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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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カテゴリ:音楽CD、ライブ、映画紹介( 152 )

名盤レビュー『ザ・ビートルズ/50周年記念アニバーサリーエディション』CD6セッションズ3 9月16日~10月13日

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前回、書き忘れたがレコーディング中の8月30日(アメリカは8月26日)にシングル「ヘイ・ジュード」がリリース。B面は「リヴォルーション」。ビルボードでは9週連続1位を記録する。
CD6は9月16日の「アイ・ウィル」(テイク13)の録音から始まる。完成版はポールの弾き語りだが、ここではジョンのスカルというチャカポコ鳴るパーカッション、リンゴのリムショットとシンバルが加わっている。
続いて3人(ジョージは欠席)はジャムセッションに入り、プレスリーの「ブルームーン」、途中までの「アイ・ウィル」(テイク29)「ステップ・インサイド・ラブ」(ポールがシラ・ブックに書いた曲)、即興のコミカルソング「ロス・パラノイアス」をポールがそのままの編成で即興で歌う。
最後も同じ編成の「キャン・ユー・テイク・ミー・バック?」(テイク1)。これは単独作にならなく(即興のよう)、「クライ・ベイビー・クライ」のエンディングに使用されることになった。

9月18日「バースデイ」(インスト/テイク2)。録音データを見ると、この曲はリズム、オーバーダブ、歌入れまでたった1日で終わっている。
というのもこの日、5時からレコーディングを開始したビートルズは、テレビで放映されるロックンロール映画「女はそれを我慢できない」を見たくしてしかたなかった。
なので簡単にできる曲をと、Aのブルース進行のこの曲を思いつきで録音。
それから近くのポールの家へ行って9時から放映の映画を見て、またスタジオに戻った。
映画を見て興奮したメンバーは歌詞もその場で作って録音。
久しぶりにジョンとポールが半々で作り上げた曲になった。コーラスを歌っているのはヨーコとパティ・ハリスン。勢いのあるセッション。

9月19日「ピッギーズ」(インスト/テイク12)。セッション中、翌日のジャクリーヌ・デ・プレの録音のためにスタジオに置かれていたハープシコードを見つけたプロデューサーのクリス・トーマスがアイデアを出し、ビートルズと一緒に演奏することになった。
このテイクにはのち(10月10日)に弦楽八重奏が加えられているが、これは休暇から帰ってきたジョージ・マーティンのアイデア。その日に「グラス・オニオン」の不気味な弦も録音されている。

週末明けの9月23日「ハピネス・イズ・ウォーム・ガン」(テイク19)にビートルズは取り掛かる。
このテイクは最後まで構成が決まっているが、発表された複雑なリズムにはまだなっていない。
この録音には3日かかっており、また完成版はふたつのテイクをつなぎ合わせたものになっているが、最終的にはこの時期ならではの極上の曲に仕上がっている。

10月1日~4日「ハニー・パイ」(インスト)。ポールがピアノを弾いているので、ベースはジョージ。すばらしいギターソロはジョン。これは管楽器がオーバーダブ(10月4日)されたインスト。

10月3日「サボイ・トラッフル」(インスト)イントロの印象的なエレピや途中のオルガンは、クリス・トーマスによるもの。
またテナーとバリトンだけのサックスによる印象的なアレンジもクリス・トーマスだ。録音になぜかジョンは不参加。

10月4日「マーサ・マイ・ディア」(ブラスとストリングスなし)。
ベーシックトラックは1日で完成。ポールのピアノとジョージのギター、リンゴのドラム。ジョンは不参加。

10月7日「ロング・ロング・ロング」(テイク44)。ディランの「ローランドの悲しい目の乙女」にインスパアされたというワルツ。
ジョージはアコギ、ポールはオルガンとベース、リンゴはドラム、ジョンは不参加。
なかなかうまく決まらずテイク63まで続く。

10月8日「アイム・ソー・タイアド」(テイク7)(テイク14)。発売時期が決まっていたため、マスタリング提出期限まであと1週間。
ビートルズのメンバーはこの日、午後4時から翌朝の8時までのロングセッションに。この曲も一晩で完成させた。
ジョンは毎回本番に採用されるように歌っている
ここには使われなかったメンバーのハーモニーが残っている。
「コンティニューイング・ストーリー・バンガロー・ビル」(テイク2)。夜明け、ジョンが28歳の誕生日を迎え、「アイム・ソー・タイアド」が完成した後、この曲に取り掛かった。
クリス・トーマスはメロトロンでマンドリンを演奏。イントロのスパニッシュ・ギターもメロトロン。
追加のボーカルには、ヨーコとリンゴの妻モーリーンが入っている。

10月9日「ワイト・ドント・ウィ・ドュー・イット・イン・ザ・ロード」(テイク5)。ポールとリンゴのみの録音。ドラム以外の楽器は、後からポールがオーバーダブした。ジョンは後から自分を録音に呼ばなかったポールに不満だったという(この曲をやりたかった)

10月13日「ジュリア」(リハーサル)。締め切りが迫るので、この日は日曜日だったがメンバーはスタジオに。ジョージ・マーティンとポールの会話が収録されている。最初のテイクはコードストローク。次のがおなじみの3フィンガー。

ここで、ここで聴ける「ホワイトアルバムセッョン」は終了。ご苦労様でしたが、以下おまけが入っている。
1968年1月12日「ジ・インナー・ライト」(インスト)ムンバイ(当時はボンベイ)のスタジオでインド人ミュージシャンを使って映画のサントラ「不思議の壁」のサントラを録音していたジョージだが、時間が余ったのでビートルズ用としてこの曲のオケを録音する。そして帰国して2月にボーカルをダビングした。ジョンとポールはこの曲を絶賛して、「アクロス・ザ・ユニバース」の代わりに3月15日に「レディ・マドンナ」のB面として発表。ジョージ初のシングル曲になる。個人的には「アクロス・ザ・ユニバース」のほうが好きだが(笑)

1968年2月3日「レディ・マドンナ」(テイク2、テイク3)。2月3日に基本のトラックを録音し、2月6日にホーンセクションを追加録音。3テイクと素早く録音された・テナーサックスはロニー・スコッツ(クラブが有名だ)。

1968年2月4日「アクロス・ザ・ユニバース」(テイク6)。行き場をなくしたこの曲は、のちにフィル・スペクターのプロデュースにより「レット・イット・ビー」に収録された時は、テープスピートが落とされしのキーがDbに。初出のチャリティアルバム収録バージョンでは、逆にスピートが上がってキーはEbになっている。

さて、ホワイトアルバムのレコーディングは終わったが、次に30曲のミックスが残っていた。当時はまだモノミックスのほうが重要で、それらは随時仕上げられていったが、ステレオミックスはかなりやっつけだった。それも含めて終了したのは期限が迫っていた10月18日だった。しかしその日、ジョンとヨーコがマリファナ不法所持で逮捕される。本当にギリだったのね。
この年のスタジオ作業は、10月29日の「イエローサブマリン」サウンドトラックのミックス作業で終了。翌年1月2日の「ゲットバック」セッションまではお休みだ。
11月8日にはジョンとシンシアの離婚が成立。

11月22日に「The Beatles(ホワイトアルバム)」が発売。
ビルボードでは9週連続1位。900万セットを売り上げた。
アルバムには付録のポートレートカード、歌詞が印刷されたポスターがつけられた。

という感じで、この2か月、このアルバムかなり聴いて楽しませていただきました! しかし、今年は『アビーロード』『ゲットバック』セッション50年なので、またボックスが出るのかなあ。。


by mahaera | 2019-02-11 01:44 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー『ザ・ビートルズ/50周年記念アニバーサリーエディション』CD5 セッションズ2 7月19日〜9月11日

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CD5は7月19日に録音が始まった「セクシーセディ」(テイク3)から始まる。ジョンがインドを去る前に最後に書いた曲。マハリシを揶揄した曲。この初期テイクだと、ジョンがアコギ、ジョージがエレキ、ポールがキーボードだ。しかし何かが足りなく、8月にリメイクされることになる。

次の「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」は7月25日に録音が始まった。ここにあるのは(アコースティックパージョン・テイク2)で、参加しているのはアコギと歌のジョージ、オルガンを弾くポールの二人のみ。リハーサルだと思うが、後ろのポールがいろいろなコードを試しているのが面白い。

次が7月29日に「ヘイ・ジュード」(テイク1)がレコーディングされている。ここにあるのが意外な気がするが。ビートルズは「ホワイトアルバム」に先駆けてシングルを出す必要があった。「レボリューション」はもう決まっていたが、その片面になったのがこの曲。この曲が書かれたのは、ジョンがシンシアと別れることになってポールが5歳のジュリアンを慰めるために、というのは有名な話。ポールはシンシアを訪ね、この曲の歌詞を見せたという。このテイク1では、ほぼ曲の骨格は完成版と同じで、後半のシャウトも完成版と同じように長い。続いて同じセッションから「セント・ルイス・ブルース」のジャムが。「ヘイ・ジュード」は最終的にトライデントスタジオで、8月1日にオーバーダブを経て完成する。


その後、アビーロードスタジオに戻り、8月7日に始まったジョージの「ノット・ギルティ」(テイク102)は、アレンジもできていて、ジョンの弾くハープシコードも印象的なのだが、最終的になぜかボツになった。個人的には好きな曲なんだが。

8月9日「マザーズ・ネイチャーズ・サン」(テイク15)は、ポールによる弾き語りバージョン。歌い回しが完成版と少し違う。

8月13日「ヤー・ブルース」(テイク5)。完成版のテイクとは違うが、遠くでジョンのガイドボーカルが聞こえる。この録音の時は、ライブ感を出すためかスタジオではなく、狭い空き部屋に全員が入ってくっつきそうになりながら演奏した。音の分離をわざと悪くして迫力を出したのかな。でもこの録音好き。

8月14日は「ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」(テイク1)ジョンがボーカルとピアノ、ジョージがアコギの2人で録音だが、これはとうとう未発表に終わった。


8月15日「ロッキー・ラクーン」(テイク8)完成前のテイクだが、ジョンのハーモニカ、ジョージのベースが入っている。ライブだと思うといい演奏だ。一度終わって、またポールの語りから始まる構成になっている。あとでジョージ・マーティンが弾く酒場のピアノ風がオーバーダブされることに。

8月22日「バック・イン・ザ・USSR」(テイク5)レコーディング中盤になり、ポールの細かい指示にブチ切れたリンゴがスタジオから消えてしまう。この曲は、そこで残りの3人しか録音に加わっていない。ドラムはポールがメインだが、ジョージとジョンもしている。またベースも3人が弾いている。このテイクはキーが低くテンポが遅い。ドラムを叩きやすくするためにテープスピードを落としたのかは不明。

8月28日「ディア・プルーデンス」(テイク名なし)。リンゴはまだ帰ってこないので。ポールがドラムを叩いている。ベースが入っていないのでまだあの雰囲気はでていないが、ポールのドラムのフィルは、リンゴっぽい。きっと左利きで右利きドラムを叩いているという共通点があるからだろうか。

このあと、みなさんが知っているエピソードがあって、リンゴがスタジオに復帰する。復帰後は、険悪な雰囲気も消え録音はスムーズに進んだようだ。


9月5日「レット・イット・ビー」(テイク不明)コード進行を適当に決めたジャムセッションだが、ポールが歌う歌詞は「レット・イット・ビー」。クラプトンのギターが小さく聞こえる?
「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」(3rd Verテイク27)。クラプトンも参加した日のセッション。ポールはオルガン。クラプトンはテイク17から45まで参加したというので、もうちょっと聴きたいなあ。

9月9日「ベイビー・アイ・ドント・ケア」(スタジオジャム)
「ヘルター・スケルター」(2nd Ver. テイク17)7週間ぶりにビートルズがこの曲に戻ってきたときは、完成版に近いラウドな曲に変わっていた。テンポは早めで、ポールの声にはプレスリー風のロングディレイがかかっている。プレスリーの「ベイビー・アイ・ドント・ケア」のジャムに続き始まるこの「ヘルター・スケルター」はなかなか楽しめる。ギターはポールとジョージ、ジョンがベース。

9月11日「グラス・オニオン」(テイク10)。リズムトラックの録音。9月16日にポールとクリス・トーマスがリコーダーをオーバーダブする。


by mahaera | 2019-02-01 11:56 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー『ザ・ビートルズ/50周年記念アニバーサリーエディション CD4 セッションズ1

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CD4からCD6までの3枚は、ホワイトアルバム・セッションのアウトテイクが、ほぼ録音順に並んでいる
といってもその数は膨大なので、完奏しているもの、同じようなものがダブらないものが選別され、なおかつミックスが施されている。
「ブラックバード」何十テイクあっても飽きちゃうし。

前回、書きそびれたが、イーシャーデモが作られる前、インドから帰ってきたジョンは、妻シンシアがギリシャ旅行に行っている間の5月19日に自宅にヨーコを呼ぶ。
明け方にかけて、ふたりはのちに『トゥー・バージンズ』というタイトルで発売された前衛音楽のパーツを録音。
この夜、ふたりは結ばれ(ジョン談)、同棲生活に入る。

CD4の最初は1968年5月30日に始まった『レボリューション1』の録音から。前回紹介したイーシャーデモの数日後だが、すでにヨーコがスタジオに登場している(ジョンと作ったテープループを回している)。
これはアルバムバージョンに使われることになった[テイク18]で、6月4日までにリズムトラックとボーカルが完成。
管楽器がオーバーダブされる前のもので10分半あるが、後半はジョンの即興の叫びやらで、一部が『レボリューション9』に使われることになった。すでにジョンがヨーコ化している。

続いてビートルズが手をつけたのはリンゴの『ドント・パス・ミー・バイ(テイク4)』だが、参加しているのはリンゴとポールのみ。レスリーをかけたピアノを弾いているのがリンゴ、ドラムはポール。

『ブラックバード』(テイク28)(6月11日)はポール一人で録音。まだブレイクして続く後半部分がない。

『エブリバディ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ア・モンキー』のリハーサル(6月26日)では、まだリズムが平坦な8ビートで、完成版のように弾けていない。

このあとビートルズはリンゴが歌う『グッドナイト』にとりかかる。
このCDには6分半にわたって、ジョンのギターが爪弾くバッキングのリハーサルやジョージ・マーティンのピアノバックに、リンゴが語り入りで始める「テイク10」や「テイク22」が入る。
ジョンの3フィンガーギター?だけをバックに、4声コーラスで歌うバージョンもなかなかいい。メンバー楽しそう。
結局、マーティンがオーケストラスコアを書くことになるのだが、メンバーはふつうの編成ではピンとこなかったのだろう。

『オ・ブラ・ディ・オ・ブラ・ダ』(テイク3)は、7月3~5日の初期テイクで主役はまだアコギ。
これはこれで完成の域だが、この後、ジョンがピアノに移って曲の雰囲気が変わっていくことになる。

この後、7月9日からビートルズは、シングル盤の『レボリューション』に取り掛かる。ジョンは最初からシングルにしたかったが、メンバーから「テンポが遅すぎる」と言われてにリメイクすることに。
「リハーサル」はテンポは早くなったが、ギターの音はまだ歪んでいない。7月10日に録音された歌なしの「テイク14」はもう完成版に近く、ギターは歪んでいる。
翌日、11日にピアノのニッキー・ホプキンスがオーバーダブ。発売時にはテープスピードをあげたので、キーがAからBに変わっている。シングル盤は、「ヘイ・ジュード」のB面として8月28日に発売された。ビートルズの次のシングルは「ゲット・バック」だ。

『クライ・ベイビー・クライ』のリハーサルテイクは7月15日。完成版にはないジョンのオルガンのイントロがある。翌日、ジョンは楽器をアコギに変えて録音を再開。

CD4の最後は、『ヘルター・スケルター』の(ファーストバージョン・テイク2)7月18日。ここでは12分54秒にわたる演奏が聴ける。楽器はドラム、ベース、ギター2本。1拍目と3拍目にスネアが来るリズムは単調で、「トゥモロー・ネバー・ノウズ」のような催眠効果をもたらす。後ろで鳴っているギターの即興演奏がEメジャーでなくEマイナーなのも聞き慣れているのと違うし、完成版の出だしの歌の部分は5分半にやっと登場し、Helter Skelterと叫ぶサビは6分半になってようやく登場する。
ポールのボーカルは、プレスリー風のショートディレイがかけられている。
この曲はしばらく放っておかれ、9月に入ってリメイクに取り掛かることになるが、その時には大轟音のハードロックに変身していた。

ここまでの録音の間、7月1日からジョンとヨーコはロンドンで二人のアート展を始めている。他のメンバーはホワイトアルバムの録音の傍、それぞれがプロデュースするアップルのタレントをプロデュースしていた。


by mahaera | 2019-01-30 13:08 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー。ジョニ・ミッチェル4 『コート・アンド・スパーク』『マイルズ・オブ・アイルズ』

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●『コート・アンド・スパーク』(Court and Spark)(1974)
アサイラム移籍第2弾。『ブルー』と並ぶジョニの代表作。
アメリカではチャート2位、カナダでは1位。
1973年はこのアルバムの制作にほとんど使い、1974年1月発売。
今までのアコースティック弾き語りシンガーから一歩前進し、LAのジャズミュージシャンを多く起用したウエストコーストサウンド。ウィルトン・フェルダー、ラリー・カールトン、ジョー・サンプルといったクルセイダーズ人脈のほか、ロビー・ロバートソンやトム・スコット、ホセ・フェリシアーノ、ジョン・ゲランまで参加。
シングルは「ヘルプ・ミー」(7位)と「パリの自由人」(22位)で、ともにジョニの代表曲になった。「パリの自由人」は、アサイラムレコードの創設者のデビッド・ゲフィンのこと。この曲のエレクトリック・ギターはラリー・カールトンとホセ・フェリシアーノ、バックボーカルにはデビッド・クロスビーとグラハム・ナッシュが参加と豪華。印象的なホーンはトム・スコット。
たぶんジョニの全アルバムの中でも、もっとも明るいアルバムかも。というのは、当時新しい恋人ジョン・ゲラン(本作のドラマー)とラブラブだったようだ。
インタビューでもCourt and Spark(付き合ってスパークする)とは彼のことと言っている。
明るい陽の当たるジョニが聴ける。
このころはちゃんとヒットアルバムを作ろとしていたと思う。聴きやすくまた飽きのこないアルバムだ。


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●『マイルズ・オブ・アイルズ』(Miles of Aisles)(1974)
おもに1974年8月にLAのユニバーサル・アンフィシアターで録音されたライブアルバム(2曲を除く)。
ジョニの今までを振り返るような代表曲18曲を収めた2枚組で、アメリカではチャートの2位というヒット。
「ビッグ・イエロー・タクシー」がシングルカットされた。
バックバンドはLAエキスプレス。トム・スコット(木管)、マックス・ベネット(ベース)、ジョン・ゲラン(ドラム)、ロベン・フォード(ギター)、ラリー・ナッシュ(ピアノ)。
前作『コート・アンド・スパーク』からジャズ・フュージョン期に入ったジョニだが、この2枚は明るいフュージョン要素が強い演奏。
まずはLAエクスプレスをバックに「恋するラジオ」「ビッグ・イエロー・タクシー」「ウッドストック」とSideAはヒットが続く。アレンジは当時のニューミュージックのよう。
SideBはジョニの弾き語りに時折サポートが入るアコースティックサイド。やはり「ケイス・オブ・ユー」「ブルー」が聴きもの。
Side Cも弾き語りサイドで「サークルゲーム」「オール・アイ・ウォント」と続き「青春の光と影」の後半で静かにバンドが入ってくる。
メンバー紹介が入りSide Dは再びLAエキスプレスとの共演サイド。ラスト2曲は新曲で締めて終わる。
非常に聴きやすいが、ここで終わらないのがジョニのすごさだ。次のアルバムからまた、ジョニはフュージョンから、よりジャズの方へと接近していく。


by mahaera | 2019-01-29 18:44 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー『ザ・ビートルズ/50周年記念アニバーサリーエディション』CD3 イーシャーデモを聴く

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4月にインドから帰ってきたビートルズは、それぞれ休暇を取った後、新会社の設立など忙しく過ごす。
5月末になりようやく新アルバムに向けて、サリー州イーシャーにあるジョージの家に集まり、27曲のそれぞれのアコースティックデモを作成。
この模様は4トラックレコーダーにまとめられ、通称「イーシャーデモ」として知られるようになる。
27曲ということは、ビートルズはインドで作った十数曲にプラスできるほど新曲を作る時間があったことだろう。
27曲中21曲が「ホワイトアルバム」の録音に取り上げられ、ハリスンの「ノット・ギルティ」とレノンの「ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」以外の19曲がアルバムに収録されている。

このCD3に収められた27曲の「イーシャーデモ」は、昨日録ってきたような音質もさることながら、アコースティックギターでシンプルに歌われる歌の数々が、すでに完成されていることに驚く。
とくにポールのデモの楽曲は、リズムが入った完成系を見越していることが、アコギだけでも伝わってくる。
そしてメンバーの仲の良さ。後ろでコーラスを入れたり、机を叩いたり、声で効果音を入れたりと、のちに不仲になる要素の微塵も感じさせない。
しかしこのイーシャーデモを録ったあとの5月30日にはジョンがヨーコを連れて初めてスタジオに現れる。
それは今までのメンバーのバランスを崩すものだった。

このイーシャーデモのうちインドで作られた曲は、たぶんリシュケシュの瞑想キャンプではこんな感じで輪を囲んで演奏されていたんだろうと想像できる感じだ。
アルバムに弾き語りで収録された曲はもちろん、「バック・イン・ザ・USSR」「オブ・ラ・ディ・オ・ブラ・ダ」「ヤー・ブルース」といったバンド曲も原型がわかる。
イーシャーデモにあり、ホワイトアルバムに入らなかった曲8曲のうち、ポールの「ジャンク」はのちに「マッカートニー」に入り、ジョンの「ミーン・ミンター・マスタード」と「ポリシーン・パン」は「アビーロード」に、ジョージの「サワー・ミルク・シー」はジョージがプロデュースしたジャッキー・ロマックスに、「ノット・ギルティ」と「サークルズ」はソロアルバムに収録される。
驚いたのがジョンの「チャルド・オブ・ネイチャー」だ。名曲「ジェラス・ガイ」の元歌だが、歌詞が違うだけでメロディはそのまま。
こんないい曲が入らなかったのは、やはり歌詞がイマイチだったのか、ポールの「マザーネイチャーズサン」と被るからか。

ということで、ヨーコの影を感じさせない、ビートルズ少年時代最後の録音がこのイーシャーデモかもしれない。楽しそうだもの。


by mahaera | 2019-01-25 00:25 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー『ザ・ビートルズ/50周年記念アニバーサリーエディション』CD1&CD2 2018リミックス

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いつか書こう書こうと思っていたのだが、機会を逸していた昨年出た「ホワイトアルバム」の50周年記念盤
こんなのが出てくると「生きてて良かった」と思う(笑)。
同時期ディランのBOXも出たので、一気に懐がさびしくなったよ。
豪華ブックレット(日本語版は対訳付き)に、2018のステレオ最新ミックスがCD1とCD2に、CD3はイーシャーデモ、CD4、5、6はスタジオのアウトテイク、さらにBlue Rayがあり、ここには、2018ステレオのハイレゾ、5.1サラウンド、モノミックスが入っている(らしい。Blue Rayないんで)。


で、今回は2018ステレオミックスの紹介から。
簡単に言うと、ジョージ・マーティンの息子のジャイルズが、マルチテープからリミックスしたもので、ミックス済みのマスターよりも古い段階からなので分離も良く、音質も格段に良くなっている。
なので、ミックスそのものはオリジナルを踏襲しているが、別な質感に仕上がっている。
が、これが今のサウンドとしても聞けるが、やりすぎないように細心の注意を図っているのがわかる。
全体で言うと、トラックの関係で極端なパンニングがされていたのを直す(ボーカルやベースはセンターに)、中音域を強化(ベースとタムの迫力を増す)、ノイズを消す、不自然なバランスをなくす、などが随所でなされている。
つまり、今の人が初めて「ホワイトアルバム」を聴いても、自然に聴けるようにとの配慮だ。
まず、冒頭の「バック・イン・ザ・USSR」が始まったところから、ベースがブンブンいう迫力に驚く。
次の「ディア・プルーデンス」はこの2018ミックス一番の聴きもので、最初に聞いたときはその豊かなベース音に驚いた。
と、どうしてもベース音を聴いてしまうが、ジョージの「ホワイル・マイ・ギター〜」でも、ジョンの弾く6弦ベースの生々しさに大感動。
すごくかっこいい。クラプトンのギターは元のミックスではちょっと音が大きいなと思っていたが、ここでは曲になじむように音量が下げられているのも正解。
8曲目「ハピネス・イズ・ウォームガン」は好きな曲だ。
ここまできて随分聴いた気になったが、まだLPならA面しか終わっていない。すごい8曲。
B面は「マーサ・マイディア」から始まる。センターにすっきりとまとめられたミックス。
「ドント・パス・ミー・バイ」前はミックスがぐっちゃりしていた印象だが、分離が良くなりすっきりと聴け流ようになった。
C面は「ヤー・ブルース」「ヘルタースケルター」というビートルズの中でも2大ハードな曲を含む8曲。
この2曲に関してはすっきりとして、前のミックスにあったホラー的な怖い感じが消えたかな。
「マザース・ネイチャーズ・サン」「ロング・ロング・ロング」が、いい感じになったと思う。
D面。「サボイトラッフル」のブラスセクションに広がりが出て迫力が増して、かっこいい曲になった。バンドののりがいい。「クライ・ベイビー・クライ」も、改めて聴くとバンドのノリも悪くない。全体的に歌やギターをセンターにして、ベースの中域が補強されている。
「レボリューション9」は特に何もしていないというか、しようがない。
最後の「グッドナイト」は、弦のオーケストラに迫力と立体感が出た。
と駆け足だが、もう通しで20回は聴いているこのミックス。年末から年始の僕の愛聴盤です。
CD3以降は、また今度。


by mahaera | 2019-01-22 13:20 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー/ジョニ・ミッチェル その3『ブルー』『バラにおくる』

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●『ブルー Blue』(1971)
前年、ワイト島のフェスに出演し、人気を確立したジョニ。
その4thアルバム。タイトル通り、ブルー一色のジャケットが印象的でビルボード15位のセールスを記録し、ジョニのアルバムで初めて20位以内にランクイン(イギリスでは3位)。
ジョニのアルバムの中では『コート・アンド・スパーク』と並ぶ代表作で、ローリングストーン誌が選ぶオールタイム・グレイトストアルバムで30位にランクインするなど、名盤として知られている。
サウンドの核はアコースティックギターとピアノのまだまだアコースティックなサウンドだが、すでに「脱フォーク」的な、ジャズに近いモダンなサウンド。
シングルカットは「ケアリー」と「カリフォルニア」
聴きどころは、グラハム・ナッシュと別れ、この頃に付き合っていたというジェームズ・テイラーとのコラボ。
ふたりのジョイントライブは1970年に幾度となく行われている。
アルバム1曲目「オール・アイ・ウォント」から彼の印象的なギターが聞こえるが、「カリフォルニア」「ア・ケイス・オブ・ユー」にもテイラーは参加してギターを弾いている。
全編でベースを弾いているのは、今まで同様スティーブン・スティルス
ラス・カンケルが何曲かでドラムとパーカッションを入れている。

「カリフォルニア」はパリの公園で新聞を読んだり、ギリシャの島でオムレツ食べたり、スペインでパーティーに出たりしている主人公が、カリフォルニアが恋しいと歌っている曲。
「ディス・フライト・トゥナイト」はシングルカットされた「ケアリー」のB面で、のちにロックバンドのナザレスのシングルカバーが大ヒット。

このアルバムで僕が一番好きな曲は「ア・ケイス・オブ・ユー」だ。
ナッシュやその後に短期間付き合ったというレナード・コーエンとの仲を歌ったともいう。のちにライブバージョンがシングルカットされたこともある名曲だ。
フィービー・スノウ、プリンス、ミシェル・ブランチなどもカバーしている。
プリンスのジョニ好きは有名だろうが、カバーしているのはこの曲。
ジェームス・テイラーのギターの音色もペラペラしていて印象的。
「僕の愛は北極星のように変わらない」という彼氏に、彼女は「どこに? 見えないわよ。私を探するならバーに来て」と言う。
「ワインのように苦くて甘く」時には「傷つく覚悟が必要」な彼だが、彼女はそんなワイン(彼)を一箱飲めるという。
「でも両足で立っていられるわよ」と。
ルーファス・ウェインライトのライブでのカバーもいい。


●『バラにおくる For the Roses』(1972)
リプリーズからアサイラムに移籍しての第一弾。
名盤の『ブルー』と『コート・アンド・スパーク』に挟まれて、いささか地味な5thアルバムだが、完成度は高い。
表ジャケットは緑の自然の中のジョニだが、歌詞付きの内ジャケには、海岸の岩場に立つジョニのヌード写真(後ろからだが)。
これも基本となるのはジョニのギターとピアノだが、他のミュージシャンは、トム・スコット、ウィルトン・フェルダー、ラス・カンケル、ジェームズ・バートンなどジャズ畑が初めて参加。
今までのフォーク人脈とは変わったのは(1曲だけCSN&Yが参加)、移籍して新しい音楽をしたいと思ったからか。
とはいえのちにゲフィンレコードを設立するデビッド・ゲフィンによる新会社アサイラムレコードには、1970年代を代表する西海岸シンガーソングライターたちがバッチリそろっていたけど。
シングルカットされヒットしたのは「恋するラジオ」
ジョニにしては明るい曲調で、歌詞にも陰りがない。要は「車に乗っていている人、ラジオを聞いて」という歌なのだが、ジョニも「ラジオのことを歌ったら、ラジオでよくかけてくれるかもしれない」と思って(シングルヒットを熱望していた)作ったと言っている。
カナダでは10位、アメリカでは25位。
全体的にキャッチーな曲が少ないかな。やはり地味かも(笑)


by mahaera | 2019-01-18 14:01 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその2『レディス・オブ・ザ・キャニオン Ladies of the Canyon 』(1970)

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●『レディス・オブ・ザ・キャニオン Ladies of the Canyon 』(1970)

まず訂正。前回ジョニの恋人をスティーブン・スティルスと書いたが、グラハム・ナッシュの間違いだった。すまん。
さて3rdアルバム。タイトルにあるキャニオンとは、当時ジョニを始め西海岸の若手ミュージシャンが多く住んでいたというローレル・キャニオンのこと。
ザ・バーズ、ママス&パパス、ドアーズ、CSN&Yのメンバー、リンダ・ロンシュタットなどが住んでいたという。
このアルバムも基本的にはジョニのギターとピアノ弾き語りだが、のちにライブでも定番となった3つの重要な曲が入っている。

「サークル・ゲーム」は1967年にバフィー・セントメリートム・ラッシュに提供した曲で、ようやく本人によるセルフ・カバーが収められた。
僕は最初は映画『いちご白書』に収められたバフィー版が好きだったが、今ではこのジョニのバージョンが一番好き。
このアルバムではクロスビー、スティルス、ナッシュがコーラスをつけている。歌詞も最高にすばらしい。
もともとこの曲はデビュー前の1965年ごろ、カナダでやはりフォークシンガーとして活躍していたニール・ヤングが19歳の時に書いた「シュガー・マウンテン」という曲への返歌として作られた(2人は大学時代からの知り合いだ)。
「シュガー・マウンテン」は21歳になったらもう昔のようなことはできないという歌詞だが、ジョニは21歳になっても自分やニールにも希望をもたらすために、この曲を書いたという。以下、大意
「ひとりの子供が好奇心と出会ったのはちょっと前。
瓶の中でトンボを飼い、雷の音に怯え、流れ星に涙を流した。そして季節は何度も巡り、ペンキで塗られた仔馬は上がったり下がったり、私たちはみな時の回転木馬の囚われ人。
戻ることはできず、ただ振り返るだけ。
サークルゲームの中で。
(中略)
そして時は過ぎ、あの時の少年は20になった。
望んでいた夢は少し輝きを失ったけど、新しい夢、もっと素晴らしい夢が生まれるかもしれない。
最後の年が巡る前に。」

「ウッドストック」は、自分が行けなかったウッドストックフェスの模様をテレビで見て書いたという曲。
ジョニが弾く、トレモロをかけたウーリッツァーピアノが印象的で、CSN&Yもシングルに取り上げている。
また映画『ウッドストック』のテーマ曲にもなった。
これも名曲。

「ビッグ・イエロー・タクシー」は多くの人にカバーされた、おそらくジョニの中でももっとも知られた曲の1つ。
シングルカットもされた。カウンティング・クロウズのバージョンで知っている人もいるかも。
内容は自然を潰して大きな駐車場を作ったり、木を抜いて博物館に飾って入場料を取ったりする環境破壊について。
「昨夜、ドアが閉まる音がして、
大きな黄色いタクシーが私の大切な人を連れて行った。
いつだってそう。大事なものは無くしてから気づくものだから。彼らは楽園を舗装して、そこに駐車場をたてるの」。
このジャケットもジョニのイラスト、ダブルジャケットで内面にすべての歌詞(手書き)が掲載されている


by mahaera | 2019-01-14 16:46 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその1 『ジョニ・ミッチェル』『青春の光と影』

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気まぐれに愛聴盤の解説を書いていきます。今回は仕事のBGMとしてお世話になっているジョニ・ミッチェルの初期の2枚。

●『ジョニ・ミッチェル Song to a Seagull』(1968)
ファーストソロアルバム。彼女は当時、ジュディ・コリンズの「青春の光と影」バフィ・セントメリーの「サークル・ゲーム」などを提供しヒットさせており、その原作者の待望のデビューとなったが、このデビューアルバムには人に提供した曲はなく、未発表曲ばかり。
というのも当時のLPのA面が「I CAME TO A CITY」B面が「OUT OF THE CITY AND DOWN TO THE SEASIDE」という物語構成になって曲が並べられているから。
全編ジョニのギターかピアノ弾き語りと、時折それをサポートするスティーブン・スティルスのベースのみ。
しかしジョニの弾くギターは、この頃から独特の響き。
CS&N結成の経緯は、ジョニの家で3人が会って意気投合したことがきっかけ。
そのためか、このアルバムのプロデューサーはデビッド・クロスビーになっている。
地味な曲が続くので、ひとつひとつの曲というより全体の雰囲気に浸るといった感じのアルバム。
仕事のBGMにはピッタリ。とくに朝の爽やかな空気にあい、
頭がクリアになる感じ。
ジャケットのイラストやデザインはもちろんジョニ。
ダブルジャケットで内面にすべての歌詞が掲載されている。


●『青春の光と影 Clouds』(1969)
2ndアルバム。プロデュースは1曲を除きジョニ自身になり、ほとんどの楽器を演奏。
他に参加しているミュージシャンはスティーブン・スティルス(ギターとベース)のみ。
基本は前作同様弾き語りの静かな曲が続くが、ジュディ・コリンズに提供してヒットした「チェルシーの朝」「青春の光と影」というキャッチなー曲があり、全体的にはずっと聴きやすくなっている。
「青春の光と影」のジュディ・コリンズ版は1969年のアメリカ映画『青春の光と影』の主題歌にもなったし、他にもシナトラやビング・クロスビー、ニール・ダイヤモンド、クロディーヌ・ロンジェにもカバーされる、ジョニの代表曲となった。
このアルバムではラストを飾り、素晴らしい弾き語りを聴かせてくれる。歌詞も素晴らしいので、どこかで訳詞を読むといい。ジョニは飛行機に乗っている時、窓の下に広がる雲を見て、この歌詞が浮かんだそうだ。
以下、大意
「空に浮かぶ雲を私は上と下の両方から見た。
分かった気になっているがそれは幻想で、
実は雲のことなんか何も知らない。
愛も同じで、今は両方の側から見たことになる。
与える側と受け取る側と。
でもそれもひとつの見方で、
実は何も知らないのかもしれない。
昔の友達は、私が変わってしまったという言う。
失ったものもあるが、得たものもある。
人生も私は両方の側から見た。
勝者と敗者の側と。でもそれも幻想なのかもしれない。
本当の人生なんて、私は何ひとつ知らないのだから」

ちなみにクリントン元大統領の娘チェルシー・クリントンの名前は、「チェルシーの朝」から名付けられたという。
ジャケットのはジョニの自画像。これもダブルジャケットで内面にすべての歌詞が掲載されている。


by mahaera | 2019-01-11 19:20 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

CDレビュー『モア・ブラッド、モア・トラックス(ブートレッグ・シリーズ第14集)』(6枚組)ボブ・ディラン

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「しつこい!」と言われるほどのディラン好きである。

なので、ほぼ毎年年末に出るディランの過去音源集は自分へのクリスマスプレゼントで買っている。

今回は1975年に発売された名盤『血の轍(Blood on the Tracks)』のレコーディングセッション集

ニューヨークのスタジオの4日間、ミネアポリスの2日間の、現存する音源をほぼ収めた6枚組。
これは当初、ほとんど弾き語りとベースで9月に録音された音源で発売されるはずで、テスト盤まで作られた。

しかし、しばらく寝かしていた間にディランの気が変わり、12月に故郷のミネアポリスで地元ミュージシャンを使ってバンド編成で再録音。

10曲中、5曲が差し替えられた。翌年1月に発売されたアルバムは、全米1位を記録した。


発売されたオリジナルアルバムに関しては、70年代ディランの最高傑作とも言われ、いまもその中から「ブルーにこんがらがって」「運命のひとひねり」「彼女に会ったら、よろしくと」などはコンサートの定番曲だ。

僕は最初はピンとこなかったが、スルメのように聴けば聴くほど味わいのあるアルバムで、永遠に聴いていられるかもしれない。

とくに楽曲のクオリティは高すぎる。

この音源集は全部で87テイクあるが、完奏していないものもあり、ミネアポリス録音はマスターテープしか残っていなかったのでその5曲のリミックスしかない(正式音源と同じ演奏)。

このセッションでの録音は、基本10曲プラス未発表2曲なので、同じ曲の繰り返しだ。しかし、これがいつまで聴いていても飽きない。


6枚中最初の5枚はほとんど弾き語りにベースかオルガンしか入っていないが、ディランの声は過去最高の“いい声”で、表現力も抜群。

どのテイクも集中力を欠かさず、丁寧に歌っている。

それとアコースティックギターの響きだが、ニューヨーク録音はほぼすべてオープンDチューニングのCapo2でいい味を出している。

独特のサウンドだ。だからキーはほとんどEだったが、再録音でバンド編成にした時、5曲中4曲がキー変更。EからD、G2曲、 Aに。

さらにディランには珍しいが、自分でギターやオルガンをオーバーダブもしている。


とにかく、録音が進むにしたがって曲が形作られ、そして歌い方の変化の様子がわかる。

同じ曲だが、テイクによっては「別離の哀しみ」「相手への強い非難」など、ニュアンスが変わるのだ。

ということで表現力抜群。

曲はほぼ、奥さんとのすれ違い、非難、哀しみ、別離、あきらめを歌ったオンパレードなんだけど、プライベート臭を消してスタンダードにしているのはすごい。

ということで、ほぼ一ヶ月、毎日聴いています。


by mahaera | 2018-12-14 13:28 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)