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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

2019年 04月 01日 ( 1 )

最新映画レビュー『ブラック・クランズマン』エンタメ度も高い、スパイク・リー久々の快作!


世界の各賞を受賞し、アカデミー賞でも脚色賞でも受賞したスパイク・リー、久々のヒット作。
スパイク・リーは“白人ばかりのアカデミー賞”に異議を唱えていたが、これで少しばかり溜飲を下げたろう(『ドゥ・ザ・ライト・シング』の時に受賞すべきだった)。


コロラド・スプリングスで初めて採用された黒人警官ロンは、潜入捜査を得意としていた。
ある日、ブラックパワーの集会に潜入捜査したロンは彼らの主張に共感。
逆に試しに白人至上主義団体KKKの本部に、白人になりすまして電話をすると、何も疑われなかったため、そのまま構成員になって捜査することに。
とは言っても実際に会ったらバレてしまうため、白人警官フィリップ(実はユダヤ系)を替え玉にして、二人一役の潜入捜査を続けることになる。
何度かバレそうにはなるが、潜入捜査は続けられ、ついに最高幹部であるデュークの信頼も得て、支部長にまで昇進することに。そして彼らのある計画を暴く。


本作は実話を基にしているが、黒人刑事がKKKに潜入捜査して二人一役をするという設定以外はほぼ脚色だという。
つまり原作は割と地味な捜査ものだったようだが、映画にするに際して、エンタメ的な盛り上げ、そしていつもながらのリー監督の強い主張が盛り込まれている。

実際、本作はかなりエンタメ度が高い
また、KKKを徹底的に笑いの対象とすることで、本来持つ人種差別の怖さをシリアスになりすぎない程度に調整している。
しかしそれは間口を広くためでもあり、笑ってスリルを楽しむなかで、KKKの滑稽さを笑いながら、それが今も続いていることをすんなり知ってもらうことだろう。ホワイトトラッシュのレイシストをうまく政治利用するのは、金持ちの白人だ。元からそこに住んでいる以外何も誇れない貧乏人は、体制を批判するのではなく、批判しやすい方へ向かう。それは日本でもどの国でも同じだ。その前に自分の人生立て直せよって


ロンの代わりになった白人が実はユダヤ系で(名前がジマーマンだ。KKKはアングロサクソン以外の白人を差別する)、彼がそれまで自分がユダヤ系であることを意識していなかったが、捜査を続けるうちに出自を意識するようになったくだりもうまい(一目でユダヤ系とわかるアダム・ドライバーが演じている)。
主人公であるロンも、当初は黒人でありながらブラックパワーに興味がない。演じるのは、名優デンゼル・ワシントンの息子ジョン・デヴィッド・ワシントン

日本人はぼーっと見てしまうと(チコちゃんに叱られる)ただのエンタメ作に見えてしまうが、アメリカ人にとっては笑いながらも今も身近な問題として感じるに違いない。
KKKは今も健在だし、トランプ政権になって再び人種間の緊張は高まっているからだ。「分断して統治せよ」は今も続く。
映画のラスト(最近のニュース映像)はリー監督らしく、その現実を私たちに突きつけるのだ。
★★★☆


by mahaera | 2019-04-01 11:27 | 映画のはなし | Comments(0)