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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

2019年 03月 08日 ( 1 )

最新映画レビュー『ビール・ストリートの恋人たち』恋人たちとそれを取り巻く人々を文学的に描く


一昨年『ムーンライト』でアカデミー作品賞を取ったバリー・ジェンキンス監督の新作。原作は黒人作家ジェームズ・ボールドウィン
1970年代のニューヨーク。幼なじみのティッシュとファニーは、深い絆で結ばれた若い恋人たち。ティッシュは妊娠するが、ファニーはレイプ事件の犯人とされて投獄されてしまう。

前作『ムーンライト』を観た時、ヨーロッパ映画ぽい繊細な作品だと思ったが、今回もあえてドラマチックに盛り上げようとせず、恋人たちの感情の揺れや家族愛を繊細に描いている。
彼氏のファニー役の男優も、眉をハの字型に曲げて文系の困った顔で、類型的な黒人役ではないのもフレッシュ。

子供を宿したティッシュをなんとか守ろうとする家族愛が強く描かれる。
それと対照的にティッシュを責めるファニーの母親や姉妹と対照的だ。
貧乏でも金持ちでも犯罪者でもない、ふつうの黒人家庭の内側を映画で見るのは意外に少ない

映画の中で悪役と言えるのが、濡れ衣を着せようとする警官だが、それ以外は登場するのはみな普通の人たち。
ふたりに部屋を貸そうというユダヤ人の青年、お金のない2人にご飯を食べさせてくれるラテン系の友人、プエルトリコに住むレイプ被害者の兄貴も結局は配慮してくれる。
そんな世界の中にいても、運命は恋人たちに微笑まない。

人種差別や家族愛とかの問題はあるが、物語の主軸はそうした社会の中で、なんとかお互いの愛を続けようとするふたり。しかし、ちょっとしか出てこないキャラも、ちゃんとこの世界の中に居場所がある。
主人公ティッシュの母親役のレジーナ・キングは本作でアカデミー助演女優賞を受賞
あ、あと人物の服装や画面の色彩コーディネートも、オープニングからかなり作り込んでいるのも、注目ポイント。
★★★

by mahaera | 2019-03-08 09:55 | 映画のはなし | Comments(0)