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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『アリー/スター誕生』たぶんみんなが見たいサクセスストーリーではないだろうが


映画『ボヘミアン・ラプソディ』の割りを食ってか、
日本では予想外の不振となった感のある、
「スター誕生」の4度目の映画化。
今回は前回のバーブラ・ストレイサンド版を踏襲して、
音楽業界を舞台にしており、
基本的になストーリーもほぼ同じ。
ただしキャラクター設定は変わっている。
以下ストーリーを簡単に。

カントリー・ロックのスター、ジャクソンは
人知れず聴力が落ちる病気にかかっていた。
久しぶりに立ち寄った馴染みのライブバーで、
歌うアリーを見たジャクソンは彼女に心惹かれる。
かつて歌手を目指していたアリーだが、
いまはその夢も破れ、バイトで食いつないでいた。
彼女に才能を見たジャクソンは、アリーをステージに誘う。
やがてアリーは世間にも認められ、マネジャーもつき、
ソロデビューし、成功への階段を駆け上がっていく。
ふたりは結婚するが、ジャクソンのアルコール依存は進行していった・・。

旧作を見ていない人は、予告編やタイトルから想像して、
レディー・ガガ演じるアリーの成功物語と思うたろうが、
そう見るとアテが外れるだろう。
これは女性の成功と対照的に凋落していく男の物語でもある。
例えて言うなら、ライブエイドのステージを映画の中盤に持ってきた『ボヘミアン・ラプソディ』のようなもの。
だからその後に、死に至る下降の物語が続く。
なので最も高揚感があるのは、中盤でアリーがジャクソンのステージに呼ばれて主題歌「Shallow」を歌うところだ。
ここが感動具合で言うならピーク。
そこまでは観客は成功への階段を上る、
アリーの気持ちに同化しているので、
このシーンが感動的なのだ。
しかし、そこから先は映画の力点は、アリーではなく
アルコール依存に陥っていくジャクソンの方に移っていく
(映画内では均等に描いていくが、アリーは成功してしまっているので、それ以上のエモーションはない)。
なので映画の終着点は、予想がつくだろう。

監督・主演のブラッドリー・クーパーは、
本作をふたりの物語として描くことに徹底し、
ライブ演奏シーンにありがちな観客目線のアングルを排除しているのが特長だ。カメラはステージの上をただよう。

問題は、観客はレディー・ガガが演じているので、
最初からアリーの歌がうまいことに何の疑問も抱かない。
つまり歌手として、最初から成長しないので
そこがドラマッチックにならない。
あとはジャクソンと一緒にステージに上がっているときは、
よくあるロックだが、ソロになるとダンサンブルな今のガガと変わらない音楽になるのも違和感。

結論としては、後半に行くに従って高揚感はなくなっていくので、どうしても、長く感じたり、だるく感じたりするだろう。
とはいえ、それしか作りようがないのもわかる。
スターが誕生すれば、どこかで他のスターが消滅するのだ。

★★★


by mahaera | 2019-01-04 00:26 | 映画のはなし | Comments(0)
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