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今回、自分の持っているエルトン・ジョンのCDを数えたらなんだかんだで12枚持っていた。ライブも2回行っている。
なので今回の映画では、ほとんどの曲を知っていた。
本作はエルトンの前半生を描いた伝記映画ではあるが、リアルさは追求していない。
もちろん実際にあったエピソードを紡いではいるが、歌で物語を語り、進行させるというミュージカルなので、事実を再構築したファンタジーと言ってもいいかもしない。しかし映画とはそういうものだ。
映画は依存症施設に来たエルトンが、自分の半生を語るという形式になっている(話が飛んだり主観で語られるのもそのためだ)。
両親に愛されず、今でいう「毒親」の元で育ったレジナルド・ドワイトだが、音楽に関しては一度聴いたものは記憶して弾けるという才能を持っていた。王立音楽院に入学し、青年期はロックに傾倒。自分の名前を“エルトン・ジョン”に変える。
20歳のエルトンは音楽出版社で、作詞家希望のバーニー・トーピンと出会い(18歳ぐらい)、意気投合。二人は作詞作曲家のコンビを組み、やがて「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」が生まれる。
初めてのアメリカツアー。LAのトルバドールでのライブが大成功し、エルトンは一気にスターに。
しかしエルトンは、自分のセクシャリティに悩んでいた。そんな彼を、恋人であり、マネージャーのジョン・リードがサポートするが、やがて二人の関係は泥沼になっていく。
もがいても愛を得られないエルトン。次第に派手に、そして虚飾の世界に入っていくエルトンに、盟友バーニーさえも背を向けて去っていく。。。。
エルトンがゲイで同性婚をしていることは今では周知の事実だが、人気絶頂の70年代の頃はそれは公表されていなかった。フレディ同様、当時の社会ではそれはオープンにはできなかった。何せイングランドでは、1967年まで同性愛は刑法で“犯罪”とされていたほど。
なのでエルトンも最初は女性を愛そうとするが、失敗している。自分が同性愛者であることに気づいても、それを認められず、恥ずかしくも思う。
そして音楽のパートナー、バーニーは異性愛者なのでやんわりと拒絶され、寂しい思いもする。
ただし映画では、むしろエルトンの心を傷つけたのは、愛のない両親のようにも描かれる。
ハグを拒否する父親、稚いレジーは両親が自分に全く関心がないのを肌で感じている。
有名になったエルトンだが、両親は自分を有名人の親としてしか見ていない。
大人になっても、子供は両親に褒められたい。
いくつになっても子供は傷つくのだ。
キャラが類型的、演出に新鮮味がない、展開が予想がつくとか、完成度でいったら、本作はそれほど高くはないかもしれない。高揚感のあるいいシーンが前半に多いので、盛り上がって終わる感じでもない。コンサートシーンを最後に持って行って盛り上げた「ボヘミアン〜」とは対照的だ。
しかしレジナルド・ドワイトがエルトン・ジョンになり、最後にエルトン・ジョンこそが実は本当の自分だったと、幼い自分をハグするシーンは感動的だ。
人は、日々の生活では本当の自分を出しているわけではない。その落差が大きいほど、別キャラが必要なのだろう。ステージの上の方が、ほんとうの自分だってこともある。
ちなみに本作で一番の感動シーンは、「ユア・ソング」が生まれる場面だ。歌詞は知ってはいるが、こうして物語とシンクロすると、なんてチャーミングで愛に溢れた歌なんだと思う。というか、好きな人にこんなラブレターもらったら泣いちゃうのでは。バーニー役のジェイミー・ベル(「リトル・ダンサー」の少年)も、実にいい奴だ。
エルトン全盛期は、歌詞はすべてバーニー。なので二人にしかわからない内容の歌詞も多いが、それだけ二人の実人生や感じたことに迫っているとも言える。
最後に。スタッフの紹介を。
脚本のリー・ホールは、映画『リトル・ダンサー』や『ヴィクトリア女王最後の秘密』の脚本や、舞台「ビリー・エリオット」を手がけている。
監督のデクスター・フレッチャーは『サンシャイン/歌声が響く街』ですでにミュージカルを、『ボヘミアン・ラプソディ』では途中降板したブライアン・シンガーに変わって監督を引き継いだ(クレジットはなし)ことでも知られている。
製作のマシュー・ボーンは『キングスマン』シリーズの監督で、そこでタロン・エドガートンとエルトンに出会った。
主演のタロン・エドガートンはご存知だと思うが、映画本編で歌唱は、エルトンでなく、すべてタロンのもの。見た目は似てないが、タロンが歌うことでリアルさを得ている。
点数は「ユア・ソング」のシーンがいいので★★★★
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