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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

mahaera.exblog.jp

2019年 05月 12日 ( 1 )

最新映画レビュー『アベンジャーズ エンドゲーム』公開中


もう見る人は見たと思うので、ネタバレにはならないと思う。そろそろ2回目という人もいるのでは。
十数年22作に及ぶアベンジャーズシリーズの完結編ということで、本作単体での評価は難しいが、突っ込みどころはあるもののうまくシリーズを完結させ、また次につなげたと思う。
キャラの紹介と戦いに徹していて派手だった「インフィニティウォー」に対し、本作「エンドゲーム」は大きな戦いはラストにあるぐらい。映画が始まって早々とサノスが退場し、「え?あとの2時間半はどうなるの?」と驚く。続いて「5年後」のテロップ。ここまでは展開の早さについていくのがやっとだ。

残りの前半は、残された人々の喪失感とその後の生活を追う静かなシーンが多い。愛するものや身近な人々を失ったメンバー。そこから立ち直って家族をきずく者もいれば、敗北に囚われている者もいる。そしてスコット・ラング=アントマンが量子世界から戻り、タイムトラベルの可能性を示す。

普通の映画とMCU(マーベルシネマティックユニバース)映画が違うのは、大きなテーマがありそこに向かっていくのではなく、コミックが原作なので各キャラクターにそれぞれ活動の動機があり、それの解消に向かっていくキャラクター映画ということ。

なので主人公となるキャラが、自分の宿命やトラウマを克服するのが終着点となる。今回のアベンジャーズでは、それがアイアンマン=トニー・スタークキャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースの二人(他にも退場者はいるが)なのだ。とりわけ、今回はシリーズ最大の功労者アイアンマンの有終の美を飾る作品と言ってもいい。

「父親に愛されていなかった」と思って育ち、そのトラウマを父の死後も抱え、人と親密になるのが苦手だったトニー。しかし「アベンジャーズ」で人々を救うため自己犠牲を、「アイアンマン3」で苦手な子供を克服し、「ウルトロン」では世のためにしたことが失敗し、「シビルウォー」では両親の死の真相の死を知り友情が崩れ、「ホームカミング」ではピーターを息子のように感じと、10年で彼の役柄は少しずつ成長してきた。それが一本の道のように見えるのは、やはりロバート・ダウニーJRの演技力が大きく、彼の「アイアンマン」がなければ、ここまでシリーズが成功したかもと思ってしまう。ラストのセリフ「私がアイアンマンだ」も、シリーズ1作目のラストと呼応し、トニー・スタークの物語は綺麗に閉じられた。

もう一人のシリーズの功労者、スティーブ・ロジャース=キャプテンは組織に裏切られながらも、常に個人と個人の信頼を大事にしてきた。違う時代で活躍することになった彼が信じられるものは、組織や法律ではなく個人なのだ。そしてアベンジャーズシリーズを通じ、彼はアメリカの兵士から個人に戻っていく。“正義”は幻想に過ぎず、戦うのはアメリカや世界のためではなく、愛する人々のため。

個人主義からスタートしたトニーが最後に自己犠牲に変化していくのに対し、自己犠牲からスタートしたスティーブが徐々に個人の幸せを追求していくというテーマも本作で完結する。しかしそれは間違いではない。シリーズは、トニーとスティーブという対照的な二人を通じて、進んできたのだ。

「ハルクとソーの扱いが雑」という意見もわからないではないが、今回、そこまでは大きくは盛り込めなかったのだろう。今回は水島新司漫画で言えば『大甲子園』、永井豪で言えば『バイオレンスジャック』みたいなもので、最初から各作品を見ている人の方が、断然楽しめる。というか、今まで10年見てきた人へのご褒美とも言える。

ということで、しばらくアベンジャーズ・ロスが続きそうだ。採点不可能。


by mahaera | 2019-05-12 12:04 | 映画のはなし | Comments(0)