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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『サバービコン 仮面を被った街』 コーエン兄弟節は楽しめるが演出が消化不良



舞台は1950年末のアメリカの郊外の街、サバービコン。
都会から逃れてきた白人ばかりの郊外住宅地だが、
そこに黒人一家が引っ越してくる。
住民たちは、あからさまな嫌がらせや反対運動を始めるが、
それは背景。
その隣の家に住むロッジ一家にある日強盗が入り、
ロッジ(マット・デイモン)の妻(ジュリアン・ムーア)が命を落とす。
犯人が捕まらないまま時が経つが、ロッジの息子ニッキーは、
その理由を知り、命を狙われることに。。。

少年が命を狙われ、周囲は悪人ばかり、どうやって助かるかという、ヒッチコック風スリラーが話の骨格だが、
脚本のコーエン兄弟にかかると、
悪党どもは残虐だがお互いを信用せず、
つまらないことから自滅していく愚か者たちばかり。
ブラックコメディとも言えるのだが、
死人もバタバタ出ていくので、笑ってばかりとも言えない。
名作『ファーゴ』に近い雰囲気とも言える。

ただし監督は社会派のジョージ・クルーニー。
いつの間にか6作目の監督作品だが、見た目は立派な家族も、
一皮むけば、、、と、人種問題も入れ込んだりしているのだが、
どうもそれがうまく噛み合っていない。
社会派がとってつけたようにしか感じられないのが、
もったいない。言いたいことはわかるんだが、
ここは素直に少年の目から見たスリラーにしたほうがよかったかも。
隣の家の黒人一家の受難エピソードが、
映画を見ていてノイズになってしまうのだ。

一人二役のジュリアン・ムーアの、普通だけどどこかおかしい演技は、「キングスマン/ゴールデンサークル」に通じ、その異常さを楽しめた。
★★☆

by mahaera | 2018-05-10 10:11 | 映画のはなし | Comments(0)
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