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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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カテゴリ:映画のはなし( 514 )

映画レビュー 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 冬の田舎の港町が主人公の心象風景と重なる



マンチェスター・バイ・ザ・シー


年末ベストテン候補かもとレンタルで観る。
派手さはゼロだが、しみじみとした作品で、ズシンときた。
ケイシー・アフレックが本作でアカデミー主演男優賞、
監督と脚本のケネス・ロナーガンが
オリジナル脚本賞を受賞した人間ドラマだ。

ボストンで便利屋をしているリー。
人と交流をしようとせず、近寄ってくる人も冷たくあしらう。
そして、時折生じる暴力。魂の抜け殻のような男の元に、
故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに住む
兄が亡くなったとの知らせが来る。
帰郷したリーは兄の家へ。
そこにはかつて仲良くしていた兄の息子パトリックがいた。
葬儀などの手続きを進めていくリーは、
遺言によって家族がいないパトリックの後見人に
指名されていたが、彼には乗り越えられない過去があった。。

イギリスの大都市マンチェンスターは大違いの、
アメリカ北部にある寂しい小さな港町
マンチェスター・バイ・ザ・シー。
冬の寒々とした風景が、主人公の心象風景と重なる。
過去に取り返しのつかないことをしてしまった主人公。
映画の終盤ではなく、中盤でそれが明かされるが、
物語は傷が癒されるというハッピーな映画的な解決にはいかない。
故郷で暮らすのができないほど、彼の心の傷は大きい。
おそらく彼には死ぬまで、心の救いはないだろう。
それでも、ほんの、ほんのわずかだが温かみを感じさせる進展がないわけではない。
「空虚」という演技がうまいケイシー・アフレックが、
この役を演じたのはまさにピッタリ。
どんより曇った空の休日、
一人で落ち着いた日を過ごしたい時にオススメ。
こう言う映画が苦手な人もいると思うが、
こう言う人生を送っている人もいるのだ。
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by mahaera | 2017-12-22 12:29 | 映画のはなし | Comments(2)

映画レビュー『ムーンライト』 今年のアカデミー作品賞受賞作品。エンタメではないが、見るべき



年末に向けて、今年のベストテンに入りそうで見逃した作品、レンタルで借りて見ている。

アカデミー作品賞を取った『ムーンライト』。
こう言う繊細な作品は、できたら劇場で見たかった。
3人の俳優が、主人公の幼年期、少年期、青年期を演じる、3つのパートからなる、繊細な作品。
黒人でゲイというマイノリティの作品というより、人から理解されないが為に、自分を偽って生きていくが、でもやはり孤独は嫌だという、誰もが共感できる心情を描いた作品だと思う。

マッチョな薬の売人という、黒人のロールモデルに自分を置くことによって、世間に溶け込む主人公だが、かつての知り合いの前では、少年時代のような表情を見せる。
まるで心象風景のような、カラーリングされた映像。
最初のパートに登場する、主人公を気にかける薬の売人のマハラーシャ・アリの演技が素晴らしいと思っていたら、アカデミー助演男優賞をこの作品で取っていたのね。
子供に非難される目をされて、がっくりくるところは(泣)。
人は社会の中で、多かれ少なかれ、ロールモデルを演じている。
そして本当の自分との落差が広がりすぎた時、問いかける。
自分は何者だと。
本当の自分を受け入れてくれる人は、
この世の中に果たしているのかと。
そんな絶望感が心にしみるが、救いも用意している。
★★★★
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by mahaera | 2017-12-21 10:27 | 映画のはなし | Comments(1)

これから観る人多いと思うので、レビューじゃなくて感想。『最後のジェダイ』

これから観る人が多いと思うので、あまり詳しくは書けないが、
『最後のジェダイ』、久しぶりにガッカリしたスターウォーズに。

以下これから観る人は、読まない方がいいかも(ネタバレはしないけど)。

イオン海老名の7番スクリーン(日本最初の?THX劇場)に
行ったのだが、脚本が雑すぎる。
正直言って、伏線にも後にも繋がらない、いらないエピソードが多く、
もっと短くまとめられたはず。
もうこの辺りは、無駄な描写やセリフが一切ない『ドリーム』や
『ズートピア』の爪の垢でも煎じて飲んでくれい。ライアン・ジョンソン!

テンション上がるシーンも2か所あるが持続せず、それ以外は概ね低空飛行。
最後の盛り上がりで、前半の低空飛行を帳消しにした
『ローグワン』のようにはいかなかった。
話のミスリードの仕方も、そうじゃないだろって。
で、次が三部作最終編なのだから、どうなるの?と
期待させてつなげなくてはならないのだが、それがほぼないのもなあ。
いいシーンもあるんだけどね。
それをつなぐ途中の展開がまったりしていて、なかなか先に話が進まない。
例えば、フィンとローズがカジノ惑星に行くくだりは、
そっくりなくてもいい。あそこは「帝国の逆襲」で言えば、
ソロとレイアが小惑星に潜むシーンで、
全体の流れとしては停滞しているが、
二人の間が親密になっていくのに必要な場面。
そこがなければ、凍結されるソロとレイアのシーンが生きないのだが、
今回はそれもきちんと描いていなので、
塩原のところで〇〇にいきなりコクられても、
「ふーん」としか思わず。あと、DJの扱いにしても
「たまたまでした」で終わっちゃって釈然としない感が。

つまり各キャラの理解度というか掘り下げが足りないので、
その人が何を持って行動しているかが弱い。
レイとルークも、噛み合わない若者と老人の会話みたいで。
なんかキャラの行動の動機が薄くて。

いいシーンは、セーバーバトルとラストの〇〇です。

あと1回は劇場で観るかと思うが。
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by mahaera | 2017-12-20 11:38 | 映画のはなし | Comments(5)

最新映画レビュー『否定と肯定』 ホロコーストはなかったか? 実話の裁判の映画化。



否定と肯定

監督 ミック・ジャクソン
出演 レイチェル・ワイズ、ティモシー・スポール、トム・ウィルキンソン

12/8から公開中

アメリカの歴史学者デボラ・E・リップシュタットの講演中、ホロコースト否定論者のデイヴィッド・アービングが現れ、「嘘を言っている」と絡んでくる。
リップシュタットがその著作物で、「ホロコーストはなかった」と主張するアービングを批判していたからだ。
相手にしないリップシュタットに対しアービングは、今度はイギリスで彼女と本の版元であるペンギンブックスを名誉毀損で訴える。
イギリスに渡り弁護士団と打ち合わせをするリップシュタットだが、名誉毀損に関しては、逆に訴えられた側が相手の間違いを証明しなければならないという、英米の裁判の違いに驚く。
そして世間が注目する裁判が始まった。。

これは1996年に実際に起きた「アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件」の訴訟と裁判の映画化だ。
興味ある人は、この事件はwikiにも載っているので、
読んでみるといい。
当時、こんな裁判があったか記憶にないが、
欧米では話題になったらしい。
何せ現代のイギリスの王立裁判所で、ホロコーストはあったかないかの証明をし、裁判で決着をつけるのだから。
まあ、「〜はなかった」という否定論者は、昔から世界中にいる。
これは、まだ歴史的な検証が済んでいないものは別として、
もう定説となっているものを、歴史資料から自分に
都合がいいところだけ抜粋して、
自分の主義主張に合わせているだけだ。

本作の主人公である歴史学者リップシュタットは、
そういう輩をそもそも“学者”として認めておらず、
アービングが仕掛けてくる“討論”にも乗らない。
アービングにすれば、結果ではなく、
きちんとした学者と討論できたことで、
すでに彼の“勝ち”になってしまうからだ。
裁判も勝ち負けより、世間に注目されれば
「もしかして彼の言うことは本当かも」という人が必ず出てくる。
今まで無名の「トンデモ学者」だったのが、
「テレビに出た有名人」になった時点で、
その試みは成功しているのだ。

「ホロコーストはなかった」何て信じる人はいるのか?
と思うだろうが、いる。
ヒトラーをするネオナチだけでなく、
日本でも1995年に「マルコポーロ事件」があった
(「ガス室はなかった」とする記事を掲載し、廃刊に追い込まれた)。
問題は、トンデモ歴史論を展開する人たちが、
「表現の自由」を盾に使うことだ。
それを盾に取られてしまうと、識者たちの反論の筆が鈍くなることを知っているからだ。
映画を見ていて思うのは、「表現の自由」は大事だが、
それを野放しにすると、デマカセ情報や無責任の
中傷情報も広がり、鵜呑みにした人たちが
偏見や憎悪を持ってしまう危険性があるということ。
現に今のネット社会がそうだろう。

あとこの映画で勉強になったのは、英米の裁判のシステムの違い。
「法廷もの」は映画では一つのジャンルにもなっているが、今まで作られてきたのはアメリカ映画がほとんど。
本作では、アメリカ人がイギリスの法廷に出るということで、日本人にもわかりやすくイギリスの裁判のシステムを解説してくれる。
で、難しいのは、もしアービングが本当に「ホロコーストはなかった」と信じきっていた場合、彼は嘘をついていないので「中傷にはならない」のではないかという問題も出てくること。
なので、「知ってて、都合のいいところだけ抜き出した」と、
訴えられた側が証明しなきゃならないのだ。
うーん、面倒。

監督は懐かしや『ボディガード』のミック・ジャクソン。
最近見ないと思っていたら、テレビに戻り、
ドキュメンタリーの演出をしていたらしい。
なので法廷劇だが、きちんと最後はエンタメ映画としても
盛り上がれるような演出もされている。
★★★☆

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by mahaera | 2017-12-17 15:00 | 映画のはなし | Comments(1)

映画レビュー『ヴィジット』 突っ込みどころはあるが、シャマラン節がたまらない



M・ナイト・シャマランの新作『スプリット』が面白かったので、前作『ヴィジット』を借りて観る。
90分台と短いのも潔くて良い。いつものように突っ込みどころも満載だが、観客のミスリードもうまい。
だけど理屈っぽい人とか、根が真面目な人は
シャマラン作品は楽しめないかも。

主人公は15歳の映画好きの姉と13歳のラップ好きの弟の姉弟。
数年前に父親は他の女と出て行き、今は母子家庭。
働きずくめの母親を楽させようと、子供達だけで音信不通だった
祖父母の家に一週間お泊りに行くことに。
母親は若い頃に交際を反対されて家出して以来、
祖父母とは縁が切れている。
姉は今回の旅の一部始終をカメラに収め、映画作りをすることに。
テーマは自分の家族だ。
田舎の一軒家に住む祖父母はやさしく子供達を迎え、
何の問題もなく一週間が過ぎるはずだった。
ところが、次第に祖父母の奇怪な行動が目立つようになってくる。

「ブレアウィッチプロジェクト」から始まった、
ホラー映画では常套手段とも言えるPOV(主観ショット)映画。
本作では姉と弟が映画を撮っているという体なので、
2ショットの切り返しがある。
ということは、“すでに編集された映像”ということで、
そこに抵抗がある人がいるかもしれない。
また、普通に怖いとこでは映画的な効果音もある。
しかし、きちんとエンディングもあることで、
これは姉が「家族の再生」というテーマを持って編集した“作品”なのだ。

毎夜、家を徘徊する祖母、時々言動がおかしい祖父。
でも「老人だから」多少、ボケたり、物忘れしたり、
言動がおかしくてもしょうがないということが、
主人公たちや観客をミスリードしていく。
期待される“どんでん返し”は、さほどでもないが、
全体に丁寧に作られているので、ダレることはない。
ホラー映画にありがちな「この状況でそれはしないだろう」的な
突っ込みどころもあり(ワザとだと思う)、盛り上がる。
で、最後まで見ると、怖いシーンだけでなく、
ちゃんと家族の愛情の話になっていることがわかるだろう。
愛してくれた父親に捨てられたことから自信がなくなり、
カメラを通した映像で心情を表現しようとする姉。
生意気で最初に好きになれないキャラの弟も、
自分の失敗で父親がいなくなったと思い込んでいる繊細な面がある。
母親も両親が自分を愛していないのではないかと悩んでいる。
それを克服したのが結末なのだ。
弟君のラップは、うまいのかヘタなのかはわからないが(笑)。
★☆

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by mahaera | 2017-12-15 12:54 | 映画のはなし | Comments(1)

映画レビュー『スプリット』 そんな映画だったかのか!往年のシャマラン節が復調。



スプリット
Split

監督 M・ナイト・シャマラン
出演 ジェームズ・マカヴォイ

年末になるとTsutayaで、見落としていた映画の
落穂拾いというのは、毎年恒例。
今回はM・ナイト・シャマランの『スプリット』を観た。

女子高生3人が監禁される。
しかし誘拐した男の様子がおかしい。
ドアを開けて再び現れると、服装から口調までが別人のよう。
実は彼は23の人格を持つ多重人格者だった! 
そして24番目の人格“ビースト”が目覚めようとしていた。
少女たちは必死で脱出しようとするが。。。

『アフターアース』で、普通の大作映画には
向いていないことを見せたシャマラン監督だが、
こうした小規模なサスペンスホラーでは腕を見せる。
多重人格ものは、今では珍しくないジャンルだが、
たいてい最後に明かす。しかし本作ではそれは早々と明かし、
観客は主演のジェームズ・マカヴォイが、
「今はどの人格になっているのだろう」と
推測するのを楽しみにしている。
ある人格が他の人格を偽装することもあるから、なかなか難しい。

映画は脱出する少女たちのうちの一人、ケイシーを中心に進むパートと、誘拐犯であるデニスと別人格であるバリーのカウンセラーで主治医のフレッチャー医師を中心に進むパートに交互に分かれている。
どうやら“彼ら”は幼少に虐待を受けていたことが心の傷となり、
別人格を生み出したらしい。
また、さらわれている女子高生のケイシーも心の傷があり、
その回想シーンが随所に織り込まれる。

シャマラン映画の常として「どんでん返し」が期待されるが、
本作もあるといえばある。
ただ、それを匂わすのも、ある意味ネタバレになってしまうので、書くのは難しいのだが、「サスペンス映画だと思って見ていたら、実は〇〇映画でした」という終盤の流れに
ついていけない人はいるかも。
僕は結構「えー?あり?」と思いながら、楽しめたけど。
そのバカばかしいほどのケレン味が、
シャマランといえばシャマラン。
これは前情報でオチを知る前に見た方がいいな。
それもシャマランの戦略なんだが、
本人自らあちこちのインタビューでネタバレしているので、
それは読まない方がいい。


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by mahaera | 2017-12-14 11:26 | 映画のはなし | Comments(0)

映画レビュー『フェンス』 デンゼル・ワシントン監督・主演の未公開映画の秀作



フェンス
Fences

監督・主演 デンゼル・ワシントン


日本未公開になってしまったが、なかなかの秀作だった。
妻役のヴィオラ・ディヴィスは本作でアカデミー助演女優賞
獲得しているし、本作は作品賞を含む4部門にノミネートされており、一級品であることは予想してはいたが、日本では公開スルーされてしまったのは、惜しい。
機会があったら、DVDで借りてみてほしい。

時代は1957年のアメリカ。
清掃局でゴミ収集をするトロイ(デンゼル)は、
かつて黒人野球リーグで名を馳せた選手だったが、
人種の壁に阻まれてプロの夢は叶わなかった。
前妻の子ライオンズが訪ねてくるが、定職につかず
ミュージシャンを目指す彼に対して、トロイは冷たい。
妻のローズとの間の子コーリーは高校のフットボール選手で、
大学にスカウトされることを望んでいるが、
トロイは夢は捨てろと辛く当たる。
トロイは父親として息子に惨めな思いをさせたくない
という思いと、自分が果たせなかった夢を乗り越えようとする
息子に対しての嫉妬が入り混じり苦悩。
次第に家族関係はギクシャクしていく。

原作はブロードウェイで上演されて、高い評価を得た戯曲だ。
映画はその2010年版の主要キャストがほぼ全員出ており
デンゼルもその舞台で主役を務めていた。
舞台の設定をそのまま残しているので、
多くのシーンが展開するのは、ある家庭の裏庭と台所。
そこにいろんな人がれ変わり立ち代りやってきての
会話劇が中心だ。

時代はすでに公民権運動が盛りがり、黒人も声を上げているが、
主人公はそれに背を向け、
これからの世代である息子たちを否定する。
タイトルの「フェンス」は、劇中で裏庭に大工仕事で
親子で作ろうとする柵だが、それは心の壁である。
新しい考えや人の干渉から自分を守る柵であり、
妻からすれば夫を外(他の女)に生かさないための柵、
息子からすれば自分を支配するために父親が作る柵だ。
家族をフェンスで囲い、皆が出られないようにして、
自分だけが自由に出入りできる柵のようにも見える。

アカデミー賞を受賞したヴィオラ・ディヴィスの演技は、
当然とも言える素晴らしさ。
家族のために自分を犠牲にして尽くしてきた彼女が、
心情を吐露するシーンは、会社人間の夫たちみんなに聞かせてあげたい。
★☆

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by mahaera | 2017-12-13 10:57 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『パーティで女の子に話しかけるには』 70年代のあの頃の雰囲気を思い出す



パーティで女の子に話しかけるには
How to Talk to Girls at Parties


今の若い子たちにとって、1977年は僕が思っていた戦前の日本みたいなものなのだろう。
現在公開中のジョン・キャメロン・ミッチェル監督
(『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』)作
『パーティで女の子に話しかけるには』の舞台となる1977年は、
僕には懐かしいが、彼らにとっては
まだ生まれる以前の“歴史”なのだろうから。

舞台は、パンクミュージックシーンが若者たちの心をつかんだ1977年(クラッシュが「白い暴動」でデビューした年)のロンドン近郊。
主人公はパンク好きだが女子には奥手という高校生。
その彼が、偶然知り合った女の子は地球に観光に来ていた異星人。
星に帰るまでの48時間の猶予の間、二人は街に出て、恋に落ちる。

こうストーリーを書いていて、無茶苦茶な設定だと思うが、
実際そうで、リアリティは追求していない。
今でいう中二病の若者が考えた理想のストーリーは、
映画に乗れる人と乗れない人を選ぶと思う。
「ロッキーホラーショー」とか「ファントム・オブ・ザ・パラダイス」をこの頃名画座で追っかけた人なら、
この映画の雰囲気はよくわかるだろう。
バカバカしくて、切なくて、
孤独がなんだかを感じさせてくれる、あの雰囲気だ。
ダンスシーンのキッチュさや、安っぽいSF表現なんて、
「ロッキーホラーショー」そのもの。

エル・ファニング好きの僕は、ヒロインのザンに恋する主人公
(こんなイケメンじゃない方がリアリティがあると思うが)の
気持ちにうまく乗れたが(笑)、皆さんはどうかな。
チープなB級作品で名作や傑作じゃないけれど、
昔なら名画座で人気が出たかもしれないような作品だ。
★★★
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by mahaera | 2017-12-11 13:22 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『永遠のジャンゴ』戦時下の伝説のギタリストを描く

永遠のジャンゴ
2017年 フランス




11月25日から公開中

ジプシージャズ(マヌーシュジャズとも)の創始者と言われる、ジャンゴ・ラインハルトの第二次世界大戦中の1年ほどを、描いたもの。
ジャンゴは戦時下でも人気が高く、その人気をナチスに利用されそうになるが、彼は拒否してスイスへ逃れる。
ジャンゴは政治には無関心だったが、
そんな彼でもナチスのジプシー迫害をひしひしと感じるようになり、同胞の窮状を見て、手助けするといった内容の映画だ。
史実もあるが、わからない部分は映画的に
盛り上げるためにも、フィクションを盛り込んでいるようだ。
丁寧に作ってはいるようだが、ドラマチックな展開が弱く、
ジャンゴの心の葛藤も伝わってこない。
最後の脱出サスペンスも、サスペンスで盛り上げようありきで、
演出が見え見えで残念。
というわけで、映画的には残念ながら、
いまひとつの出来栄えになってしまった。

しかし音楽そのものはもちろんよく、
俳優もちゃんとジャンゴの三本指奏法をしている。
ジャンゴは火傷で、左手の薬指と小指がほぼ使えなくなった。
まあ、親指はフレットの裏側なので、実質二本指奏法だ。
その不自由さが、逆にあのようなスタイルの
ギターサウンドを生み出したのだろう。

僕がジャンゴ・ラインハルトを知ったのは中2か中3の時で、
甲斐バンドのヒット曲「かりそめのスイング」の元ネタが
ジャンゴの「マイナースイング」だったからか。
当時、映画館で見たルイ・マル監督の『ルシアンの青春』が、
全編ジャンゴの曲を使っていた。
フランス人にとっては、ジャンゴの演奏は
戦時中のイメージがあるのだろう。
★★
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by mahaera | 2017-12-08 11:34 | 映画のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『gifted/ギフテッド』 “天才少年もの”のジャンル映画。イマイチ乗れず



「ギフト」は「贈り物」以外に「才能」という意味もある。
つまり才能は「天からの贈り物」ということ。
She is gifted.なら、彼女は才能があるってことだ。

アメリカ映画では「天才少年もの」というジャンルがあるくらい、
何かに秀でた人に興味がある、または大事にする。そんな社会だ。
人とは違う何かに秀でていれば、他のことが多少できなくてもしょうがない。
一列横並びの日本とは、かなり違う。
それでもやはり、出る釘は打たれる。

本作の主人公は、そんな天才少女を育てている、男やもめの男。
中年というには色気がありすぎるキャプテン・アメリカことクリス・エヴァンスは、7歳の姪と田舎町で二人暮らし。
姪は天才数学少女なのだが、周囲との協調性に欠ける。
彼の出自は英才教育を受けた秀才一族で、
妹も有名な数学者だったが、
社会との折り合いがつけられず、
耐えかねて姪っ子を彼に預けて自殺。
で主人公は、姪っ子の天才性を知りつつも、
幸せになるように“普通の子”として育てようとしている。
しかし、彼の居所が母親に知られ、
天才教育を与えようと親権を奪おうとする。。。

アメリカでは「飛び級」やホームスクール制度があり、
個性を伸ばすことには寛容だが、やはり日本同様、偏って
社会生活ができない人間になってしまうのではないかという考えはある。
そして、日本に限らず、理解できなかったり、
自分とは違う人間が嫌いだ。
それは日本だけではない。
この映画は、そんな問いを投げかける。
ただ、映画の出来としては、イマイチ乗れなかったのは、
落とし所がお涙頂戴になってしまったこと。
そりゃ、子供との別れや再会をドラマの盛り上がりにすれば、
ベタに泣ける。
邦画並にベタな感動演出には、わかっていても既視感が生じる。
あとは、テンポが悪いかな。これは好みの問題か。
監督は『(500日の)サマー』のマーク・ウエブ。
★★


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by mahaera | 2017-11-26 10:25 | 映画のはなし | Comments(3)