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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編]先史時代/1.人類の誕生 その7 洞窟絵画、専門・分業化の始まり

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(写真)インドネシアのスラウェシ島にある、リアンリアンの洞窟手形。
手形は、たいていの洞窟壁画で見られる。これはそれほど古くなく、5000年くらい前のものらしい。


宗教と芸術の始まり


大学受験で先史時代が出題されることは少ないと前に書いたけど、
その中でたまに出題されるのは、クロマニョン人による洞窟絵画だろう。
狩りなどの生活を、洞窟内に描き、「芸術の始まり」とも言われている。
ネアンデルタール人が描いたという証拠はない。
とりあえず、スペインのアルタミラ、フランスのラスコーは覚えておこう。
こうした洞窟壁画は世界各地にあるが、中には数百年前に描かれたものもあるので、一概にすべて先史時代のものとは言えない。


こうした洞窟絵画がなぜ描かれたか、
推測でしかないのだが、学者たちは「狩猟の成功を願う呪術的な作品」としている。
そこに描かれているのは、ウシ、トナカイ、ゾウ、ウマ、シカ、クマ、サイなど、このころにまだヨーロッパにまだいた動物も含まれているだけでなく、動物の仮面をつけた呪術師(シャーマン)らしき者もいる。
すでに今でいう「世界観」もあるようで、宗教や神話の萌芽が見られる。
多分、この絵の前で儀式なども行われていたのだろう。
死生観や神や精霊といった概念も生まれていたと思われる。


オーストリアのヴィレンドルフで発掘され、

「ヴィーナス」と名付けられた高さ11cm女性の石像も、この2万年前ほどのもの。
でっぷりと太った女性のこの小像は、多産や豊穣を象徴するものとして、
呪術的な願望が込められているとされている。
きっと見たことがある方もいるだろう。

人類は世界に拡散し、それぞれ切り離されたが、

その前にすでにお洒落をし、宗教や芸術もあったと考えると、もうすでに我々にかなり近い精神性は持っていたようだ。


専門・分業化の始まり


世界史の教科書では触れられていないが、
現在の我々の繁栄の必須条件である「専門・分業化」も、
この頃に始まったようだ。
それまでにも男性が「狩猟」、女性が「採集」という分業は、
ホモ・サピエンスの登場以前、
すでに原人や旧人の段階であったと推測されている。
男性が動物を狩っている間、女性は植物の根を掘り、
果物を集めるだけでなく、動物の骨から道具を作り、
衣服を作り、調理をしていたのかもしれない。
最初の分業だ。
しかしそれだけぐらいで、何十万年も人類は保守的で、
変化のない生活を送っていた。

しかしそれ以上の技術の進歩には、
人類には分業・専門化が必要だった。
一人で、食料の確保から調理、道具や服、

家をいちから作ること想像してみてほしい。


しかし分業・専門化が成立するには、
大きな集団が必要だった。

小さな集団では、誰かが革新的な方法を発明しても、
その継承者がいなければその技術は退化し、
やがて消えてしまう。たとえば、たった数十人の集団だと、
次の世代に道具を作るのが不得意なものや怠け者が多かったら、次の次の世代にはもう高度な道具は作れなくなるだろう。
しかしそれが大きな集団なら、継承されるチャンスは多く、
より有能なものがより高度なものを生み出すかもしれない。
これは同じ集団だけというわけではなく、
いくつかの小集団が高い密度で住んでいる地域でも、
物の交換をしている間に技術が受け継がれることもある。


「技術の退化」の例でよく使われるのが、タスマニアだろう。
1万年前、海面の上昇によってオーストラリアから切り離されたタスマニアでは、その後、オーストラリアのアボリジニが持っていた多くの技術を失った。
寒さ対策の衣服、釣り針、針、槍投げ器、魚捕りの罠、
海洋を渡る舟などだ。
イースター島などの孤立した島でも、似たような話がある。
つまり、他の集団との交流がなく、少数で孤立すると技術の継承がなく、人間も退化していくこともあるということだ。

我々も現在の文明を維持するには、ある程度の人口が必要だ。
高度な技術を維持するには、専門職が社会に必要
食料の確保以外に、時間と労力をかけられる専門職が社会に現るのは、人の間に「分業」という概念が生まれなければならない。
つまり、その前に人類の間に「交換」が始まっていたのだ。
by mahaera | 2018-05-26 13:51 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)
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