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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』もしこんな出来事が起きていたらと、ほっこりするコメディら


監督:エルネスト・ダラナス・セラーノ
出演:トマス・カオ、ヘクター・ノア、ロン・パールマン
配給:アルバトロス・フィルム
公開:121日より新宿武蔵野館ほかにて公開

■ストーリー
1991年のキューバでは、欧州での共産主義陣営の崩壊を受け、経済が深刻な打撃を受けていた。
また若者たちを中心に、価値観も変わろうとしていた。
そんな中、モスクワ大学に留学し、大学でマルクス主義を教えているセルジオも
社会の変容に戸惑っていた。
セルジオはアマチュア無線が趣味で、彼の苦境を知ったニューヨーク在住の
交信仲間のピーターかり最新式の無線キットが送られてくる。
しかしそれは当局にセルジオが目をつけられることでもあった。
ある日、セルジオはソ連の宇宙ステーション「ミール」の宇宙飛行士セルゲイと交信する。
やがて2人はお互いの家族のことや将来への心配を語り合える親友になっていった。
12月、ソ連は消滅しロシア連邦となる。
地球に帰りたいセルゲイのために、セルジオはある計画を練るのだが。。

■レビュー
最初にこれは実話ではなく、「もしあの出来事の舞台裏でこんなことがあったら」
という想像を膨らませたフィクションであることを知らせておこう。
僕も映画を見るまでは実話かなと勘違いしてた。
若い方はご存知ないと思うが、1989年に長年続いていた東西両陣営の
冷戦構造が崩壊したのは、あっけないほどの速さだった。
超大国ソ連も一気に崩壊し、たちまち貧乏国になってしまった。
そんな国家の混乱の中でも宇宙飛行計画は続いており、宇宙ステーションのミールに
ひとり取り残されたセルゲイは、「最後のソ連国民」と呼ばれていたという。

宇宙飛行士セルゲイ・クリカレフは実在の人物だ。
10年に渡って宇宙滞在時間の最長記録を保持しており、
映画のモデルとなったのは1991519日からの宇宙滞在で、滞在が延長される中、
1225日にソ連から離脱してロシア連邦が成立する。
セルゲイが帰還したのは翌年の325日のことだった。

映画は全体的にはコメディタッチで、基本的には出てくる人物は善人か、
悪役となる権力者側も“間抜け”に描かれ、陰惨な感じはない。
もちろんその中にも、キューバ国民の将来への不安やその後に起こること(ボート難民など)が
顔をのぞかせてはいるが、国家が頼りにならないとなると、
人々は違法ながらラム酒を作ったり葉巻を巻いたりと、たくましく生きる姿に描かれている。

気楽に観られる映画で、後味もいいが、
もう少しひねりが欲しかったかな。無い物ねだりだが。
★★★
(旅行人のウエブサイト「旅行人シネマ倶楽部」に寄稿したものを転載しました)

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by mahaera | 2018-12-02 09:12 | 映画のはなし | Comments(0)
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