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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編] 人種・語族・民族

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(写真)山川出版社の「世界史」の教科書より。こんなにあるが、別に覚えなくていい。
ただ、たくさんあるなとわかれば。1万年ぐらいかけて、いろいろな言語に分かれたので、
またあと1万年ぐらいしたら、今度は「地球語」と統一されているかも。

[人種]
もともとは大差なかった今の人類が、
世界中に拡散していくうちに、
その地域の自然環境に合わせて適応し、
身体的な特徴が分かれ、「人種」が生まれた。

人種に関しては、歴史の中で優劣が論じられたこともあるが、生物学的な特徴を表した単なる環境適応であって、文化的なものとは関係ない。
現在はコーカソイド、ネグロイド、モンゴロイド、オーストラロイドの4人種分けが一般的だ。
「ネグロイド」は「黒人」とくくってしまうと全部同じのイメージがついてしまうが、他の人類と異なり「出アフリカ」をしていないので、遺伝子的には一番の多様性を持っており、さらにコイサン系の「カポイド」と、ニジェール・コンゴ系の「コンゴイド」に分ける場合もある。
ただし、この4大人種分けは生物学なものなので、
社会にそのまま使われるわけではない。

「コーカソイド」が白人というわけではなく、
コーカソイドのインド人は、
アメリカでは人種では「アジア人」とされているが、モンゴロイドではもちろんない。
以上の4大人種がさらに分岐し、
DNA的には18集団に分かれたという。
最終的には1万年ぐらい前には、住んでいる地域ごとに、現在に近い特徴がほぼ決まったのだろう。


[語族]
人類がいつから言葉を話すようになったのかはわからないが、初期の頃には簡単な言葉だったものが、時代を経るにつれて複雑化し、異なる地方では通じないほどに分化していった。
世界史では同じ系統の言語を話す集団を「語族」としているが、これは「人種」や「民族」とは直接は関係ない。
同じ言葉でも違う民族もいる。
かつて世界には「谷を越えたら別の言葉」のように無数の言語があったが、人々の行き来が簡単になったり、その地域が大きく統一されたりして共通言語が生まれると、いつしか共通言語しか使われなくなることもある。
少数派の言語は、多数派に組み込まれると、何世代後かには使われなくなるのだ。
今でも毎年のように多くの言語が消滅している。

世界史でよく出てくるのは「インド・ヨーロッパ語族」だが、これは人口でいえば世界の6%を占めるのみだが、公用語としている国が世界の国の約半数ということでその影響力は大きい。
インド系とヨーロッパ系の言葉が分岐したのは前4500年ごろと言われている。
イタリア系とゲルマン系の言葉が分岐したのは紀元前1世紀ごろというので、ローマ人はゲルマン系の言葉を理解したのだろう。
ちなみに古代ギリシャ語はもっと早く分岐していたので、ローマ人は習得しなければ通じなかったかもしれない。


[民族]
民族は言語を基盤としているものの、文化的伝統を同じくする集団を示す。
なので見た目が違ったり、言葉が違ったりしても、同じ文化的集団に属していれば同じ民族とする場合が多い。
民族と国家は別物で、どちらかといえば民族主義は長い間「アンチ国家」で、多民族を統治する国にとってはあまり触れたくない問題だった。
国の場合は広く覇権を広げたい傾向があるが、民族主義の場合は、極端に言えば自分の住む谷だけでまとまりたいのだ。
ということで、世界史の中で、民族が意識され、民族主義が国家と結びつくようになったのは19世紀以降。
それまでは「〜人」という意識はあったものの、それと国家は別という感覚が世界の大半を占めていた。


by mahaera | 2018-12-12 11:06 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)
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