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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

2019年 04月 29日 ( 1 )

子供に教える世界史[古代編] 前1200年のカタストロフとオリエントの混乱/その4 トロイア戦争2

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(写真)「ホメロスの神格化」(ルーブル美術館収蔵)アングルの描いたホメロス


『イーリアス』の話以降、神話ではトロイア側にはアマゾン族の女王やエチオピアからの援軍が加勢するが、アキレウスはこれも倒す。
しかしついにアキレスは弱点であるかかとに矢を射られて死ぬ。戦争は再びこう着状態になったが、オデュッセウスのアイデアにより大きな木馬が造られ、アカイア(ギリシア)側は城内に忍び込むことに成功。
トロイアは1日にして陥落し、男のほとんどは殺され、女性はすべて奴隷にされる。

こうして、戦争はアカイア側の勝利に終わったが、勝った側の多くも神の呪いを受けて悲惨な末路を遂げた
オデュッセウスはポセイドンの怒りを買い、故郷に帰るまで10年かかったことは、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』で綴られている(英語ではOdysseyで転じて「長い航海」の意味)。
総大将アガメムノンは、帰国後に妻とその愛人によって殺される。
アガメムノンはトロイア戦争に行くために娘イピゲネイア(イフゲニア)を「アキレウスとの結婚がある」と騙して呼び出し、生贄にした。
目の前で娘を殺された妻は夫を恨んでいたのだ(そして自分の名を勝手に使われたアキレウスも)。
しかし復讐は連鎖し、アガメムノンを殺した妻は実の息子オレステスに殺される。
オレステスは正義を実行したと思うが、神々は母殺しを許さない。
しかし最後はオレステスの罪は赦される。
この物語は史実ではないだろうが、ギリシアの悲劇作家アイスキュロスの『アガメムノン』に始まるオレステス三部作に詳細が書かれている。
憎しみと復讐の連鎖が、最後にようやく慈愛によって断ち切られるという連作だ。スパルタ王メラオネスも帰還までに8年かかった。

『イーリアス』の作者ホメロスは、紀元前8世紀頃の詩人といわれている。
イオニア地方に住み、盲目だったと言われるが伝承以上のものはない。
長らく口承で伝えられていた詩が、前6世紀ごろに文字としてまとめられた。
ホメロス自体も実際の人物なのかという疑いもあるが、いたとしてもトロイア戦争から400年あまり経過した頃の人物だ。
今の我々が文字資料もない時代に、江戸初期の戦争の物語を作り上げるほどの隔たりがある。
ただし、それぞれの英雄の話は、当時はギリシア各地でさまざまな伝承となって残っていたのだろう。
ギリシア神話の中のトロイア戦争はこんな感じだが、実際の歴史ではどうだったのか。(続く)


by mahaera | 2019-04-29 12:16 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)