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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編]先史時代/1.人類の誕生 その6 最終氷期の終了と温暖化

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(写真)アメリカ先住民の展示が充実している、ニューヨークの自然史博物館。でかい。

最終氷期、終わる

最終氷期のピークは2万年前で、それから徐々に
地球の温暖化が始まり、海面は上昇していく。

約1万5000年前にはベーリング陸橋が海峡になり、
以降、アメリカ大陸は切り離された

また、同じ頃、東南アジアにあった陸地の

スンダランドも水没し、現在のような島々に分かれた
約1万3000年前には日本列島が大陸から切り離された
つまり、現在のユーラシアとアフリカ、アメリカ、

オセアニアに、人類は大きく分断され、以降、

15世紀末までほぼ1万6000年間、別々の歴史を歩むことになる。

約1万年前(紀元前8000年)には完全に氷期が終わった。
辛い時代を耐え抜き、ホモ・サピエンスのみになった

人類は世界中に分布しており、
人口はこの頃には500万人にまで増えていた


この時点では、一部の地域では農耕の原型は始まっていたが、基本的には現生人類は狩猟採集民で、原人と生活様式は変わらなかった。

ただし、進みは遅かったが原人に比べると、

1万年前までに技術や経済、社会のシステムは進歩していたようだ。


中石器時代と狩猟具の発展


旧石器時代から新石器時代までの移行期である、
2万年ぐらい前から農耕の開始まで(地域によって時期は異なる)を、「中石器時代」と呼ぶこともある。
この時期、石器はより薄く細い、細石器が使われるようになった。
石器は単に手頃な石を使うだけではなく、
加工されてナイフのようなもの、槍のようなものなど、
目的に応じて使い分けられるようになっていた。
より加工しやすい骨や象牙も積極的に道具として

使われるようになり、槍の先端や針に使われた。


槍投げ器(アトラトル)も1万8000年前には生まれていた。
槍投げ器は、槍を引っ掛ける木の棒のようなもので、
弓矢や投石器に取って代わられるまで、
世界的に広く使われていた狩猟具だ。
これは、てこの原理で力も入らず、ただ槍を投げるよりも飛距離が延び、100m以上槍を飛ばすことができる。
僕は昔、漫画の「MASTERキートン」に登場して覚えた。
キートンがタクラマカン砂漠に放置される回だ(笑)。
近づくと危ない大型の野生動物も、
遠くからこれで倒していたことだろう。


狩猟に明け暮れていたネアンデルタール人の骨は
骨折が多いことで知られているが、
それは獣とガチで接近戦で格闘することが多かったから。
槍投げ器なら遠くから致命傷を負わすことができるので、
当時では銃を発明するぐらいの破壊力があったはずだ。
やがてヤジリ付きの弓矢が槍投げ器に代わるが、

アメリカ大陸の先住民はヨーロッパ人が来るまでは使い続けた。

槍投げ器が弓矢に変わった理由には、
世界的な気候の変化もある。
氷期が終わった最初の数千年は、
氷河が溶けた後に広い草原地帯が広がっていたろう。
しかし草原は次第に大森林地帯に変わっていった。
飛距離を稼ぐ槍投げ器は開けた草原向き。
森林地帯になれば、飛距離よりもハンディでスピードが速く、正確に狙える弓矢の方が勝る。
落葉樹の森が広がった日本の縄文期でも1万3000年くらい前には、槍投げ器は弓矢に代わられたようだ。


衣服と装身具

7万年ほど前、寒さから身を守るために作られた衣服も、
最初は毛皮をまとっただけだったろう。
それが次第に皮をなめしたり、
紐で留めたりするようになった。
暑い地域では、植物を使った簡単な腰蓑のようなものが生まれていたろう。
紐は革紐や、植物の繊維をよったものが使われ、網や罠が作られた。
ここまでくれば、袋やカゴも生まれ、物を運んで移動することもできた。


装身具も3万年前には作られていた。
穴を開ける細い針や、結ぶ紐がなければ首から下げることはできない。
最初は骨や象牙、貝などに穴を開けてそのまま使っていたが、やがて骨からビーズを作るようになった。
2万年前には、専門と兼業でやらなければ作れないほど、

当時の道具では精巧な装身具が作られている。
つまり、食料調達のみに精を出す人、

道具や装身具を作る人など、ある程度専門化が進んでいたようだ。


by mahaera | 2018-05-25 10:55 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)
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