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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『黙ってピアノを弾いてくれ』 破天荒な音楽家チリー・ゴンザレスの軌跡を追う

2018年/ドイツ、イギリス

監督:フィリップ・ジエディッケ
出演:チリー・ゴンザレス、ピーチズ、トーマ・バンガルテル(ダフト・パンク)、ファイスト
配給:トランスフォーマー
公開:9月29日より渋谷シネ・クイントで公開中

かなりの音楽通でないと知らないかもしれないミュージシャン、
チリー・ゴンザレスを追うドキュメンタリー
もちろん、僕も彼を知らなかった。

カナダのモントリオール出身の彼は、
やがて活動の拠点をベルリンに移す。
パンク、ラップ、アバンギャルド‥、クラシックとジャズで培った技術を、過剰な自己演出でプレイし、アンダーグランドさぷんぷんの時代。
さまざまな音楽実験を繰り返し、90年代末期から2000年代にかけて、独自なスタイルの音楽を積み上げていく。
そんな騒乱の時代を過ぎた彼は、メロディーやハーモニーを重視する、ソロピアノの世界に回帰していく。

映画は、友人からは“ゴンゾ”と呼ばれるチリー・ゴンザレスの幼少時代から、地元でのバンド活動、そしてベルリン時代など、ほぼ時系列に追っていく。
インディーズ活動をしている時代のビデオもわりと残っており、映像が映し出されるが小さなライブハウスでのパフォーマンスは、何かが過剰すぎてインディーズ感バリバリ(笑)。
つまり音楽以外の要素が多すぎて、逆に音楽が埋没してしまうのだ。たぶん、音楽的な才能はあるのだが、それ以外にやりたいことが多すぎて、ガチャガチャとしてしまっている印象だ。ラップだけでなく、MCを含めてしゃべりすぎ(笑)

それが、だんだんと音楽以外の要素(誇大妄想狂的な自己演出)が取れてきて、シンプルな音楽に回帰していくと同時に、“聴きやすく”なっていく。
本作のハイライトとなるウイーン放送交響楽団との共演ステージでは、そうしたバランスがうまく保たれているのだ。
ゴンゾが今までコラボしてきたアーティストは、ファイスト、ジャーヴィス・コッカー、ピーチズ、ドレイク、ダフト・パンクなどで、実際、僕はほとんど聴かないジャンルなので、ゴンゾの凄さはわからないし、あまり自分のタイプの音楽ではない。
ただ、まあ、こいうタイプの音楽をする人もいるんだと、興味は感じた。
そして現在のソロピアノなら、ちょっと聴いてみたい気もした。
 ★★☆


by mahaera | 2018-10-04 11:58 | 映画のはなし | Comments(0)
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