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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

2019年 03月 03日 ( 1 )

名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその5『夏草の誘い』と『逃避行』1975-1976

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●『夏草の誘い』(Hissing of Summer Lawns )(1975)
前スタジオ作『コート・アンド・スパーク』の好調を受け継ぐように、LAの腕利きジャズミュージシャンの助けを借りたジャズ・ロックともいうべき作品群。
キヤッチーなのは前作だが、ここではすでにジョニにしか作れない音楽の領域に達している。
過渡期の作品だが、名作には変わりない。
故プリンスが大絶賛したアルバムでもある。
参加ミュージシャンはヴィクター・フェルドマン(エレピ、パーカッション)、ジョー・サンプル(キーボード)、ラリー・カールトン(ギター)、ロベン・フォード(ギター)、ジェフ・バクスター(ギター)、マックス・ベネット(ベース)、ウィルトン・フェルダー(ベース)、ジョン・ゲラン(ドラム)
シングルカットされた1曲目の「フランスの恋人たち」は最高位66位で、ラジオでもよくオンエアされる曲になった。ジェフ・バクスターとロベン・フォードのギターの絡み、ジョー・サンプルのエレピ、そしてジェームズ・テイラー、グラハム・ナッシュ、デビッド・クロスビーによるコーラスと豪華。
2曲目はアフリカのブルンジのドラム隊をフューチャーした異色の「ジャングル・ライン」
3曲目「エディスと親玉」4曲目「悲しみは友だちDon't Interrupt The Sorrow」では、ウィルトン・フェルダー(クルセイダーズ)のベースラインが格好いい。
物憂い7曲目「夏草の誘い」は、当時の洗練された日本のシティポップスとリンクしているようなサウンド。
8曲目「Harry's House / Centerpiece」の後半では、完全なジャズボーカルに突入。
スティーリー・ダンやTOTOのセッションでも知られるチャック・フィンドレーのペットもいい感じ。
最後の「シャドウズ・アンド・ライト」は、ジョニの多重コーラスとシンセによる素晴らしい曲。
ジャケットもいつものようにジョニ・ミッチェル自身のもの。内ジャケットのプールに水着で浮かぶ写真はノーマン・シーフ。本作はグラミー賞の候補にもなった。


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●『逃避行』(Hejira)(1976)
1976年は、ボストン「幻想飛行」、ボズ・スキャッグス「シルク・ディグリーズ」、キッス「地獄の軍団」、レッド・ツェッペリン「プレゼンス」、ボブ・ディラン「欲望」といった名盤目白押しのロック全盛期。
そんな中に出た本作をジョニの代表作に押す人も少なくない。
サウンド面ではある意味頂点ともいえるかも。
1976年初めにディランとのローリングサンダーレビューに参加した後、アメリカを車で横断する旅に出た彼女は、その旅にインスパイアされて6曲を仕上げる。
このアルバム制作中に、数作アルバムを一緒に作ってきた恋人でドラマーのジョン・ゲランと破局。
それもあってかドラムがあまり入っていない。
また、分かりやすい歌メロがほとんどない、語りのような歌の曲がほとんどになった。
原題の「Hejira」とは、預言者ムハンマドがメッカからメディナに本拠地を移した「聖遷」のこと。
1曲目の「コヨーテ」から、このアルバムから参加することになったジャコ・パストリアスのベースが歌う歌う。
ジョニのギターカッティングとの絶妙なコンビネーション。
そして独特のハーモニクス双方。ジャコは同年にファーストソロアルバム『ジャコ・パストリアスの肖像』でデビューだから、とにかく期待の大型新人だったのだろう。
ただしアルバム半分の曲はまだベースはマックス・ベネットが弾いている。
この「コヨーテ」は、映画『ラスト・ワルツ』でザ・バンドをバックに演奏されているので知っている人も多いはず。ただし、このアルバムが発売されたのと、ラストワルツのコンサートは同じ年の同じ月(1976年11月)なので、この曲を会場で知っていた人は少なかったかもしれない。歌詞の“コヨーテ”と呼ばれる男性は、劇作家で俳優のサム・シェパードがモデルという(ローリングサンダーレビューで知り合った)。
2曲目「アメリア」は、太平洋上で消息を絶った女性飛行士アメリア・イアハートのこと。
3曲目の「ファリー・シングス・ザ・ブルース」のファリーは、メンフィスで活躍したブルースギタリスト&シンガーのファリー・ルイスのこと。
5曲目アルバムタイトルにもなった「逃避行」。ジョニのギターとジャコのベースに静かにパーカッションがあるだけだが、独特の浮遊感を作り出している。ベースは何本かオーバーダブされている。
7曲目はちょっとツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」に似たリズムパターンの「黒いカラス」。カールトンのギターとジャコのベースがロックぽい。
ラスト9曲目「旅はなぐさめ」は、ほぼジャコとのデュオ。存在感のある歌にリードベースと化しているジャコが絡んでいる。
他の参加ミュージシャンは、ラリー・カールトン(ギター)。ジョン・ゲラン(ドラム)、ヴィクター・フェルドマン(ヴィブラホン)、ボビー・ホール(パーカッション)ニール・ヤング(ハーモニカ)。印象的なジャケット写真はノーマン・シーフ
この2枚はまさにジョニの絶頂期かも。


by mahaera | 2019-03-03 18:35 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)