割と久しぶりの邦画だったが、居心地の悪さが最後まで続いた。
退屈して寝てしまうのではなく、周りのみんなは楽しんでいるのに、ひとりだけ乗れない感じだ。
実話を基にした原作がある作品。
主人公は、幼少時から母親の虐待を受けて育ち、
人との距離感がうまくつかめない青年だ。
デブだった少年を愛してくれたのは両親ではなく、
工場で働く婆ちゃんだった。
父親と離婚した母に引き取られ少年はやがて成長するが、
虐待はひどくなり、ついに家を飛び出す。
年月がたち、会社で働く青年になった主人公は劇団に入り、
心を許せる友人もでき、ようやく母親と向き合おうとする。
しかし、母親の心は変わらない。青年の努力が始まる。
こんな内容の話で、主人公を太賀、母親を吉田羊、
友人に森先ウィン、婆ちゃんに木野花が演じている。
で、まったく映画に乗れなかった。
途中途中、モノローグで子供時代の回想シーンにつなげるのだが、
子役がまったく自然じゃない。
子供劇団のあざとい演技のようで、
『万引き家族』を見習ってほしい。
大人の演技もオーバーアクションで、映画の間じゅう、
主人公も母親も怒鳴ったり叫んだりばかり。
あと、主人公と友人たちとの交流も、
見ていて気恥ずかしなる不自然さ。
素人劇団の描写あるが、あんな感じなのか?
細いディティールがちょっとずつ甘いのも、
映画を見ていてノイズになる。
雨音は結構するのに、路上は大して濡れてないとか、
いきなりのお見舞いなのに婆ちゃん眼鏡かけて寝ていて待機していたり、住んでいる家にリアリティがなかったりとか。
感動させたい、泣かせたいというのはわかるが、
あざとさが終始つきまとい、見ていて恥ずかしくなってきた。
たぶん、俳優の演出プランがよくなかったのだろう。
映画を見ている間、オーバー演技が気になって集中できないってことは。
この半分ぐらいのテンションでやるべきところかも。
常に大声で誰かわめいたり叫んだりしていて、こちらの気持ちが離れていった。
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