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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編]先史時代・番外編 衣服の歴史/その1

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(写真)ニューギニア高地に住むダニ族の男性。
1990年頃に訪れた頃は、まだみなさん、こんな格好でした。

1万年前、人類はどんな格好をしていた?

先史時代の最後、文明の発生の一歩手前まで来たが、世界史の教科書、いや、参考書でもほとんど触れられていないのが、衣服の歴史だ。
旧石器時代に何度か訪れた氷期がきっかけで人間は動物の毛皮を着用するようになったとされているが、それもハッキリ分かってはいない。
服を着るようになり体毛が薄くなったと信じている人がいるが、これはまちがい。
人間はもっと早い段階で、毛深い体毛をなくしていた。
多少毛深いが、ホモ・サピエンスが世界に拡散した頃、体毛は現代人とそう変わらなかった。
ただし、ほぼ全裸で暮らしていた
身につけていたのは、せいぜい下半身のあの部分ぐらいだ。
20世紀になり“発見”されたニューギニア高地人は、新石器時代の暮らしを続けていたが、身につけている衣服は、男はひょうたんで作ったペニスケースのコテカ、女性は腰蓑だけといういたってシンプルなものだった。
高地なので、熱帯とはいえ夜は10度ぐらいとそこそこ寒く、昼間も20度ちょっとと普通の日本人なら裸では辛い。
多分、こんな感じで、前1万年ぐらいまでは、多少寒くても、ほとんどの人類は陰部に手に入りやすい植物性の何かを付けただけ、もしくは動物の皮を身につけて暮らしていただけだったろう。

ただし、北方で大型獣を追う狩猟民は別だったろう。
動物を仕留めれば毛皮がたくさん獲れ、しかも植物を巻くより長持ちするので、そちらが衣服の主流だった。
また、そう言った動物は寒い地方に棲息していたので、防寒具にもなる。毛皮を着るようになり、人間は寒い地方に進出していったのだろう。
ただしどんなに寒くても、野生動物は服を着ない。
人が最初に毛皮を身にまとうのは、防寒のためではなく、倒した動物の力を身にまとうという呪術的な意味があったのではないかとする説もある。
実際、前2〜前1万年のアルタミラの洞窟絵画には、動物の皮をまとった呪術師らしき姿が描かれている。
元々はそうした意味で動物の皮を身にまとい始め、それが衣服につながっていった説も捨てがたい。

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(写真)ブラジルのアマゾン川の原住民の民族舞踊ショーで。完全に観光用のショーなので、男性はパンツをつけているが、本来は腰に紐を巻いて、そこに布や葉っぱを指して前後を隠しただけ。女性もほぼ同じでトップレスだった。ショーでは女性はトップレスで踊っていたが、終わると普通にブラジャーをつけて、バイクで帰って行った。観光客が来るようなところでは、アマゾンの原住民だって、もう普段の服装は我々と変わらない。

農耕・牧畜の開始期の服装(前1万年〜前5000年)

さて、最終氷期が終わって地球が温暖化し、

農耕や牧畜が始まった前1万年前から歴史時代に入る前の

前3000年前ぐらいには、人々はどんな衣服を着ていたのか。
数千規模の大きな集落でも、人々は相変わらず、全裸に近かったのか。
実はこの時代、古すぎて遺跡から衣服はほとんど出土しない。
なのでハッキリしたところはわからないのだが、

栽培植物の品種改良と同じで、少しずつ衣服が発達していたようだ。
人は一度、衣服を身につけ出すと、それを放棄して全裸に戻ることはなかった。
なので、牧畜の始まりも、もしかしたら肉を得るより、

衣料を得る目的も強かったのかもしれない。


皮をなめす

毛皮は動物から剥いですぐには使えない。
まず裏側の組織を取り、乾燥させ、なめさないとカチカチになってしまう。

最初は棒でたたいたり、噛んでいたりしてなめしていたが、

やがて煙で燻したり、タンニンを利用する方法が見つけられた。
また、そのまま使うのではなく、毛をすっかりとって皮だけ残し、革製品を作ったりするようにもなった。
衣服以外にも、履物(サンダル)、バッグ、液体を入れる袋、皮舟まで考案された。

当時としては、皮は手に入りやすい原料だった。
狩猟民は、狩りによって得た皮を、農耕民から交易によって食料などと交換していた。
軽くて通気性のいい植物性繊維による織物が生まれるまでは、

人々は動物の皮を利用した服を着るのが(腰巻程度だが)、一般的だったのだ。
野生動物の狩猟と並行しての農耕生活は難しいから、

農耕を始めた集団が身にまとう動物の皮も、

手に入りやすい家畜(ヤギ、ヒツジ、イヌ)のものになっていったのだろう。


叩いて固めて作った衣服


糸を紡ぎ、編んだり織ったりするのは、かなりの技術が必要だ。

私たちだって知識なしには、布を織ることは難しい。
それをいつ、人類が獲得していったかだが、残念ながらあまりわかっていない。

ただ、ヒツジやヤギを家畜化するによって殺すことなく毛だけを刈り取るようになった前8000年ごろには、すでに人間は羊毛を加工して、簡単な衣類を作っていたようだ。

ただし最初は紡ぐのではなく、刈り取った毛を敷いて叩き、

繊維を押し固めてフェルトを作り、そこから衣服を作っていた
また、初期の植物繊維の衣料は、ある種の樹皮を剥いでそれを叩いて伸ばしたりして作っていたらしい。

これは今でもポリネシア地域では有効で、「タパ」という樹皮布が作られている。

(続く)

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by mahaera | 2018-07-08 12:23 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)
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