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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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2020年8月下旬から9月中旬までの新作5本 『ようこそ映画音響の世界へ』「行き止まりの世界に生まれて」『mid90s ミッドナインティーズ』他2本

新作映画レビューをしばらくこちらに掲載していない。
というのも新しく、映画専門のレビューサイトを作って、そちらに移行しているから。
毎週更新しているので、詳しくはそちらをみてください。

8月末以降の新作のリンクを。タイトルを押すと、レビューサイトに飛びます。
ここには、簡単なレビューだけです。

前半は映画におけるサウンドの歴史。映画館のスピーカーがステレオサウンドになったのは、1976年のバーブラ・ストレイサンドの『スター誕生』、そして1977年の『スターウォーズ』の音響革命、1979年の『地獄の黙示録』で初めてサラウンドが持ち込まれたので、70年代はとにかく映画館の環境が大きく変わった時代でした。『地獄の黙示録』、今でも冒頭でヘリが旋回するときのサウンド、かっこいい。
後半は、映画の音の分業製作についてで、同録、アフレコ、効果音、環境音、フォーリー、音楽、編集など、一本の映画に多くの専門の職人が関わっていることを解説。映画好きには、たまらないドキュメンタリーでした。唯一の文句は、上映時間が短すぎること。90分では物足りない。もっと知りたかったなあ。

『mid90s ミッドナインティーズ』と対になる作品。あちらはドラマだが、こちらは同じ面をドキュメンタリーで見せてくれた感じ。
 白人、黒人、アジア人と人種も年齢も異なる少年3人が、スケボーで結びつき、友人として成長する12年を追ったドキュメンタリーで、アメリカの貧困層に蔓延する家庭内暴力(児童虐待)が及ぼす影響をあばきだす。その底にあるのは、男権主義というか、マッチョイズムというか。
 「子どもを殴る文化」というものが、多くの子供達の将来を潰しているかもしれない。そしてそれは、今もアメリカでは、いや日本の貧困層でも、病魔のように巣食っている。
90年代半ばに十代だったスケボー少年たちへ。でもスケボー映画だと思ってみたら、貧困層の少年たちま暮らしを知った、中流層の少年の話でした。家庭における府犬7の不在、暴力、出口のない未来、そんなものとただ楽しかった目先の日々を描いた佳作。監督は、コメディ俳優から脱皮した、ジョナ・ヒル。彼の自伝的作品なのだそう。
 先日紹介した『ハニーボーイ』の少年と、この映画の少年はかなり被る。また、同じく9/4公開の『行き止まりの世界に生まれて』とも。この3本は、同じ世界を描いている。


タイトルがひっかけだけど、マイルスの一生を2時間で追うドキュメタリー。かなり駆け足だけど、入門編にはちょうどいい。

「宮廷女官チャングムの誓い」、『親切なクムジャさん』の女優イ・ヨンエの14年ぶりの復帰作。7年前に失踪した息子の行方を探し続ける母親の話。前半は辛い彼女に追い打ちをかけるような、世間の人々の悪意、そして後半は息子を探しにやってきた漁村での村人との話。
見ていて多くの人は、山梨のキャンプ場での少女失踪事件を連想するのではないか。あれも、世間が母親に追い打ちかけていたな。
 その母親と並行して語られるのが、失踪した子供に似た漁村で働く少年周りの人々。児童労働を通り越して虐待しているようなものだが、働き手がないことから、子供や前科者など文句がでないところから搾取する構造。この鬼畜のような人々の描写がインパクトありすぎで、ヨンエのがんばりがかすんでしまった。

by mahaera | 2020-09-30 09:23 | 映画のはなし | Comments(0)
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