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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編]インダス文明とその周辺(前2600〜前1800年)その1 メヘルガル文化と原エラム文明

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(写真)クエッタからカラチへのバス。クエッタで大雨が降った翌朝、途中ではいきなり大きな川がいくつも出現していた。橋などないところをバスが無理やり渡るところからして、ふだんは涸れ川なのだろう。雨をなめてはいけない。インダス文明以前のこの地方では、川の増水をコントロールできず、川から離れたところで農耕が始まった。

メソポタミア文明が生まれてから約900年、
エジプト文明からなら約400年遅れて、
南アジアのインダス川流域でインダス文明が起きた。
このインダス文明だが、メソポタミア文明と交易があったことは出土品からよく知られている。
しかし他の古代文明とは異なり文字の解読がされておらず、またこの文明の遺産は継承されなかったので謎が多い文明だ。

これからしばらくはこのインダス文明、およびイラン、ペルシャ湾岸の文明について紹介していこう。

息子的には、まったく興味がなかったところだ(笑)。

しかし僕にとっては「アジア横断」の地であり、インドからトルコの間は外せない。


メヘルガル文化(前7000年頃〜前2600年頃)
インダス文明に先行する形で、現在のパキスタンのバローチスターン丘陵に農耕と牧畜から成る「メヘルガル文化」があったことは先史時代の項で述べた。
おさらいすると、これは紀元前7000年ごろに始まった南アジア最初期の農耕跡で、大麦や小麦などの穀類の栽培、ヤギ、ヒツジ、ウシなどの牧畜が行われていた。
インダス川から離れた丘陵地帯で行われていた天水農業で、集落も小さかった。現在のクエッタあたりだと思えばいい。
様々な土器や土偶も作られたが、前3000年ごろには衰退し、インダス文明が始まる前2600年ごろには放棄されていく。
この文化の衰退は、インダス文明の開始期とほぼ重なるがそれは後で述べよう。


原エラム文明(前3200〜前2700)
さて、世界でもっとも早く文明が始まったメソポタミアの諸都市だが、農作物以外にはこれといった資源がなかった。
しかし豊富な食料を輸出し、周辺から銅や金などの貴金属や木材などを輸入していた。
当初、もっとも近い取り引き相手の国(都市)は、東のサグロス山脈にあるスーサ(現イラン)だった。
これを「原エラム文明」といい、メソポタミア文明を補完する形で、イラン高原から銅などの鉱物資源を送り、その見返りとして穀類や工芸品などを輸入していた。
イラン高原では産しないラピスラズリも、スーサを通じてウルやウルクといったシュメールの諸都市に運ばれた。
つまり中継貿易で栄えた文明だったのだ。
文字は原エラム文字を使っていたが、
未だ解読されていない。

この文字はアフガニスタンでも発見されていることから、
イラン高原全体に力を持っていたと考えられている。
東の端のバローチスターンでは、メヘルガル文化が栄えていた時代だ。(つづく)


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by mahaera | 2018-12-15 12:03 | Comments(0)

CDレビュー『モア・ブラッド、モア・トラックス(ブートレッグ・シリーズ第14集)』(6枚組)ボブ・ディラン

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「しつこい!」と言われるほどのディラン好きである。

なので、ほぼ毎年年末に出るディランの過去音源集は自分へのクリスマスプレゼントで買っている。

今回は1975年に発売された名盤『血の轍(Blood on the Tracks)』のレコーディングセッション集

ニューヨークのスタジオの4日間、ミネアポリスの2日間の、現存する音源をほぼ収めた6枚組。
これは当初、ほとんど弾き語りとベースで9月に録音された音源で発売されるはずで、テスト盤まで作られた。

しかし、しばらく寝かしていた間にディランの気が変わり、12月に故郷のミネアポリスで地元ミュージシャンを使ってバンド編成で再録音。

10曲中、5曲が差し替えられた。翌年1月に発売されたアルバムは、全米1位を記録した。


発売されたオリジナルアルバムに関しては、70年代ディランの最高傑作とも言われ、いまもその中から「ブルーにこんがらがって」「運命のひとひねり」「彼女に会ったら、よろしくと」などはコンサートの定番曲だ。

僕は最初はピンとこなかったが、スルメのように聴けば聴くほど味わいのあるアルバムで、永遠に聴いていられるかもしれない。

とくに楽曲のクオリティは高すぎる。

この音源集は全部で87テイクあるが、完奏していないものもあり、ミネアポリス録音はマスターテープしか残っていなかったのでその5曲のリミックスしかない(正式音源と同じ演奏)。

このセッションでの録音は、基本10曲プラス未発表2曲なので、同じ曲の繰り返しだ。しかし、これがいつまで聴いていても飽きない。


6枚中最初の5枚はほとんど弾き語りにベースかオルガンしか入っていないが、ディランの声は過去最高の“いい声”で、表現力も抜群。

どのテイクも集中力を欠かさず、丁寧に歌っている。

それとアコースティックギターの響きだが、ニューヨーク録音はほぼすべてオープンDチューニングのCapo2でいい味を出している。

独特のサウンドだ。だからキーはほとんどEだったが、再録音でバンド編成にした時、5曲中4曲がキー変更。EからD、G2曲、 Aに。

さらにディランには珍しいが、自分でギターやオルガンをオーバーダブもしている。


とにかく、録音が進むにしたがって曲が形作られ、そして歌い方の変化の様子がわかる。

同じ曲だが、テイクによっては「別離の哀しみ」「相手への強い非難」など、ニュアンスが変わるのだ。

ということで表現力抜群。

曲はほぼ、奥さんとのすれ違い、非難、哀しみ、別離、あきらめを歌ったオンパレードなんだけど、プライベート臭を消してスタンダードにしているのはすごい。

ということで、ほぼ一ヶ月、毎日聴いています。


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by mahaera | 2018-12-14 13:28 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

流水りんこ×前原利行 トークイベント◆たびカフェKichijoji Vol.12 「インド怪奇ばなし」

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本イベントは満席になりました。ありがとうございました!

吉祥寺の井の頭公園近くという場所で、その道の達人による海外を歩いた生の情報やエピソードが聞けるトークイベント「たびカフェ」。
会場となるクワランカ・カフェさんが1月でクローズされるということなので、この場所で行うのは今回が最後になるかもしれません。

今回、のお題は「インド怪奇ばなし」。。。
メインスピーカーにお呼びするのは、インド人との国際結婚や子供たちの成長を描いた『インド夫婦茶碗』などで知られる、漫画家の流水りんこさんです。
りんこさんは流水凛子名義でホラー系漫画も描かれています。
そこで今回は、インドの旅の怖い話、インド人家族の中だからわかるインド人が考える怖い話などを、話していただきたいと思っています。
といっても、ユーレイとか妖怪話だけでなく、ちょっと不思議な話とか、怖かった体験などを深刻にならない程度で、雑談風に話していこうと思うのですが(笑)。

トークイベント終了後は、いつものようにその場で雑談会もしますので、そちらもどうぞ。年末の押し迫った時期ですが、ぜひ、遊びに来て下さいね!

●流水りんこ(漫画家)
インド通には、国際結婚と子供達の成長を描いた『インド夫婦茶碗』(ぶんか社)、バックパッカー旅での体験を描いた『インドな日々』(朝日ソノラマ)などで知られる漫画家。また、流水凛子名義ではホラー系漫画も多数執筆。旦那様のサッシーさんが経営する南インド料理店「ケララバワン」には、マンガを読んで訪れるファンも多いという。好きなものはブリティッシュロック。とくに元ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズの熱烈大ファン。近著には『流水りんこのアーユルヴェーダはすごいぞ~!』(主婦と生活社)、『流水さんの百物語 』(ぶんか社)などがある。

●前原利行(旅行ライター)旅行会社勤務後、旅行ライターに転身。現在は「地球の歩き方」シリーズなどのガイドブックや、紀行文、旅行のウエブサイトなどのライティングや編集に関わっている。

■日時:12月29日(土)19:30~21:00(開場19:00)
■参加費:チャージ1000円+ドリンク代(600円)※フードもあり
■会場:クワランカ・カフェ(吉祥寺)
■申込:満席になりました
■問合せ先:クワランカ・カフェ(月、火曜定休)
 TEL 080-5658-3476  http://qwalunca.com

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by mahaera | 2018-12-13 10:33 | 仕事のはなし | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編] 人種・語族・民族

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(写真)山川出版社の「世界史」の教科書より。こんなにあるが、別に覚えなくていい。
ただ、たくさんあるなとわかれば。1万年ぐらいかけて、いろいろな言語に分かれたので、
またあと1万年ぐらいしたら、今度は「地球語」と統一されているかも。

[人種]
もともとは大差なかった今の人類が、
世界中に拡散していくうちに、
その地域の自然環境に合わせて適応し、
身体的な特徴が分かれ、「人種」が生まれた。

人種に関しては、歴史の中で優劣が論じられたこともあるが、生物学的な特徴を表した単なる環境適応であって、文化的なものとは関係ない。
現在はコーカソイド、ネグロイド、モンゴロイド、オーストラロイドの4人種分けが一般的だ。
「ネグロイド」は「黒人」とくくってしまうと全部同じのイメージがついてしまうが、他の人類と異なり「出アフリカ」をしていないので、遺伝子的には一番の多様性を持っており、さらにコイサン系の「カポイド」と、ニジェール・コンゴ系の「コンゴイド」に分ける場合もある。
ただし、この4大人種分けは生物学なものなので、
社会にそのまま使われるわけではない。

「コーカソイド」が白人というわけではなく、
コーカソイドのインド人は、
アメリカでは人種では「アジア人」とされているが、モンゴロイドではもちろんない。
以上の4大人種がさらに分岐し、
DNA的には18集団に分かれたという。
最終的には1万年ぐらい前には、住んでいる地域ごとに、現在に近い特徴がほぼ決まったのだろう。


[語族]
人類がいつから言葉を話すようになったのかはわからないが、初期の頃には簡単な言葉だったものが、時代を経るにつれて複雑化し、異なる地方では通じないほどに分化していった。
世界史では同じ系統の言語を話す集団を「語族」としているが、これは「人種」や「民族」とは直接は関係ない。
同じ言葉でも違う民族もいる。
かつて世界には「谷を越えたら別の言葉」のように無数の言語があったが、人々の行き来が簡単になったり、その地域が大きく統一されたりして共通言語が生まれると、いつしか共通言語しか使われなくなることもある。
少数派の言語は、多数派に組み込まれると、何世代後かには使われなくなるのだ。
今でも毎年のように多くの言語が消滅している。

世界史でよく出てくるのは「インド・ヨーロッパ語族」だが、これは人口でいえば世界の6%を占めるのみだが、公用語としている国が世界の国の約半数ということでその影響力は大きい。
インド系とヨーロッパ系の言葉が分岐したのは前4500年ごろと言われている。
イタリア系とゲルマン系の言葉が分岐したのは紀元前1世紀ごろというので、ローマ人はゲルマン系の言葉を理解したのだろう。
ちなみに古代ギリシャ語はもっと早く分岐していたので、ローマ人は習得しなければ通じなかったかもしれない。


[民族]
民族は言語を基盤としているものの、文化的伝統を同じくする集団を示す。
なので見た目が違ったり、言葉が違ったりしても、同じ文化的集団に属していれば同じ民族とする場合が多い。
民族と国家は別物で、どちらかといえば民族主義は長い間「アンチ国家」で、多民族を統治する国にとってはあまり触れたくない問題だった。
国の場合は広く覇権を広げたい傾向があるが、民族主義の場合は、極端に言えば自分の住む谷だけでまとまりたいのだ。
ということで、世界史の中で、民族が意識され、民族主義が国家と結びつくようになったのは19世紀以降。
それまでは「〜人」という意識はあったものの、それと国家は別という感覚が世界の大半を占めていた。


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by mahaera | 2018-12-12 11:06 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編]巨石文化(前3500〜前2500年)

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ヨーロッパで生まれた巨石文化

教科書では先史時代の項目に入れられているが、
シュメール文明やエジプト文明が栄えた前3000〜2000年にかけて、ヨーロッパ各地で巨石記念物が立てられている。
これは文字や都市化をともなう「文明」と呼ぶほどのものではないが、「文化」とは呼べる特徴があるので、ここで簡単に触れておこうかと思う。
代表的なものはイギリスのストーンヘンジや、アイルランドやブルターニュ地方のドルメンがある。
おもに地中海沿岸から離れた、北海、バルト海、
大西洋岸に史跡が多い。
多くは自然石を並べたり、表面だけ一部加工したりしたもので、ピラミッドやジクラットのような建造物にまでは発展しなかった。
こうした巨石を使った記念物は世界中で見られ、なかには太平洋の島々など、近年まで建てられていた地域もある。

ヨーロッパに農耕が普及したのは、前6500〜前4500年ごろ。
このころはまだ世界は今よりも温暖で、急速に後退する氷河の後に開けた草原が広がっていたことだろう。
農耕と牧畜による人口の増加は、
やがて社会に富の不均衡と階級を生み出す。
権力者は大きな墓を作るようになり、
また宗教も広まるようになっていった。


ドルメン、メンヒル、そしてストーンヘンジ

メソポタミアやエジプトでは町ができ始めていた
前3500年ごろ、ヨーロッパに町らしいものはなかったが、
石の柱が石の屋根を支える「支石墓(ドルメン)」が
各地に作られるようになる。
一方、屋根がなく石の柱が立っているだけのは
「メンヒル」という。
フランスのブルターニュ地方のカルナック巨石群
約2800個の石柱が4kmにわたって並んでいるが、
立てられたのは前3000年ごろという。
一番大きなメンヒルは、かつて高さ20メートルあったというが、今では壊れてしまっている。
こうしたドルメンやメンヒルの多くは、キリスト教が布教すると異教のものとして倒されたり壊されたりしてしまった。
なので昔はもっと数があったのだろう。

イギリスのストーンヘンジは、前3000年よりも
前から人々がその場所に“何か”を作っていた跡があるが、
木の柱だったため穴の跡以外は現存していない。
前2600年ごろには40km離れた石切場で切り出された石が使われるようになる。
ストーンヘンジの列石は前2000年ごろまでに建てられるが、
のちに放棄されてしまう。

地中海のマルタ島にも巨石建造物がある。
こちらは「神殿」といわれる建造物で、
前4500年〜前2000年の間と作られた年代が幅広い。
メソポタミアやエジプトの文明と関係があったのかも、
あまりよくわかっていない。
「文明」にまでは発展しなかったが、
こうした巨石文化があったことは知っておくといいだろう。


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by mahaera | 2018-12-11 12:58 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

最新映画レビュー『マダムのおかしな晩餐会』 コミカルで風刺の効いたアレン風味の大人の恋愛ドラマ


2016年/フランス
監督:アマンダ・ステール
出演:トニ・コレット、ハーヴェイ・カイテル、ロッシ・デ・パルマ
配給:キノフィルムズ
公開:11月30日よりTOHOシネマズシャンテほかにて公開中

お金を払って映画を見るとなると、
ディナーもデザートも同じ値段ならどっしりとしたディナーのほうがお得かなと、大作映画をつい選んでしまうことが多いだろう。
本作はそういった意味では、デザートや間食のミニサンドイッチみたいなものだが、それも映画。
洒落た会話や笑い、風刺、人生の皮肉を楽しむ作品だ。

物語の中心となるのはふたりの女性。
お金持ちの女主人とそのメイドだ。舞台はパリ。
アメリカからパリの屋敷に越してきた裕福な夫婦アンとボブ。
アンは友人たちを招いたディナーを計画するが、
ひょっこりやってきたボブと前妻の息子が出席することになり、
人数は縁起の悪い13人に。
そこでアンはスペイン人メイドのマリアを、
招待客に仕立て上げる。
ところが最初はおとなしくしていたマリアは酔いも入り、
下品なジョークを連発。
それが招待客の一人にウケてマリアに一目惚れしたことから、事態は思わぬ方向に転がっていく。

ウディ・アレンも取り上げそうな、裕福な階級でのパーティ。
アンは裕福な夫(実は資金繰りに困っている)と結婚しお金と地位も得たのに、心はどこか虚しい。
夫が自分を愛しているかわからず、常に不安に悩まされているのだ。
一方、夫に先立たれたマリアは、仕送りしているひとり娘を生き甲斐にし、人生をポジティブにとらえている。
この二人を対比しながら、成り行き上、マリアが身分を隠して招待客の一人と付き合いだすことから生まれるコメディ部分(正体を隠しているので)、そしてアンの中年の危機、舞台をパリにしたことで生まれるアメリカ、スペイン、フランス、イギリスなど各国の男女の恋愛観などが描かれていく。

夫婦なのに心が通い合わせない「愛のすれ違い」、
嘘をついているのに惹かれ合うふたりという2つのカップルが描かれるが、アレン作品ほど教訓じみていないのは、恋愛を悲観的にとらえるアレンと違い、こちらはフランスの女性監督が描いているからか。
アレンだと「こんなに愛しているのに、いつか愛は壊れる」だが、「先のことは考えず、いまを楽しみましょう」という感じだ。
マダムは『リトル・ミス・サンシャイン』などのトニ・コレット、メイドにはアルモドバル作品で知られるロッシ・デ・パルマ(日本人的感覚では美人かはかなり微妙なのだが顔にインパクトあり)、マダムの夫をハーヴェイ・カイテルが演じている。
★★★

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by mahaera | 2018-12-10 12:40 | 映画のはなし | Comments(0)

銀座3ギャラリー巡り「資生堂ギャラリー」「銀座エルメスメゾンフォーラム」「ポーラミュージアムアネックス」


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仕事の試写で13時から内幸町で「クリード2」、
18時から京橋で「バジュランギおじさんと、小さな迷子」。
途中、15時から2時間半ほど時間が空いたので、遅い昼食を食べつつ、歩いて銀ブラすることに。
内幸町→新橋は徒歩5分。新橋の博品館前を通り、銀座8丁目の資生堂ギャラリーへ。
そのあと、銀座5丁目のエルメスメゾンフォーラム、銀座1丁目のポーラミュージアムアネックスと
3つの無料ギャラリーを回った。

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■資生堂ギャラリー

資生堂ビルの地下にある小さなギャラリー。
展示は「それを超えて美に参与する 福原信三の美学」
資生堂ギャラリーの創設者の回顧展だが、何か作品が展示しているわけではなく、彼が関わった本や写真がウッデイなギャラリーにポツポツとあるだけで、面白くはなかった。
ただし、コーヒーの無料サービスはありがたいので(笑)、テーブルに腰を下ろし休憩。
無料企業文化誌「花椿」のバックナンバーがあるのもうれしい。


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■銀座エルメスメゾンフォーラム
あのド派手なエルメスビルの8階にあるのだが、店内を通り抜けしないとエレベーターに乗れない。店内はスカーフを買い求める人でいっぱいだったが、ギャラリーは静か。
ここでは「眠らない手」というタイトルの、エルメス財団のレジデンシープログラムを受けた数人のアーティストたちによる作品展。
展示もきれい。アーティストもひとり在廊。
作品はまあ、こういうのって好き嫌いあるんだろうけど。


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ポーラミュージアムアネックス
シンガポールのフォトグラファー、レスリー・キーのカップルや家族を撮った「We are Love」のポートレイト100点。雑誌の表紙を飾りそうなくらい、こちらを見るまなざし。


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夕暮れ、ビルのショーウインドーがちょうどいい色合いに。

なかなか心の余裕がないが、今度また時間があったら、ショーウンイドー巡りもしたいな。

ちょうどクリスマス仕様だし(笑)


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by mahaera | 2018-12-08 08:12 | 日常のはなし | Comments(0)

最新映画レビュー『パッドマン 5億人の女性を救った男』インドで大ヒットした実話をベースにした感動作


2018年/インド
監督:R. パールキ
出演:アクシャイ・クマール、ソーナム・カプール、ラーディカー・アープテー、アミターブ・バッチャン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:127日よりTOHOシネマズシャンテほかにて公開中

■ストーリー

北インドの小さな町マヘシュワール。
母親と2人の妹、そして結婚したばかりの愛する妻と暮しているラクシュミは、ある日、妻が生理中に清潔とは言えない古布を使っているのを見て驚く。
妻のためにと薬局で生理用ナプキンを買うラクシュミだが、高価な品を自分ひとりで使うわけにはいかないと妻に断られてしまう。
そこでラクシュミは生理用ナプキンを手作りするが、うまくいかない。
女子大でアンケート調査をしようとしたり、自分で試着したりと試行錯誤するが、そんなラクシュミの行為は田舎町で波紋を呼び、恥じた妻は実家に帰ってしまう。
失意の中、あきらめきれないラクシュミは都会に出て研究を続け、ついに低コストでできるナプキン製作の試作機を開発。
デリーからやってきた女性パリーという協力者を得て、発明コンペにその試作機を出品する。

■レビュー

仕事柄インドには毎年のように行くが、
私が男性なのでインド人女性が置かれている立場はわからない。
正直、本作でも初めて知ることが多かった。
映画で描かれるのは今から十数年前のインド。
インドでは当時(今も?)、高い生理用ナプキンを買うお金がなく、不衛生な古布を洗って使い、そこから感染症になる女性も少なくなかったという。
また、生理中の女性は「穢れ」とみなされ、生理期間中は家の中で眠ることも許されないという習慣が映画の中に出てくる(ベランダのイスで寝る)。
これは保守的な農村部だからなのかわからないが、
それも含め「生理」を話題にすることも避ける姿は、
やはり「穢れ」とする習慣があるからだろう。
そんな中で、ひとり大のオッサンが手作りナプキンに奔走する姿は、田舎町でなくとも “ヘンタイ”にしか見えない
まあ、映画では誤解を招くように誇張しているというのもあるが、
女子大の入り口で女子大生に手作りナプキンを配ってアンケートを取ろうとしたり、
初潮を迎えた近所の女の子のところに夜こっそり行ってナプキンを手渡ししたり、
テストのため動物の血で濡らしたナプキンを自分で装着して自転車に乗ったり(わざわざ白いズボンで)と、その後の“大惨事”を予想してハラハラしてしまう。
いや、周りから見たら“変質者”でしょ(笑)。

また、いたるところでインド人の宗教観が問題となるのも、日本人の意表をつく。
「聖なるナルマダ川を動物の血で穢した」と。そこが問題か。

そんなラクシュミの協力者になるのが、都会(デリー)の裕福なシク教徒の娘だ。
教育をきちんと受けて進歩的な考えというところで、
“恥”の文化で育った田舎育ちのラクシュミの妻と対照的に描かれている。
試行錯誤を続けながら、ラクシュミがあきらめずに続けるのは、妻への愛だけでなく(妻には実家に帰られしまうのだから)、ラクシュミの物作りの職人気質に火がついたからだろう。

ラスト近く、ニューヨークの国連に招かれたラクシュミのスピーチは感動的
つたない英語で、わかりやすく自分の考えを述べるが、
素朴でストレートな主張だからこそ、人々に響くのだ。
そしてこの映画が、インドの人々に向けた志の高い啓蒙映画でもあることに気づくだろう。
★★★☆


■映画の背景

・主人公のモデルとなったアルナーチャラム・ムルガンダ氏は、南インドのコインバートル出身。映画ではデリーの発明コンテストとなっているが、実際の場所はチェンナイだった。

・映画では、主人公が暮らしているのはマディヤ・プラデーシュ州のインドール近郊のマヘシュワールに変更されている。マヘシュワールは聖なる川ナルマダ川に面した田舎町で、映画でもフォートに面したガートが重要な場所として何度も登場する。また、ここはインドールを都としたホールカル家が、18世紀の女性当主アヒリヤー・バーイーの治世の期間、遷都されていた町でもある。映画にはそのフォート前が出てくる。

・マヘシュワールから都会に出た主人公が行くのは、おそらくインドール。デリーから公演に来たパリーが主人公と出会うのもおそらくここ。しかし映画では、パリーの宿泊ホテルはマヘシュワールに近いマンドゥのマルワ・リゾートとなっている(乗っているタクシーにも名前が書かれている)
(旅行人のWEBサイト「旅行人シネマ倶楽部」に寄稿したものを転載しました)

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by mahaera | 2018-12-07 02:43 | 映画のはなし | Comments(0)

2018箱根ポーラ美術館の「ルドン展」に行く

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週末に箱根のポーラ美術館のルドン展
最終日12.2に行ってくる。
初めて行った美術館だが、遠い、遠いよ〜。
箱根湯本からの交通連絡が悪かったので、
すぐ来る違う路線のバスに乗り、
そこから徒歩20分というナビにしたがったら、
最後の20分はひたすら急坂を登り、着く頃には疲労。。

美術館はけっこう立派なもので、
最終日とあってなかなかの人出。


昔はルドンとルオーをよく間違えていたが、
今では「目玉の人」とちゃんとルドンがわかる。
一番好きな絵は一つ目巨人の「キュクロプス」だが、
今回はこの作品展示はない。
「キュクロプス」は、僕が子供の頃によくテレビでやっていたハリー・ハウゼンの「シンドバッド7回目の航海」の一つ目巨人サイクロプスそのもので、さらにそれが無表情に見えることからかなりの怖さの絵だったな。


あとは黒一色の版画の目玉
こちらは美術展では水木しげるの目玉おやじと並べていたが、雰囲気は『眼=気球』は鬼太郎の悪役バックベアードのほうが近い。
それについて触れておらず残念。
あと、顔からクモの足が出ているのは、
『遊星からの物体X』に影響与えたかなと。


ルドンの印象は、
「木炭画はいいけれど油彩や色彩を伴うものはイマイチ」
同時期の一流の印象派画家に比べると、
ちょっと落ちるというか。

関連作品として並べられているモネの「睡蓮」「ルーアン大聖堂」とか、点描画のスーラのように、自分のスタイルがあまりないというか。

借りてきたルドンの作品だけでは足りないので、
収蔵している他の印象派画家の作品も並べたり、
ルドンの影響ということで上記水木しげるや漫画「寄生獣」、そして日本の現代画家の作品も並べられ、じっくり見ると時間もかかり充実していた。

常設のガラス工芸品もきれいだったが、

増田セバスチャンの「モネの小宇宙」というKAWAIIアーティストの立体アートコーナーは、雑に感じた。このジャンルなら、もうちっと頑張っている人いるでしょ。

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あとは中庭が紅葉していてきれいだったなな。

天気が良ければよかった。。

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by mahaera | 2018-12-05 12:54 | 日常のはなし | Comments(0)

「子供のための世界史」関連本紹介7(古代オリエント)その4「古代エジプト文明 」「エジプト神イシスとオシリスの伝説について」

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■古代エジプト文明―歴代王国3000年を旅する (VISUAL BOOK)  

PHPエディターズグループ 1999年 レンツォ ロッシ 著
豊富なイラストによるビジュアルブックで、古代エジプトの人々の生活を解説している。
王朝史やピラミッド建設などはともかく、文字だけだとわかりにくい一般人の生活ぶりや農作業の様子などは、こうしたビジュアルで見せてくれるとわかりやすい。
一方、それに添えられた文の方は、翻訳のせいか流れがわかりにくく、頭に入ってこないのが難。
ただし、通史本を補完するという意味で、良書だと思う。

★★★★


■エジプト神イシスとオシリスの伝説について (岩波文庫) 文庫 –

 1996年 プルタルコス 著 岩波書店
有名なイシスとオシリスの神話についてまとめた本かと思って読んだら、あてが外れる。
筆者のプルタコスは、エジプトの神々はギリシャの神々と同じという先入観をもっており、その上で書いているのでしっくり来ない。
プルタコスがエジプト神話を聞いて、これはギリシャの〇〇のこと、というように書いているのだ。
そのため、エジプト神話の神々の関係や流れがわかりにくいし、また翻訳の注釈もどうしたいのか目的を見失っているようにも見える。
ということで、エジプト神話をざっくりと知りたかったら、本書よりB級映画の『キング・オブ・エジプト』を観た方が2時間で理解できるかも。


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by mahaera | 2018-12-03 19:01 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)