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アルバムからのシングルは3枚。
イギリスではアルバム発売前の4月に先行シングルとして発売したのが『ブルースはお好き?(B面はアルバム未収録曲で英米で別)』。全英5位のヒットで80年代エルトンの代表曲になった。
アメリカでは半年後の11月にリリースされ、全米4位。
当時はMTV全盛時代で、日本でもよくこのPVが流れていた。1950年代のロカビリー時代、ダンスパーティで出会った恋人たちだが、男は徴兵されてしまう。監督はラッセル・マルケイ(『ハイランダー』など)。
このアルバムのベストトラックで、80年代エルトンの良さが最も発揮されたバラードだ。
間奏のハーモニカは一聴してわかるように、スティービー・ワンダー。少しずつ盛り上がるメロディーも秀逸な名曲だ。大好きな曲。
1983年2月にシングルカットした『アイム・スティル・スタンディング(B面は「心はさむいクリスマス」)』はイギリスで4位、全米では12位のヒット。
これもラッセル・マルケイが監督し、カンヌやニースなどのコートダジュールで撮影された。今となっては恥ずかしい歌って踊る演出だが、2019年の映画『ロケットマン』では、タロン・エドガートンがわざとその通りに再演している。当時ライブでは頻繁に演奏されて、「土曜の夜は僕の生きがい」に代わる80年代エルトン盛り上げナンバーになった。
3枚目のシングルは『キッス・ザ・ブライド』で全米25位、全英20位。アルバムとだと前曲から曲間を空けずに始まる、力強いポップナンバー。
ギターのリフが曲の要となっており、レギュラーメンバーらしいアレンジがロックぽさを生んでいる佳曲だ。
以下アルバムの曲を紹介。
A-1『心はさむいクリスマス - Cold as Christmas』アルバムのオープニングは意外やゆったりとしたバラード。ゲストでレイ・クーパー(パーカッション)とキキ・ディー(コーラス)が参加。イギリスのみアルバムから4枚目のシングルカットになった(33位)。
A-2『アイム・スティル・スタンディング - I'm Still Standing』前述
A-3『トゥー・ロウ・フォー・ゼロ - Too Low for Zero』アルバムのタイトルトラック。シンプルに刻むビートに乗って歌われる
A-4『神様はお友達 - Religion』明るいミドルテンポのナンバー。普通の曲だが、耳につくメロディー。こういう曲にこそエルトンの調子がわかる。
A-5『ブルースはお好き? - I Guess That's Why They Call It the Blues』前述
B-1『愛しのクリスタル - Crystal』デモテープのようなシンプルなサウンドの曲だがわりとしみじみ聴かせる曲
B-2『キッス・ザ・ブライド - Kiss the Bride』前述
B-3『ウィッピン・ボーイ - Whipping Boy』アップテンポなマイナーロックナンバー。バンド録音の良さが出たナンバー。
B-4『君はセイント - Saint』
アップテンポのナンバーが続いた後で、アルバムはこの曲からエンディングへと向かう。どのアルバムにも入っているエルトンのスローバラードだが、ここでは力強いバンドが支えているのでライブで盛り上がりそうなアレンジ。
B-5『ワン・モア・アロー - One More Arrow』
全曲のフェードアウトから、ピアノから始まる静かなバラード。ファルセットで歌われるパートも多い。途中からドラムも入り、バンドサウンドになる。
現行のリマスター盤には3曲のボーナストラックが追加されている。以下は録音メンバーも異なる。
11曲めの「アーン・ホワイル・ユー・ラーン - Earn While You Learn」はフュージョン風のインストゥルメンタルだが、退屈しないのはバンドサウンドだからか。インストだがアドリブのパートが少ないのは、他のエルトン作品と同じ。シングル『アイム・スティル・スタンディング』のB面。
12曲め「ドリームボート - Dreamboat」シングル『キッス・ザ・ブライド』のB面。エルトン初期のサザンロック風のサウンド。録音は1978年
13曲め「ザ・リトリート - The Retreat」はシングル『ブルースはお好き?』のB面で、1979年録音の『21 AT 33』のアウトテイク。これにはTOTOのスティーヴ・ルカサーとデビッド・ペイチが参加している。
1983年はエルトンはツアーを行わず、南アフリカのヨハネスブルクのカジノでのライブ以外はコンサートを行わなかった。年末から翌年の1月にかけてモンセラト島のエアースタジオで次作『ブレイキング・ハーツ』の録音を行う。
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