさんです。
by mahaera | 2015-12-16 08:56 | 日常のはなし | Comments(0)
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