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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『イカリエ-XB1 デジタル・リマスター版』 1963年のチェコ製SF映画のリバイバル



1963年/チェコスロバキア

監督:インドゥジヒ・ポラーク
出演:ズデニェク・シュチェパーネク、フランチシェク・スモリーク
配給:コピアポア・フィルム
公開:5月19日より新宿シネマカリテほか全国にて順次公開

ちょっと珍しい、1963年のチェコスロバキア製SF映画
のリバイバル上映。ポーランドのSF作家
スタニスワフ・レムの小説「マゼラン星雲」が原作で、
22世紀後半、アルファ・ケンタウリ惑星系を目指して、
生命の調査の旅に出た宇宙船イカリエ-XB1を描いたもの。

時代的には「ウルトラマン」や「スタートレック」が
始まるちょっと前だけど、宇宙船内のデザインは、
のちの「2001年宇宙の旅」にもつながる、未来感。
装飾を廃し、直線で構成される現代建築の影響下のセットは、
今見ると失われた未来を見ているようだ。
しかしスペースオペラのSF映画を見て育った人にとっては、
非常に地味な映画だろう。だって宇宙人や怪獣も出てこないし、
大スペクタクルもない。CGは当然ないが、
ミニチュアや合成以外の特撮もほとんどない。
なので、俳優のセリフや演技で、話を運ぶしかない。やはり地味だ。

しかし、僕が子供の頃のSFってこんなものだったような気がする。
SFは子供向けでなく、大人向けで、
そして科学と哲学がせめぎ合うものだった

派手な爆発とか、撃ち合いとかもなく、
淡々と未知なものを解明していくのが主流。
本作も、イカリエ-XB1 がアルファ・ケンタウリに着くまでの
船内の様子と人間模様を描くだけだ。
大きな事件は2つ。不審な漂流船を発見するのと、
ダークスターの影響で船内の人々の精神や身体が病んでいく
という2つのエピソードだ。
危機は危機だが、派手さはない。
現在の文明批判的なものも少しは含まれるが、
それほど深追いもしない。

では、つまらないのかというと、そういうわけではない。
セットのディティールとか、結構気になって見てしまう。
そして、「あの頃は、こんな未来感を持っていたのか」と、
図鑑を見ているような気になるのだ。
45分のSFテレビドラマを2本見たような気分。
ただ、疲れている時に見たら、寝るかも
『惑星ソラリス』がそうだった(笑)
★☆


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by mahaera | 2018-05-17 11:18 | 映画のはなし | Comments(0)
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