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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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カテゴリ:音楽CD、ライブ、映画紹介( 158 )

名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその7 『ミンガス』- Mingus(1979)

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アサイラムレコード最後のスタジオアルバム(この後にライブアルバムはあるが)。
ジョニの70年代を締めくくる作品でもある。
ジャズ嗜好を強めていったジョニは、ジャズの巨人チャールズ・ミンガスとのコラボアルバムを作る予定で進めていったが、ミンガスの病状の悪化と死去(1979年1月5日)、アルバムの制作方針の転換などがあり、途中でミュージシャンを入れ替えて、ミンガスの死後に完成。
音楽の合間に、ミンガスの声などが挟み込まれている。
曲もジョニのオリジナルと、ミンガスの曲にジョニが詞をつけたもので構成されている。

ミュージシャンの入れ替え理由は定かではないが、最初に録音したという"experimental sessions" の音源も残っていたなら、ぜひ聴いてみたいものだ。
ドラムにいつものジョン・ゲランとトニー・ウィリアムズ、ベースにエディ・ゴメスとスタンリー・クラーク、ギターにジョン・マクラフリン、ホーンにフィル・ウッズとゲリー・マリガン、ムーグにヤン・ハマーが参加していた。
しかし完成版は、ほとんどがジョニとジャコ・パストリアスのコラボ作品といってもいい感じに変わった。
ジャコが集めてきたレコーディングメンバーは、サックスにウエイン・ショーター、ドラムにピーター・アースキン、コンガにドン・アライアス、エレピにハービー・ハンコックという、ハンコックを除けばウェザー・リポート人脈

まずは「Happy Birthday 1975」という53歳のミンガスの誕生日を祝う身内のパーティらしき声だけの1分ほど録音から。
ジョニが「53歳!」という声が後ろから聴こえてきて、ジョニの「God Must Be A Boogie Man」へ。楽器はジョニのアコギとジャコのベースだけだが、ジャコのベースが歌う歌う
まるでホーンが一人そこにいるようだ。耳に残る名演。
ミンガス作曲の「A Chair in the Sky」からバンド編成に移る。ハンコックのピアノ、ジャコのベースが美しい音を生み出している。

アナログA面最後の「The Wolf That Lives in Lindsey」はジョニの単独作。
チューニングを下げたアコギがまるで琵琶のようにも聞こえ、効果音で聞こえる狼の遠吠えもあって物悲しいサウンド。
ホラー映画にも使えそう。

B面はミンガス作曲の3曲と声のコラージュ。
「Sweet Sucker Dance」はバンドの演奏も一番ジャズぽいか。ウェインのサックス、ジャコのベース、ハンコックのエレピがうまく絡まっていい感じ。
「The Dry Cleaner from Des Moines」ジャコの早弾きから跳ねたリズムへ。基本はドラム、ベースに、奔放なボーカルと、ジャコのアレンジされたホーンセクションが切り込んでくる。
ラストはミンガスの名曲「Goodbye Pork Pie Hat」
多くの人が取り上げるスタンダードで、ジェフ・ベックやジョン・マクラフリン、スタンリー・クラークらが自身のアルバムで取り上げている。

ジャケットのアートワーク(もちろんジョニの絵画)も含めて、アート作品と言っていいこのアルバムだが、ハイブロウというか取っ付きにくい、暗い、というところもあり、チャートは17位どまり。
しかし今となってみると、こんなポピュラーでない作品が17位になった方が驚きかもしれない。
僕は当時、このアルバムは勉強するぐらいの気持ち(渋谷に映画「バグダッドカフェ」を見に行くぐらいの感じ)で聴いていたな。
今でも“好き”というより、作品に向き合うといった姿勢でつい聴いてしまうアルバム。
名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその6映画で言えば、キネ旬で1位は「ミンガス」だが、読者選出だと「逃避行」というニュアンスかな(笑)。


by mahaera | 2019-04-11 07:59 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

ルーファス・ウェインライト 2019年3月29日 東京国際フォーラムC 最高だった!

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うーん、最高の公演だった。いろいろなライブ行くけど、これほど歌のうまさに終始うっとりできるコンサートはなかなかない。
ロック系でもないしダンス系でもないので、僕の周りでは聴く人はほぼ皆無だけど、今回この公演が見られて本当に良かったと思う。

1973年生まれのルーファス・ウェインライトは、1998年にデビュー。
家庭環境によりアメリカとカナダの両方で育ち、十代のうちにゲイであることをカミングアウト。
音楽性は、オペラやジュディ・ガーランド、エディット・ピアフ、ミュージカルなどに影響を受けたもので、ロックやダンスといったヒットチャートのメインストリームとは違う。
例えて言うならば、それらをしないフレディ・マーキューリーか。
僕が初めて彼を知ったのは映画『シュレック』の挿入歌で、レナード・コーエンの「ハレルヤ」のカバー。
それが本家やバックリィ版よりも素晴らしく、この曲が大好きになってしまった。映画『アイ・アム・ア・サム』の挿入歌「アクロス・ザ・ユニバース」もPV共々素晴らしかった。

さて、昨年、ドイツ人のアーティストと結婚したルーファス。
今回はバンド編成で、初期2枚のアルバム(『ルーファス・ウェインライト』『ポーセズ』)を再現する試みで、5人編成のバンドで来日(ここしばらくはピアノの弾き語りが多かった)。
先週、パートナーと中国から長崎に上陸したルーファスは、京都など日本観光を楽しんでちょっと新婚旅行気分で終始上機嫌。
twitterを見ると、長崎ではグラバー邸「蝶々夫人」に思いを馳せたり、目黒川で花見をしたり、京都で坂東玉三郎の公演を見たり、楽屋にはなぜか映画監督の三池崇史が来たりしていたらしい(昨日は楽屋に坂東玉三郎が来たらしい。客席には鈴木慶一の姿も)。
さて今回のステージは休憩を挟んだ二部構成。
第一部はファーストアルバム『ルーファス・ウェインライト』からの8曲と最近の曲、ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」のカバー。
ほぼ一曲ごとにトークが入る。歌はほとんどCDと同じクオリティで、うますぎる。
そして声が同じ男でもうったりするほどいい。
これはフレディやジョージ・マイケル、エルトンのレベル。
昨年、同じカナダのジョニ・ミッチェルの生誕75周年を記念するコンサートにも出演していたっけ。
MCは予想に反してちょっと可愛い感じ。
曲の前にはその解説も交えたりお客も笑わせたりと、サービス心もある。曲によって、アコギとピアノを行き来。
そして客席にいるパートナーを「マイ・ハズバンド」と呼んだりしていた。

15分の休憩を挟んだ後の第二部は、2nd『ポーゼス』の全12曲をその曲順にMCなしで一挙に歌う。
きっとMC入れると緊張感が途切れるのだろう。日本で用意したという派手なキモノを嬉しそうに着て登場。ほぼフレディ。
バンドサウンドだが、非ロックの要素も強い。
数年前に同じ国際フォーラムで見たブライアン・ウィルソンの『ペット・サウンズ』全曲公演に似た感じだ。

アンコールは続けて3曲。
自作2曲の後、最後はビートルズのうっとりするようなカバー『アクロス・ザ・ユニバース』で締めた。
そういえば、ルーファスのデビュー当時はショーン・レノンとツアーをしていたらしい。

大満足のコンサート。
残念なのは客の入りが今一つで、2階席の前の方までしか埋まらず、3階は人もいれていない。
それと会場限定のカバーCDが、前日の初日で売り切れて2日目は販売なし(おいおい分けて販売してくれよ)。
Tシャツなどのコンサートグッズも在庫がなかったのか、すぐに売り切れてたし。
もっといろんな人に見てもらいたいと思ったコンサートだ。で、彼の歌声はやはり最高!


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by mahaera | 2019-03-30 12:08 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその6『ドンファンのじゃじゃ馬娘』(1977)聴き応えのあるジョニのホワイトアルバム

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●『ドンフアンのじゃじゃ馬娘』

- Don Juan's Reckless Daughter (1977)
ジョニ初の2枚組で、前作から一部参加していたジャコ・パストリアスが全面参加するだけでなく、おそらくアレンジや楽曲構成にも大きく関わっていると思われるジャズ・フュージョン寄りのアルバム。
ポップさはかなり後退して、誰もが歌えるようなメロディはなく、ほとんどジャズの即興のようなふわふわしたもの。
レッドツェッペリンのロバート・プラントの歌メロみたいな。
サウンドは基本的には、ジョニのアコギとジャコのベースが核。ここ数作で参加しているジョニの恋人ジョン・ゲランがドラム、何曲かでラリー・カールトンがエレクトリックギターで参加しているが、印象にない。
ウエイン・ショーターがソプラノサックスで2曲、ドン・アライアスとアレックス・アクーナがパーカッションで参加しているのは、ジャコつながりだろう(ウェザーリポート人脈)。
コーラスではチャカ・カーンが「テンス・ワールド」「ドリームランド」、グレン・フライとJ.D.サウザーが「オフ・ナイト・バックストリート」が参加しているのも話題に。

1曲目「オーバーチュア〜コットンアベニュー」でアルバムは幕を開け、ちょっと「コヨーテ」風の2曲目「トーク・トゥ・ミー」では、ジョニのギターとジャコのベース(オーバーダブされて何本も入っている)が、共に歌う。ジャコの饒舌なベースメロが聴ける。この1-2曲がジャコのベストプレイか。

LPではSide-B一面を使った16分強の大作「パプリカ・プレインズ」はジョニのピアノの弾き語りから始まり、途中からマイケル・ギブ編曲の壮大でドラマチックなオーケーストレーションが加わっていく。
中盤は歌がなく、ジョニのピアノとオーケストラのみで曲が進む。
後半、再び歌が戻り、まるで映画を見ているかのよう。
歌詞はジョニの子供時代のカナダの平原をイメージしたものだそう。
エンディングはドラムやベース、サックスも加わり、ドラマチックに。

Side C 1曲目「Otis and Mariena」のエンディングから途切れなくカリブ風のパーカッションが入り、パーカッション(アイアート・モレイラはスルド、アレックス・アクーナもコンガで参加)とコーラスの掛け合いだけの「The Tenth World」へ。
これは完全にワールドミュージック。
間髪入れず、パーカッションとジョニの歌のみという「Dreamland」へ。
こちらは「The Tenth World」がカリブ風なのに対して、アフリカ風。
Side Dに移り、「Don Juan's Reckless Daughter」では、ジョニのアコギとパーカッション。
ここまでがワールド・ミュージック風のものが続く。

Side D2曲目「Off Night Backstreet」にはグレン・フライとJ.D.サウザーがコーラスで参加、ドラム、ベース、アコギという普通の編成で、このアルバムの中では一番ポップな曲
アルバム最後の「絹のヴェール」はジョニのアコギ弾き語り。これは久々にフォーク時代の曲のよう。

アルバムは全米チャート最高位25位とふるわず、また批評家からも賛否両論だった。
しかし内容はバラエティに富んでおり、ビートルズで言えば「ホワイトアルバム」
アコースティック感があり、音で埋め尽くさないのもいい(コード楽器はほとんどジョニのアコギかピアノのみ)。
名作であることに変わりないだろうが、ジョニ初心者にはとっつきにくいアルバムかも。


by mahaera | 2019-03-28 12:28 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

2019年3月16日「ダン・ペン&スプーナー・オールダム」ライブ 六本木のビルボード東京

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3月16日の土曜日、友人に誘われて六本木のビルボードに、「ダン・ペン&スプーナー・オールダム」のライブを見に行く。
実は事前に1曲も知らなくて、前日にあわててYouTubeで何曲か聴いたぐらい。なので詳しくはみなさんググってください。
ライブはダン・ペンのアコースティックギターの弾き語りにスプーナー・オールダムのエレピの伴奏とコーラスのみ。


スプーナー・オールダムは僕にとっては、ボブ・ディランの1980年のゴスペルツアーのメンバーであり、アルバム「セイブド」の録音に参加したキーボーディスト。
詳しくは知らなかったが、数年前に公開された音楽ドキュメンタリー「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」にも出ていて、マッスル・ショールズのスタジオの重要な録音メンバーだったことを知る。


さてライブはほのぼのとした心温まるものだった。

何よりもダン・ペンの声がいい。
曲を知らなくとも、カントリーとソウルの間ぐらいの朗々とした歌声。
彼が作った曲の多くはアレサ・フランクリンなど黒人ソウルシンガーによって歌われ、よりソウル色が強まったが、ここでの弾き語りスタイルにはカントリーのルーツも感じさせるもの。

ともあれ60〜70年代の音楽のすばらしさを再認識した一夜だった。


by mahaera | 2019-03-19 17:48 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

2019年3月6日ライブレポート/デビッド・T・ウォーカー Billboard東京

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病み上がりといった感じだが、前から友人のお付き合いで行くことになっていたので、昨日六本木ビルボードに行く。
出演は、デビッド・“左”T・ウォーカー。ドラムはジェイムズ・“省エネ”・ギャドソン
あだ名は、ウォーカーさんのぱかっと口を開けるキメ顔が左卜全そっくりなのと、高齢か体調不良かのギャドソンさん、キメる時以外は力を抜いて省エネに徹していたから(音数少ないフィルとか)。

実は予習してなくて、演奏始まる前まですっかりブルースのライブと勘違いしていたくらい。
Tボーンウォーカーと混同していた模様。
って、ストーンズとスティーリー・ダン間違えるようなもんかね。

という訳でよく知らずに観出したが、70年代にざんざん聞いたフュージョンやイージーリスニングの世界のようで、ギターの音色が心地いい。
「あ、これね!」とやっと繋がったのが、バリー・ホワイトの「愛のテーマ」。このギターの人ね!と。

他にもイントロだけだが、ジャクソン・ファイブの「帰って欲しいの」をしていたが、あのギターを弾いているのもこのウォーカーさんだと後で知る。
このくらいしか知らんでライブに行って申し訳ない。
しかし、78歳の素敵な紳士然とした雰囲気でファンになりました。

一方のギャドソンさんは、足が悪いようで階段の上り下りも辛そう。
アンコール前も袖に引っ込まず、ずっとドラムに座りっぱなし。
でもドラムは叩けるのか。演奏中に一度、ドラムイスの問題か調整してて、ドラムが途切れる瞬間があったけど、その時に袖から駆け寄ってヘルプしていたのがドラマーの沼澤尚氏だった模様。
ギャドソンはかつての師匠にあると聞く。
観客には日本のミュージシャンの方々も多かったそうなと後から友人に聞く。
と勉強不足ながら、ゆったりと音楽に浸った夜でした。

by mahaera | 2019-03-07 00:00 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその5『夏草の誘い』と『逃避行』1975-1976

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●『夏草の誘い』(Hissing of Summer Lawns )(1975)
前スタジオ作『コート・アンド・スパーク』の好調を受け継ぐように、LAの腕利きジャズミュージシャンの助けを借りたジャズ・ロックともいうべき作品群。
キヤッチーなのは前作だが、ここではすでにジョニにしか作れない音楽の領域に達している。
過渡期の作品だが、名作には変わりない。
故プリンスが大絶賛したアルバムでもある。
参加ミュージシャンはヴィクター・フェルドマン(エレピ、パーカッション)、ジョー・サンプル(キーボード)、ラリー・カールトン(ギター)、ロベン・フォード(ギター)、ジェフ・バクスター(ギター)、マックス・ベネット(ベース)、ウィルトン・フェルダー(ベース)、ジョン・ゲラン(ドラム)
シングルカットされた1曲目の「フランスの恋人たち」は最高位66位で、ラジオでもよくオンエアされる曲になった。ジェフ・バクスターとロベン・フォードのギターの絡み、ジョー・サンプルのエレピ、そしてジェームズ・テイラー、グラハム・ナッシュ、デビッド・クロスビーによるコーラスと豪華。
2曲目はアフリカのブルンジのドラム隊をフューチャーした異色の「ジャングル・ライン」
3曲目「エディスと親玉」4曲目「悲しみは友だちDon't Interrupt The Sorrow」では、ウィルトン・フェルダー(クルセイダーズ)のベースラインが格好いい。
物憂い7曲目「夏草の誘い」は、当時の洗練された日本のシティポップスとリンクしているようなサウンド。
8曲目「Harry's House / Centerpiece」の後半では、完全なジャズボーカルに突入。
スティーリー・ダンやTOTOのセッションでも知られるチャック・フィンドレーのペットもいい感じ。
最後の「シャドウズ・アンド・ライト」は、ジョニの多重コーラスとシンセによる素晴らしい曲。
ジャケットもいつものようにジョニ・ミッチェル自身のもの。内ジャケットのプールに水着で浮かぶ写真はノーマン・シーフ。本作はグラミー賞の候補にもなった。


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●『逃避行』(Hejira)(1976)
1976年は、ボストン「幻想飛行」、ボズ・スキャッグス「シルク・ディグリーズ」、キッス「地獄の軍団」、レッド・ツェッペリン「プレゼンス」、ボブ・ディラン「欲望」といった名盤目白押しのロック全盛期。
そんな中に出た本作をジョニの代表作に押す人も少なくない。
サウンド面ではある意味頂点ともいえるかも。
1976年初めにディランとのローリングサンダーレビューに参加した後、アメリカを車で横断する旅に出た彼女は、その旅にインスパイアされて6曲を仕上げる。
このアルバム制作中に、数作アルバムを一緒に作ってきた恋人でドラマーのジョン・ゲランと破局。
それもあってかドラムがあまり入っていない。
また、分かりやすい歌メロがほとんどない、語りのような歌の曲がほとんどになった。
原題の「Hejira」とは、預言者ムハンマドがメッカからメディナに本拠地を移した「聖遷」のこと。
1曲目の「コヨーテ」から、このアルバムから参加することになったジャコ・パストリアスのベースが歌う歌う。
ジョニのギターカッティングとの絶妙なコンビネーション。
そして独特のハーモニクス双方。ジャコは同年にファーストソロアルバム『ジャコ・パストリアスの肖像』でデビューだから、とにかく期待の大型新人だったのだろう。
ただしアルバム半分の曲はまだベースはマックス・ベネットが弾いている。
この「コヨーテ」は、映画『ラスト・ワルツ』でザ・バンドをバックに演奏されているので知っている人も多いはず。ただし、このアルバムが発売されたのと、ラストワルツのコンサートは同じ年の同じ月(1976年11月)なので、この曲を会場で知っていた人は少なかったかもしれない。歌詞の“コヨーテ”と呼ばれる男性は、劇作家で俳優のサム・シェパードがモデルという(ローリングサンダーレビューで知り合った)。
2曲目「アメリア」は、太平洋上で消息を絶った女性飛行士アメリア・イアハートのこと。
3曲目の「ファリー・シングス・ザ・ブルース」のファリーは、メンフィスで活躍したブルースギタリスト&シンガーのファリー・ルイスのこと。
5曲目アルバムタイトルにもなった「逃避行」。ジョニのギターとジャコのベースに静かにパーカッションがあるだけだが、独特の浮遊感を作り出している。ベースは何本かオーバーダブされている。
7曲目はちょっとツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」に似たリズムパターンの「黒いカラス」。カールトンのギターとジャコのベースがロックぽい。
ラスト9曲目「旅はなぐさめ」は、ほぼジャコとのデュオ。存在感のある歌にリードベースと化しているジャコが絡んでいる。
他の参加ミュージシャンは、ラリー・カールトン(ギター)。ジョン・ゲラン(ドラム)、ヴィクター・フェルドマン(ヴィブラホン)、ボビー・ホール(パーカッション)ニール・ヤング(ハーモニカ)。印象的なジャケット写真はノーマン・シーフ
この2枚はまさにジョニの絶頂期かも。


by mahaera | 2019-03-03 18:35 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー『ザ・ビートルズ/50周年記念アニバーサリーエディション』CD6セッションズ3 9月16日~10月13日

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前回、書き忘れたがレコーディング中の8月30日(アメリカは8月26日)にシングル「ヘイ・ジュード」がリリース。B面は「リヴォルーション」。ビルボードでは9週連続1位を記録する。
CD6は9月16日の「アイ・ウィル」(テイク13)の録音から始まる。完成版はポールの弾き語りだが、ここではジョンのスカルというチャカポコ鳴るパーカッション、リンゴのリムショットとシンバルが加わっている。
続いて3人(ジョージは欠席)はジャムセッションに入り、プレスリーの「ブルームーン」、途中までの「アイ・ウィル」(テイク29)「ステップ・インサイド・ラブ」(ポールがシラ・ブックに書いた曲)、即興のコミカルソング「ロス・パラノイアス」をポールがそのままの編成で即興で歌う。
最後も同じ編成の「キャン・ユー・テイク・ミー・バック?」(テイク1)。これは単独作にならなく(即興のよう)、「クライ・ベイビー・クライ」のエンディングに使用されることになった。

9月18日「バースデイ」(インスト/テイク2)。録音データを見ると、この曲はリズム、オーバーダブ、歌入れまでたった1日で終わっている。
というのもこの日、5時からレコーディングを開始したビートルズは、テレビで放映されるロックンロール映画「女はそれを我慢できない」を見たくしてしかたなかった。
なので簡単にできる曲をと、Aのブルース進行のこの曲を思いつきで録音。
それから近くのポールの家へ行って9時から放映の映画を見て、またスタジオに戻った。
映画を見て興奮したメンバーは歌詞もその場で作って録音。
久しぶりにジョンとポールが半々で作り上げた曲になった。コーラスを歌っているのはヨーコとパティ・ハリスン。勢いのあるセッション。

9月19日「ピッギーズ」(インスト/テイク12)。セッション中、翌日のジャクリーヌ・デ・プレの録音のためにスタジオに置かれていたハープシコードを見つけたプロデューサーのクリス・トーマスがアイデアを出し、ビートルズと一緒に演奏することになった。
このテイクにはのち(10月10日)に弦楽八重奏が加えられているが、これは休暇から帰ってきたジョージ・マーティンのアイデア。その日に「グラス・オニオン」の不気味な弦も録音されている。

週末明けの9月23日「ハピネス・イズ・ウォーム・ガン」(テイク19)にビートルズは取り掛かる。
このテイクは最後まで構成が決まっているが、発表された複雑なリズムにはまだなっていない。
この録音には3日かかっており、また完成版はふたつのテイクをつなぎ合わせたものになっているが、最終的にはこの時期ならではの極上の曲に仕上がっている。

10月1日~4日「ハニー・パイ」(インスト)。ポールがピアノを弾いているので、ベースはジョージ。すばらしいギターソロはジョン。これは管楽器がオーバーダブ(10月4日)されたインスト。

10月3日「サボイ・トラッフル」(インスト)イントロの印象的なエレピや途中のオルガンは、クリス・トーマスによるもの。
またテナーとバリトンだけのサックスによる印象的なアレンジもクリス・トーマスだ。録音になぜかジョンは不参加。

10月4日「マーサ・マイ・ディア」(ブラスとストリングスなし)。
ベーシックトラックは1日で完成。ポールのピアノとジョージのギター、リンゴのドラム。ジョンは不参加。

10月7日「ロング・ロング・ロング」(テイク44)。ディランの「ローランドの悲しい目の乙女」にインスパアされたというワルツ。
ジョージはアコギ、ポールはオルガンとベース、リンゴはドラム、ジョンは不参加。
なかなかうまく決まらずテイク63まで続く。

10月8日「アイム・ソー・タイアド」(テイク7)(テイク14)。発売時期が決まっていたため、マスタリング提出期限まであと1週間。
ビートルズのメンバーはこの日、午後4時から翌朝の8時までのロングセッションに。この曲も一晩で完成させた。
ジョンは毎回本番に採用されるように歌っている
ここには使われなかったメンバーのハーモニーが残っている。
「コンティニューイング・ストーリー・バンガロー・ビル」(テイク2)。夜明け、ジョンが28歳の誕生日を迎え、「アイム・ソー・タイアド」が完成した後、この曲に取り掛かった。
クリス・トーマスはメロトロンでマンドリンを演奏。イントロのスパニッシュ・ギターもメロトロン。
追加のボーカルには、ヨーコとリンゴの妻モーリーンが入っている。

10月9日「ワイト・ドント・ウィ・ドュー・イット・イン・ザ・ロード」(テイク5)。ポールとリンゴのみの録音。ドラム以外の楽器は、後からポールがオーバーダブした。ジョンは後から自分を録音に呼ばなかったポールに不満だったという(この曲をやりたかった)

10月13日「ジュリア」(リハーサル)。締め切りが迫るので、この日は日曜日だったがメンバーはスタジオに。ジョージ・マーティンとポールの会話が収録されている。最初のテイクはコードストローク。次のがおなじみの3フィンガー。

ここで、ここで聴ける「ホワイトアルバムセッョン」は終了。ご苦労様でしたが、以下おまけが入っている。
1968年1月12日「ジ・インナー・ライト」(インスト)ムンバイ(当時はボンベイ)のスタジオでインド人ミュージシャンを使って映画のサントラ「不思議の壁」のサントラを録音していたジョージだが、時間が余ったのでビートルズ用としてこの曲のオケを録音する。そして帰国して2月にボーカルをダビングした。ジョンとポールはこの曲を絶賛して、「アクロス・ザ・ユニバース」の代わりに3月15日に「レディ・マドンナ」のB面として発表。ジョージ初のシングル曲になる。個人的には「アクロス・ザ・ユニバース」のほうが好きだが(笑)

1968年2月3日「レディ・マドンナ」(テイク2、テイク3)。2月3日に基本のトラックを録音し、2月6日にホーンセクションを追加録音。3テイクと素早く録音された・テナーサックスはロニー・スコッツ(クラブが有名だ)。

1968年2月4日「アクロス・ザ・ユニバース」(テイク6)。行き場をなくしたこの曲は、のちにフィル・スペクターのプロデュースにより「レット・イット・ビー」に収録された時は、テープスピートが落とされしのキーがDbに。初出のチャリティアルバム収録バージョンでは、逆にスピートが上がってキーはEbになっている。

さて、ホワイトアルバムのレコーディングは終わったが、次に30曲のミックスが残っていた。当時はまだモノミックスのほうが重要で、それらは随時仕上げられていったが、ステレオミックスはかなりやっつけだった。それも含めて終了したのは期限が迫っていた10月18日だった。しかしその日、ジョンとヨーコがマリファナ不法所持で逮捕される。本当にギリだったのね。
この年のスタジオ作業は、10月29日の「イエローサブマリン」サウンドトラックのミックス作業で終了。翌年1月2日の「ゲットバック」セッションまではお休みだ。
11月8日にはジョンとシンシアの離婚が成立。

11月22日に「The Beatles(ホワイトアルバム)」が発売。
ビルボードでは9週連続1位。900万セットを売り上げた。
アルバムには付録のポートレートカード、歌詞が印刷されたポスターがつけられた。

という感じで、この2か月、このアルバムかなり聴いて楽しませていただきました! しかし、今年は『アビーロード』『ゲットバック』セッション50年なので、またボックスが出るのかなあ。。


by mahaera | 2019-02-11 01:44 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー『ザ・ビートルズ/50周年記念アニバーサリーエディション』CD5 セッションズ2 7月19日〜9月11日

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CD5は7月19日に録音が始まった「セクシーセディ」(テイク3)から始まる。ジョンがインドを去る前に最後に書いた曲。マハリシを揶揄した曲。この初期テイクだと、ジョンがアコギ、ジョージがエレキ、ポールがキーボードだ。しかし何かが足りなく、8月にリメイクされることになる。

次の「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」は7月25日に録音が始まった。ここにあるのは(アコースティックパージョン・テイク2)で、参加しているのはアコギと歌のジョージ、オルガンを弾くポールの二人のみ。リハーサルだと思うが、後ろのポールがいろいろなコードを試しているのが面白い。

次が7月29日に「ヘイ・ジュード」(テイク1)がレコーディングされている。ここにあるのが意外な気がするが。ビートルズは「ホワイトアルバム」に先駆けてシングルを出す必要があった。「レボリューション」はもう決まっていたが、その片面になったのがこの曲。この曲が書かれたのは、ジョンがシンシアと別れることになってポールが5歳のジュリアンを慰めるために、というのは有名な話。ポールはシンシアを訪ね、この曲の歌詞を見せたという。このテイク1では、ほぼ曲の骨格は完成版と同じで、後半のシャウトも完成版と同じように長い。続いて同じセッションから「セント・ルイス・ブルース」のジャムが。「ヘイ・ジュード」は最終的にトライデントスタジオで、8月1日にオーバーダブを経て完成する。


その後、アビーロードスタジオに戻り、8月7日に始まったジョージの「ノット・ギルティ」(テイク102)は、アレンジもできていて、ジョンの弾くハープシコードも印象的なのだが、最終的になぜかボツになった。個人的には好きな曲なんだが。

8月9日「マザーズ・ネイチャーズ・サン」(テイク15)は、ポールによる弾き語りバージョン。歌い回しが完成版と少し違う。

8月13日「ヤー・ブルース」(テイク5)。完成版のテイクとは違うが、遠くでジョンのガイドボーカルが聞こえる。この録音の時は、ライブ感を出すためかスタジオではなく、狭い空き部屋に全員が入ってくっつきそうになりながら演奏した。音の分離をわざと悪くして迫力を出したのかな。でもこの録音好き。

8月14日は「ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」(テイク1)ジョンがボーカルとピアノ、ジョージがアコギの2人で録音だが、これはとうとう未発表に終わった。


8月15日「ロッキー・ラクーン」(テイク8)完成前のテイクだが、ジョンのハーモニカ、ジョージのベースが入っている。ライブだと思うといい演奏だ。一度終わって、またポールの語りから始まる構成になっている。あとでジョージ・マーティンが弾く酒場のピアノ風がオーバーダブされることに。

8月22日「バック・イン・ザ・USSR」(テイク5)レコーディング中盤になり、ポールの細かい指示にブチ切れたリンゴがスタジオから消えてしまう。この曲は、そこで残りの3人しか録音に加わっていない。ドラムはポールがメインだが、ジョージとジョンもしている。またベースも3人が弾いている。このテイクはキーが低くテンポが遅い。ドラムを叩きやすくするためにテープスピードを落としたのかは不明。

8月28日「ディア・プルーデンス」(テイク名なし)。リンゴはまだ帰ってこないので。ポールがドラムを叩いている。ベースが入っていないのでまだあの雰囲気はでていないが、ポールのドラムのフィルは、リンゴっぽい。きっと左利きで右利きドラムを叩いているという共通点があるからだろうか。

このあと、みなさんが知っているエピソードがあって、リンゴがスタジオに復帰する。復帰後は、険悪な雰囲気も消え録音はスムーズに進んだようだ。


9月5日「レット・イット・ビー」(テイク不明)コード進行を適当に決めたジャムセッションだが、ポールが歌う歌詞は「レット・イット・ビー」。クラプトンのギターが小さく聞こえる?
「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」(3rd Verテイク27)。クラプトンも参加した日のセッション。ポールはオルガン。クラプトンはテイク17から45まで参加したというので、もうちょっと聴きたいなあ。

9月9日「ベイビー・アイ・ドント・ケア」(スタジオジャム)
「ヘルター・スケルター」(2nd Ver. テイク17)7週間ぶりにビートルズがこの曲に戻ってきたときは、完成版に近いラウドな曲に変わっていた。テンポは早めで、ポールの声にはプレスリー風のロングディレイがかかっている。プレスリーの「ベイビー・アイ・ドント・ケア」のジャムに続き始まるこの「ヘルター・スケルター」はなかなか楽しめる。ギターはポールとジョージ、ジョンがベース。

9月11日「グラス・オニオン」(テイク10)。リズムトラックの録音。9月16日にポールとクリス・トーマスがリコーダーをオーバーダブする。


by mahaera | 2019-02-01 11:56 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー『ザ・ビートルズ/50周年記念アニバーサリーエディション CD4 セッションズ1

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CD4からCD6までの3枚は、ホワイトアルバム・セッションのアウトテイクが、ほぼ録音順に並んでいる
といってもその数は膨大なので、完奏しているもの、同じようなものがダブらないものが選別され、なおかつミックスが施されている。
「ブラックバード」何十テイクあっても飽きちゃうし。

前回、書きそびれたが、イーシャーデモが作られる前、インドから帰ってきたジョンは、妻シンシアがギリシャ旅行に行っている間の5月19日に自宅にヨーコを呼ぶ。
明け方にかけて、ふたりはのちに『トゥー・バージンズ』というタイトルで発売された前衛音楽のパーツを録音。
この夜、ふたりは結ばれ(ジョン談)、同棲生活に入る。

CD4の最初は1968年5月30日に始まった『レボリューション1』の録音から。前回紹介したイーシャーデモの数日後だが、すでにヨーコがスタジオに登場している(ジョンと作ったテープループを回している)。
これはアルバムバージョンに使われることになった[テイク18]で、6月4日までにリズムトラックとボーカルが完成。
管楽器がオーバーダブされる前のもので10分半あるが、後半はジョンの即興の叫びやらで、一部が『レボリューション9』に使われることになった。すでにジョンがヨーコ化している。

続いてビートルズが手をつけたのはリンゴの『ドント・パス・ミー・バイ(テイク4)』だが、参加しているのはリンゴとポールのみ。レスリーをかけたピアノを弾いているのがリンゴ、ドラムはポール。

『ブラックバード』(テイク28)(6月11日)はポール一人で録音。まだブレイクして続く後半部分がない。

『エブリバディ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ア・モンキー』のリハーサル(6月26日)では、まだリズムが平坦な8ビートで、完成版のように弾けていない。

このあとビートルズはリンゴが歌う『グッドナイト』にとりかかる。
このCDには6分半にわたって、ジョンのギターが爪弾くバッキングのリハーサルやジョージ・マーティンのピアノバックに、リンゴが語り入りで始める「テイク10」や「テイク22」が入る。
ジョンの3フィンガーギター?だけをバックに、4声コーラスで歌うバージョンもなかなかいい。メンバー楽しそう。
結局、マーティンがオーケストラスコアを書くことになるのだが、メンバーはふつうの編成ではピンとこなかったのだろう。

『オ・ブラ・ディ・オ・ブラ・ダ』(テイク3)は、7月3~5日の初期テイクで主役はまだアコギ。
これはこれで完成の域だが、この後、ジョンがピアノに移って曲の雰囲気が変わっていくことになる。

この後、7月9日からビートルズは、シングル盤の『レボリューション』に取り掛かる。ジョンは最初からシングルにしたかったが、メンバーから「テンポが遅すぎる」と言われてにリメイクすることに。
「リハーサル」はテンポは早くなったが、ギターの音はまだ歪んでいない。7月10日に録音された歌なしの「テイク14」はもう完成版に近く、ギターは歪んでいる。
翌日、11日にピアノのニッキー・ホプキンスがオーバーダブ。発売時にはテープスピードをあげたので、キーがAからBに変わっている。シングル盤は、「ヘイ・ジュード」のB面として8月28日に発売された。ビートルズの次のシングルは「ゲット・バック」だ。

『クライ・ベイビー・クライ』のリハーサルテイクは7月15日。完成版にはないジョンのオルガンのイントロがある。翌日、ジョンは楽器をアコギに変えて録音を再開。

CD4の最後は、『ヘルター・スケルター』の(ファーストバージョン・テイク2)7月18日。ここでは12分54秒にわたる演奏が聴ける。楽器はドラム、ベース、ギター2本。1拍目と3拍目にスネアが来るリズムは単調で、「トゥモロー・ネバー・ノウズ」のような催眠効果をもたらす。後ろで鳴っているギターの即興演奏がEメジャーでなくEマイナーなのも聞き慣れているのと違うし、完成版の出だしの歌の部分は5分半にやっと登場し、Helter Skelterと叫ぶサビは6分半になってようやく登場する。
ポールのボーカルは、プレスリー風のショートディレイがかけられている。
この曲はしばらく放っておかれ、9月に入ってリメイクに取り掛かることになるが、その時には大轟音のハードロックに変身していた。

ここまでの録音の間、7月1日からジョンとヨーコはロンドンで二人のアート展を始めている。他のメンバーはホワイトアルバムの録音の傍、それぞれがプロデュースするアップルのタレントをプロデュースしていた。


by mahaera | 2019-01-30 13:08 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

名盤レビュー。ジョニ・ミッチェル4 『コート・アンド・スパーク』『マイルズ・オブ・アイルズ』

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●『コート・アンド・スパーク』(Court and Spark)(1974)
アサイラム移籍第2弾。『ブルー』と並ぶジョニの代表作。
アメリカではチャート2位、カナダでは1位。
1973年はこのアルバムの制作にほとんど使い、1974年1月発売。
今までのアコースティック弾き語りシンガーから一歩前進し、LAのジャズミュージシャンを多く起用したウエストコーストサウンド。ウィルトン・フェルダー、ラリー・カールトン、ジョー・サンプルといったクルセイダーズ人脈のほか、ロビー・ロバートソンやトム・スコット、ホセ・フェリシアーノ、ジョン・ゲランまで参加。
シングルは「ヘルプ・ミー」(7位)と「パリの自由人」(22位)で、ともにジョニの代表曲になった。「パリの自由人」は、アサイラムレコードの創設者のデビッド・ゲフィンのこと。この曲のエレクトリック・ギターはラリー・カールトンとホセ・フェリシアーノ、バックボーカルにはデビッド・クロスビーとグラハム・ナッシュが参加と豪華。印象的なホーンはトム・スコット。
たぶんジョニの全アルバムの中でも、もっとも明るいアルバムかも。というのは、当時新しい恋人ジョン・ゲラン(本作のドラマー)とラブラブだったようだ。
インタビューでもCourt and Spark(付き合ってスパークする)とは彼のことと言っている。
明るい陽の当たるジョニが聴ける。
このころはちゃんとヒットアルバムを作ろとしていたと思う。聴きやすくまた飽きのこないアルバムだ。


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●『マイルズ・オブ・アイルズ』(Miles of Aisles)(1974)
おもに1974年8月にLAのユニバーサル・アンフィシアターで録音されたライブアルバム(2曲を除く)。
ジョニの今までを振り返るような代表曲18曲を収めた2枚組で、アメリカではチャートの2位というヒット。
「ビッグ・イエロー・タクシー」がシングルカットされた。
バックバンドはLAエキスプレス。トム・スコット(木管)、マックス・ベネット(ベース)、ジョン・ゲラン(ドラム)、ロベン・フォード(ギター)、ラリー・ナッシュ(ピアノ)。
前作『コート・アンド・スパーク』からジャズ・フュージョン期に入ったジョニだが、この2枚は明るいフュージョン要素が強い演奏。
まずはLAエクスプレスをバックに「恋するラジオ」「ビッグ・イエロー・タクシー」「ウッドストック」とSideAはヒットが続く。アレンジは当時のニューミュージックのよう。
SideBはジョニの弾き語りに時折サポートが入るアコースティックサイド。やはり「ケイス・オブ・ユー」「ブルー」が聴きもの。
Side Cも弾き語りサイドで「サークルゲーム」「オール・アイ・ウォント」と続き「青春の光と影」の後半で静かにバンドが入ってくる。
メンバー紹介が入りSide Dは再びLAエキスプレスとの共演サイド。ラスト2曲は新曲で締めて終わる。
非常に聴きやすいが、ここで終わらないのがジョニのすごさだ。次のアルバムからまた、ジョニはフュージョンから、よりジャズの方へと接近していく。


by mahaera | 2019-01-29 18:44 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)