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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『ブリグズビー・ベア』 おすすめ! 過去への決別と未来への前進が詰まった爽やかな感動作


2017年/アメリカ

監督:デイヴ・マッカリー
出演:カイル・ムーニー、マーク・ハミル、グレッグ・キニア、マット・ウォルシュ、クレア・デインズ
配給:カルチャヴィル
公開:6月23日よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマカリテにて上映中


多分、いま、上映中の映画で一番好きなのがこれ。

アメリカのインディーズ映画で、前評判知らなくて観たが、忘れられない一編となった。

それまで囲われていたいた場所から、世界へ一歩踏み出していく人間の話で、

「トゥルーマンショー」「ルーム」「ラースと、その彼女」

通じる感動がある、オススメ作品だ。


外界から隔絶されているシェルターに、両親と住むジェームズ。

世界は荒廃し、外には出られない。そんな彼の楽しみは、

毎週届く教育番組「ブリグズビーベア」のビデオだけだった。

着ぐるみのクマが、宇宙をまたにかけて悪と戦う番組で、

ジェームズはそこから全てを学んでいた。

しかしある日、警察がやってきて、その生活は終わりを告げる。

実はジェームズは25年前に、両親だと思っていた二人にさらわれて育てられていたのだった。

“本当の両親”の元に戻るジェームズだったが、初めての世界に馴染めない。

そしてジェームズにとって全てだった「ブリグズビーベア」の続きも見られない。

そこで彼は、自分で作品の続きを作ろうとする。


長い誘拐生活から現実世界に戻ってきた青年。

しかしその時間はあまりに長く、またそれ以外を知らないで育ったため、

自分と周りの世界と、どう折り合いをつけていくかに苦しむ。

そこで彼が考えたのは、自ら物語を作ることで、

今までの自分を総括し、次へ踏み出すことだった。


こう書くとシリアスで重苦しい感じがするが、映画は全体にユーモアと優しさに満ちている。

何よりも、映画につきものの、定番の“悪人”が出てこない

ジェームズをさらった偽の両親でさえ、彼を愛していることには変わりはない。

本当の両親、事件を担当していた刑事、初めて出来た友人たちも、

みな、優しさに満ちた(かといってベタな優しさの押し売りはない)人たちばかり。

ちょっと距離感を持って優しいところが絶妙だ。

それは主人公は、見かけは大人だが、心はまだ子供のように純粋だからだろう。

見かけが青年だから、周囲は自分たちが失ってしまったものを感じ、進んで彼に協力するのだ。

ストーリーは単純だが、この作品からは様々なテーマが、重層的に織り込まれている。

「物語ることの大切さ」、「幼年期の決別」、「ルールが違う世界に入る戸惑い」

主人公がもがき、それが周りを動かし、サポートしていく姿は心を動かす。

しかも全く押し付けがましくない。きちんと映画として見せているからだ。

そして最後には、爽やかな感動がある。

上映館は多くはないが、機会があったら見て欲しい作品だ。

★★★★

偽の父親役のマーク・ハミルも、彼のジェダイを知ってるので、すでに配役自体が暗喩になっている。


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by mahaera | 2018-07-05 10:51 | 映画のはなし | Comments(0)
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