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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

2019年 04月 11日 ( 1 )

名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその7 『ミンガス』- Mingus(1979)

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アサイラムレコード最後のスタジオアルバム(この後にライブアルバムはあるが)。
ジョニの70年代を締めくくる作品でもある。
ジャズ嗜好を強めていったジョニは、ジャズの巨人チャールズ・ミンガスとのコラボアルバムを作る予定で進めていったが、ミンガスの病状の悪化と死去(1979年1月5日)、アルバムの制作方針の転換などがあり、途中でミュージシャンを入れ替えて、ミンガスの死後に完成。
音楽の合間に、ミンガスの声などが挟み込まれている。
曲もジョニのオリジナルと、ミンガスの曲にジョニが詞をつけたもので構成されている。

ミュージシャンの入れ替え理由は定かではないが、最初に録音したという"experimental sessions" の音源も残っていたなら、ぜひ聴いてみたいものだ。
ドラムにいつものジョン・ゲランとトニー・ウィリアムズ、ベースにエディ・ゴメスとスタンリー・クラーク、ギターにジョン・マクラフリン、ホーンにフィル・ウッズとゲリー・マリガン、ムーグにヤン・ハマーが参加していた。
しかし完成版は、ほとんどがジョニとジャコ・パストリアスのコラボ作品といってもいい感じに変わった。
ジャコが集めてきたレコーディングメンバーは、サックスにウエイン・ショーター、ドラムにピーター・アースキン、コンガにドン・アライアス、エレピにハービー・ハンコックという、ハンコックを除けばウェザー・リポート人脈

まずは「Happy Birthday 1975」という53歳のミンガスの誕生日を祝う身内のパーティらしき声だけの1分ほど録音から。
ジョニが「53歳!」という声が後ろから聴こえてきて、ジョニの「God Must Be A Boogie Man」へ。楽器はジョニのアコギとジャコのベースだけだが、ジャコのベースが歌う歌う
まるでホーンが一人そこにいるようだ。耳に残る名演。
ミンガス作曲の「A Chair in the Sky」からバンド編成に移る。ハンコックのピアノ、ジャコのベースが美しい音を生み出している。

アナログA面最後の「The Wolf That Lives in Lindsey」はジョニの単独作。
チューニングを下げたアコギがまるで琵琶のようにも聞こえ、効果音で聞こえる狼の遠吠えもあって物悲しいサウンド。
ホラー映画にも使えそう。

B面はミンガス作曲の3曲と声のコラージュ。
「Sweet Sucker Dance」はバンドの演奏も一番ジャズぽいか。ウェインのサックス、ジャコのベース、ハンコックのエレピがうまく絡まっていい感じ。
「The Dry Cleaner from Des Moines」ジャコの早弾きから跳ねたリズムへ。基本はドラム、ベースに、奔放なボーカルと、ジャコのアレンジされたホーンセクションが切り込んでくる。
ラストはミンガスの名曲「Goodbye Pork Pie Hat」
多くの人が取り上げるスタンダードで、ジェフ・ベックやジョン・マクラフリン、スタンリー・クラークらが自身のアルバムで取り上げている。

ジャケットのアートワーク(もちろんジョニの絵画)も含めて、アート作品と言っていいこのアルバムだが、ハイブロウというか取っ付きにくい、暗い、というところもあり、チャートは17位どまり。
しかし今となってみると、こんなポピュラーでない作品が17位になった方が驚きかもしれない。
僕は当時、このアルバムは勉強するぐらいの気持ち(渋谷に映画「バグダッドカフェ」を見に行くぐらいの感じ)で聴いていたな。
今でも“好き”というより、作品に向き合うといった姿勢でつい聴いてしまうアルバム。
名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその6映画で言えば、キネ旬で1位は「ミンガス」だが、読者選出だと「逃避行」というニュアンスかな(笑)。


by mahaera | 2019-04-11 07:59 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)