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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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2019年度マイ映画ベスト10発表! 第1位は『ROMA/ローマ』


2018年に観た映画は、スクリーン、DVD、新作・旧作含めて193。前年の160本、前々年の129本に比べずいぶん増え、かなり精力的に映画を見た年だった。その代わり音楽活動はしてなかったけど。去年のトピックとしてはNetflixなどの配信系の映画の充実、「アベンジャーズ」「スターウォーズ」という2大シリーズの終わり。Tsutayaはあと数年でなくなるのだろうなあ。詳しいレビューは、リンク先にあるので、映画タイトルをポチッと押してね。

1. ROMA/ローマ(アルフォンソ・キュアロン監督/メキシコ、アメリカ)
そのNetflix映画の代表。内容、風格、革新性、どれを取ってもトップクラスの作品。1970年ごろのメキシコシティのある家族をモノクロ画面で描いたもの。画面の奥まで行き届いた画面構成、臨場感あふれる自然音など、大スクリーンで見るべきことは確かなのだが、Netflixでしか公開できなかったところに今の映画界の現状を感じる(どの映画会社も配給に名乗りを上げなかった)。もし見るなら、できるだけ大きな画面のテレビで、しかもヘッドフォンで完全集中してみること。その価値あり。

2. マリッジ・ストーリー(ノア・バームバック監督/イギリス、アメリカ)
新しい世代のウディ・アレンとも言えるノア・バームバック監督。名作『イカとクジラ』以降はなかなかホームランを出せずにいたが、とうとう素晴らしい作品が来た。自身の離婚の実体験をもとに男女のすれ違いを描いたほろ苦いコメディだ。旬の俳優アダム・ドライヴァー、実は演技派スカヨハ、そして実はコメディ演技がうまいローラ・ダーンと俳優陣のアンサンブルも気持ち良い。

3. アイリッシュマン(マーティン・スコセッシ監督/アメリカ)
3時間を超える作品なのに、映画好きには見ている間は至福の時間が続く。なんならテレビシリーズで毎週やってくれてもいい。多少違和感のあるCG若返りデニーロとかあるけれど、久しぶり登場のペシの凄み、そして今までのスコセッシギャング映画になかった「老い」による人生後悔という視点も新鮮。パチーノが死んでから長いという人もいるけれど、大事なものを失った男の末路をきっちり描いたからこそ、主人公の虚しさが迫る。おお、上位3作はすべてNetflix作品になってしまった。

4. アベンジャーズ/エンドゲーム(アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ監督/アメリカ)
劇場用映画のトップとして本作を入れたい。もう10年も見てきたシリーズ最終作、そして本作を観る前に『アイアンマン』からすべて見直しをして臨んだ。ということで本作単体ではなく、シリーズ全体(『ファー・フロム・ホーム』『キャプテン・マーベル』含む)としてこの位置に。ロバート・ダウニー・JRには功労賞をあげたいぐらい。単体映画としてはいろいろ言いたいことはあるにせよ、見事な大団円に「マーベルありがとう」と言いたい。

5. ロケットマン(デクスター・フレッチャー監督/イギリス、アメリカ)
エルトン・ジョンの前半生を彼の楽曲に語らせる形で再構成したミュージカルで、そのため時系列や事実とは多少異なるが、それが伝記映画よりもよりエルトンと作詞家トーピンの音楽を際立たせている。なのでエルトンの音楽が好きとかで評価が分かれるだろう。日本では死んで伝説になったフレディを描いた『ボヘミアン・ラプソディ』の人気が高いが、こちらはサバイヴした男で、こちらの方が好み。

6. ハウス・ジャック・ビルト(ラース・フォン・トリアー監督/デンマーク、フランス、ドイツ、スウェーデン)
「もう二度と見たくない映画」というのが、本作の最高の褒め言葉。通常の人間なら、ひたすら不快で目を背けたくなる話を、逃げ場のない映画館の座席で2時間半も見せられるのだから。しかも殺人をコミカルに描くのだから相当悪趣味だ。シリアルキラーの頭の中は見たくもないが興味はある。殺されるのは、たいていが抵抗できない女と子供。おぞましいが、映画は面白い。インパクトで言えば、昨年一番の映画。でも人にはすすめない。

7. ジョーカー(トッド・フィリップス監督/アメリカ)
『ハング・オーバー』シリーズの監督がこんな映画を撮るとは意外だったが、シリアスなドラマもうまい。本作はちょうど自分が映画を見て成長した7080年代のニューヨークを再現しているだけでもうれしい。冷静になってみると話の豊かさはないが、主人公のアーサー=ホアキン・フェニックスに話を絞ることで、観客の共感度は高くなる。予想外の大ヒットだが、世界中で皆、格差社会を肌で感じているからだろうか。

8. スパイダーマン : スパイダーバースボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン監督/アメリカ)
昨年観たアニメの中ではこれがベスト。新しい表現、よくできた脚本、そして感動。日本であまり話題にならなかったのが残念なほど、クオリティは高い。正直、単体クオリティとしては「エンドゲーム」より上かも。マルチバースという設定を生かしての、スパイダーマン世界の再構築もよくできている。「マーベル好きだけどアニメはね」という人は必見。

9. COLD WAR あの歌、2つの心(パヴェウ・パヴリコフスキ監督/ポーランド、イギリス、フランス)
モノクロ画面の中、冷戦の世界で結ばれない男女を描く。ただし二人が結ばれないのは、社会的な冷戦のせいではない。いくら好き同士でも一緒にはいられない、かといって離れれば相手への思いが募る関係。もうこの映画を見た後はしばらくずっと心の中で「オヨヨー」とテーマ曲を口ずさむ。やるせない大人の映画。こういうの、もっと見たいなあ。

すみません、同点ということで3本無理やり入れさせてください。詳しいレビューは、各リンク参照。『2人のローマ教皇』は映画を見たって満足感(Netflixだけど)に浸れ、『シュヴァルの理想宮』は長生きは辛いと考えさせられ、『ホテル・ムンバイ』はテロにあったら生き残るのは運だけって思った。

ベストテンにはもれたけど、見るべきおすすめ作品というか、自分にとって忘れがたい他の作品は以下のとおり。レビューはリンク先に書いてあるので、詳しくはそちらを読んでね。ミスター・ガラス』、『ブラック・クランズマン』、『サンセット』、『アリータ:バトルエンジェル』、『レゴ・ムービー2』、『アートのお値段』、『ワンス・アポン・ア・タイム・ハリウッド』、『スプリングスティーン・オブ・ブロードウェイ』、『アド・アストラ』、『少女は夜明けに夢をみる』。
by mahaera | 2020-01-22 12:30 | 映画のはなし | Comments(0)
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