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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編] 先史時代/2.農耕と牧畜の開始(前1万3000〜前6000年)その5

歴史時代に入るまで、ちょっと時間がかかっているが、ここがけっこう面白い。歴史学というより人類学の方が近いが、人の生活の基本とされ、今では当たり前のことになっていることをどうしてできるようになったのか。あるいはできなかったのかを知るのはワクワクする。

サバイバル本を読んでいるのに近い感覚だ。

人間の歴史は、多くの工夫によって成り立っている。それは今も通じること。子供には、既製のものをただ使うのでなく、そうした工夫して生み出す人間になってほしい。


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(写真)ニューギア高地の「塩の池」。

丘の上に塩水が湧き出て溜まる場所があり、海から遠い内陸ではここが近隣の塩の供給池になっていた。

ただし土器がないので煮詰めることはできず、彼らは植物を浸して吸い取らせ、それを焼いて塩を取り出していた。灰交じりだが、それが美味しいと今も現地では愛好者は多い。


前7000年、南アジア、東サハラでも農耕が始まる


インダス文明に先行して、インダス渓谷では前7000年に

大麦や小麦の栽培品種化やヒツジやヤギの家畜化が行われている。
現在のパキスタンのクエッタ南東にあるメヘルガルから

農村の遺跡が発掘されたのは1974年の事。
これは「メヘルガル期」と呼ばれ、南アジア最古の遺跡だ。
副葬品としてこの地方にはない貝殻や貴石も見つかり、
すでに幅広い交易が行われていたことわかる。

また同じ前7000年ぐらいになると、
東サハラでも農耕が始まり
まもなくヒツジやヤギが家畜化された。
サハラ沙漠は1万2000年前に始まったヤンガードリアス期を経て湿潤化し、前8000年まではゾウやカバも暮らしていたほど。
現在のサハラの大半は草原やステップ、森林になっており、
農耕が始まった頃のサハラはまだ暮らしやすい環境だった。
現在に続くサハラの乾燥化が始まるのは前3000年ごろという。

新石器時代の始まり


農耕と牧畜の開始により、歴史の時代区分では
「新石器時代」に入る(前8500年)
これまでのこともまとめながらざっくり言うと、
人々は集落を作り、農耕や牧畜を始め、
石斧や石臼などの磨製石器を作るようになる。
木を切り倒し、穀類を粉にするためだ。
地域によっては、織物や土器が作られるようになる。

ものが増えすぎると引越しは面倒なのは、昔も同じ。
生活に必要な多くの石器や土器を持ち歩いての移動は大変だ。
もちろん人類すべて新石器時代に入って定住生活に入ったわけではないが、その割合が多くなっていくのだ。
新石器時代の終わりは、金属器を使う銅器時代(前4000年)の始まりで、場所によっては直接鉄器時代に入った地域もあった。

初期の農耕は雨水に頼る「乾地農法」で、肥料も使わなかったので土地の養分が失われるだけの「略奪農法」だった。
そのため、しばらくすると土地は痩せ、現在でも行われている焼畑農業のように、耕地を移動していた。
農耕が次のステップに移るのは、「灌漑農業」が始まる前6000〜5500年になる。


土器の使用


土器の発明は、新石器時代よりも実は古い。
最終氷期が終わった2万年前の原始的な土器が、
中国の江西省で見つかっている。
土器は石器と違い、人間が化学的変化を利用して最初に作った道具だ。
もっともその最初は、たき火の跡にあった粘土が硬くなることに気がつくなど単なる偶然だったのもかもしれない。
しかし、やがて人類は土器を作る方法を覚える。
初期は人形などで実用的なものではなかったが、

前1万4000年には煮炊きなどの調理用に使われるようになり、

調理に革命を起こす。
調理には、焼く、蒸す、煮る、炒めるなどの方法があるが、
食材を煮て柔らかくしたり、スープを作ったりできるようになったのだ。

前9000年に農耕が始まったニューギニア高地だが、
新石器時代に入って約3000年、
20世紀に至るまで結局土器が使用されることはなかった。
逆に土器は日本にはいち早く伝わり、一時期は日本の縄文土器

「世界最古の土器」とされていたことがある(前1万4000年)。

西アジアで土器が使われるようになったのは、
農耕の開始に遅れた前9000年ごろだ。
東アジアと西アジアでは土器の出現にかなりライムラグがあるが、その理由についてはまだはっきりしていない。
採取生活でも貯蔵に土器は必要だったのか、
もしくは煮込むなどの料理方の違いによるのかもしれない。


by mahaera | 2018-06-09 12:28 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)
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