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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編]先史時代/3.各地域の文化の発生(前7000〜前3000年)その4


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(写真)先コロンブス期の土器。ペルーのプレ・コロンビア博物館収蔵。

時代は前1000年より新しいが、アメリカ大陸でも旧大陸より数千年遅れで、文明は進んでいた。



アメリカ大陸でも少しずつ農耕と牧畜が進む


アメリカ大陸で最初に栽培された植物はカボチャやヒョウタンだが、前5000年には六大穀物の栽培開始の最後となるトウモロコシが広く栽培されるようになっていた。
トウモロコシが米や麦と同じイネ科の植物という意識は、あまりないのではないだろうか。
起源はメキシコ高地に自生していた「テオシント」という植物だが、まだ実はオオムギとベイビーコーンの間ぐらいの大きさしかないし、形も似ていない。
これが何千年もかけて、食べる部分が多い現在のトウモロコシのように品種改良されたのだ。
ただし初期のトウモロコシは煮ても焼いても食べるところは少なく、美味しくなかった。
しかし加熱すると弾けてポップコーンのようになって食べられる。たぶん、テオシントを焚き火にくべたら破裂して、食べてみたら「いける!」となって栽培し出したのではないか。


前4000年ごろになると、アメリカでも土器が作られるようになる。

またメキシコではインゲンマメが栽培されるようになる。


前3500年にはアンデス山地でグアナコからリャマ(ラマ)が家畜化されている。
アメリカ大陸で家畜化された動物(リャマ、アルパカ、テンジクネズミ)は、力仕事には向いていなかったので、動力源として農耕に使われることはなかった。

そもそもアンデスでは家畜化されたこれらの動物が、中米のメソアメリカ文明に伝わることもなかった。

こうして南北アメリカ大陸でも、少しずつ旧大陸と同様に、農耕や牧畜が進んでいたが、スタート時点で3000〜5000年ほど出遅れていた。
そして両大陸の文明の差は、コロンブスが来るまで解消することはなかった。


停滞したオセアニア(前8000〜前3000年)


ニューギニアは前8000年ごろと世界で最も早く農耕が始まった地域のひとつだが、原始的な農業がその後、数千年経っても大きく変わることはなかった。
野生のイネ科の穀類が自生していなかったこと、そして家畜化できる動物がいなかったことが大きな理由だろう。

僕が最初にニューギニア高地に行ったのは1990年頃だが、子供達はたんぱく質不足でみなお腹が出ていた。
人がエネルギーを得る三大栄養素は、炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質だが、タロイモ、ヤムイモなどイモ類中心の生活なので、どうしても炭水化物中心になる。
町にはスーパーもある現代でもそうだったのだから、食用となる動物がいないこと、たんぱく質が豊富な豆類がなかった時代は、人口も増えずにそこから先に進むことはなかった(のちに犬、ブタなどの家畜は伝来したが、畑を耕す動力となる家畜はとうとう到来しなかった)。
土地も限られ、大きな集落は発達せず、谷ごとに違う言語に分かれたニューギニア高地人の世界では、都市が生まれることはなかった。


オーストラリアに人類が渡ったのは、アメリカ大陸よりも2〜3万年古かったが、相変わらず農耕も牧畜も始まらなかった。
こちらも理由は似たようなもので、農耕に適した植物が自生していなかったこと(イネ科がほぼ皆無)。
そして家畜化できる動物がいなかったこと。
ニューギニアで始まった農耕は、5000年経ってもオーストラリアには伝わらなかった。

とはいえ、オーストラリアの土地が農業や牧畜に適していないという訳ではないことは、小麦や大麦の農業や、ウシやヒツジの牧畜が盛んな現在を見ればわかるだろう。

しかし、外からそれらが持ち込まれる以前は、利用できる動植物が限られており、また、他の大陸から離れていたことで、農耕や牧畜という最新技術が伝わらなかったことから、西洋人が来るまで、狩猟採集民の生活から変わることはできなかった。


オーストラリアに人類が渡ったころは、当時最新の磨製石器を使い、おそらく当時世界で一番遠くまで舟を操れる技術もあり、岩絵も描いていた。
しかし農耕民になったニューギニア高地人とは異なり、狩猟採集民であり続け、一部では技術も退化していった。
たとえば孤立したタスマニアではは、本土のアボリジニたちが持っていた磨製石器、釣り針、漁網、銛、動物を取るための罠などの技術を前1500年には失ってしまった。
こうしてオセアニアエリアは、スロースタートとなった南北アメリカ大陸エリアに比べても、同じ生活スタイルをほぼ変えることはなく、時が過ぎていった。


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(写真)ニューギニア高地のトレッキンクで。少年たちが何か動物を見つけ、追い立てた。

すごい動物が見つかるのかと思ったら、小さなネズミ。しかし少年たちはその場で焼いて食べていた。

ここでは貴重なたんぱく質なのだろう。





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by mahaera | 2018-07-20 10:29 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)
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