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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編] 先史時代/2.農耕と牧畜の開始(前1万3000〜前6000年)その4

子供に教える世界史[古代編] 先史時代/2.農耕と牧畜の開始(前1万3000〜前6000年)その4_b0177242_11140086.jpg
(写真)1990年代のニューギニア高地に行った時。真ん中のダニ族の男性に目が行くが、その後ろは開墾された畑。捕獲できる動物が少ないため、ニューギニアでは早くから農耕が発達したのかもしれない。現在は、ブタや鶏などの家畜も飼っている。


オセアニアの農耕


意外かもしれないが、西アジアに次いで農耕が始まったのは、

前9000〜7000年のニューギニアだ。
この地にはイネ科の穀類はなかったので、

栽培されたのはバナナとタロイモだった。
「クックの初期農業遺跡」では、

栽培のために掘った穴の跡や石器が発見されている。
このように早くから農耕が始まったニューギニアだが、

なぜか他の地域のような文明の発展はしなかった。
前2000年頃にイヌ、ブタやニワトリがアジアから伝わり、

家畜を飼うようになったが、数千年後の20世紀に至るまで

国家もなく、人口も増えず、彼らの生活は新石器時代のままだった。
世界に6000あるという言語のうち、1000がニューギニアにある

というほど、小集団のまま孤立していたからだ。

隣のオーストラリアでは、アボリジニが暮らしていたが、
お隣のニューギニアと海によって隔てられていたとはいえ、

結局、ヨーロッパ人が来るまで農耕や牧畜を行うことはなかった
栽培可能な植物や家畜化可能な動物が、

いなかったのが原因という。
農耕に重要なイネ科の植物もほとんど野生種がなかった。
ウナギの養殖を試みた跡はあるという。
あと数千年あれば、カンガルーやウォンバットを家畜化して、
より肉が取れる個体にすることができたのかもしれないが、
ブタやヤギ、ウシに比べると、容易ではなかったろう。


東アジアの農耕


中国はどうだろう。今も中国の農耕の始まりは、

西アジアから伝わったものか、それとも独自に発展したかははっきりしない。
しかし、少なくとも前8000年には

長江流域で米が栽培されていたことは確かなようだ。
1990年代までは稲作の起源は「雲南省からアッサム地方」にかけてとされていたが、2010年代以降の教科書では長江が発祥と変更されている。
これは長江流域の発掘が進み、かつての黄河文明よりも古い遺跡が発掘されるなど新発見が続いているためだ。今後この地方を中心に新説が生まれる可能性がある。

前6500年には北部で雑穀の栽培が始まり、
前6000年にはイネの栽培は黄河流域に、
そしてさらに日本に伝わった形跡もある。
このころにはイネは改良されて栽培品種化し、
ジャポニカ米とインディカ米に分化していたことがわかっている。

またブタの家畜化もこのころに行われている。

しかし日本では農耕はまだ数千年も、受け入れられなかった。

その理由としては、当時の縄文人の主食は木の実だったからという。
今の私たちの感覚からすると、木の実が主食で生きていけるのかという感じだが、氷期が終わった後の日本は照葉樹林で覆われていた。
現在の杉などの針葉樹林が山を覆うイメージは、
のちの植林によるものだ。
クルミ、クリ、トチノミ、ドングリなどの木の実が主食で(縄文人の食料の全体の約50%)、ドングリはアクを抜いて粉状にしておかゆや団子にして食べていたらしい。
芋類を入れると、縄文人の食料の全体の2/3は植物で賄っており、安定して採取できたので農耕をする必要がなかったようだ。(続く)

南北アメリカでの農耕の始まり(前8000年)


旧大陸だと、もしかしたら西アジアの農耕が各地に伝播した

と考えられなくなもないが、新大陸だと「独自に」と

言い切っていいだろう。行き来はなかったからだ。

そう思うと、この時期、世界各地で人類が一斉に農耕と牧畜を

始めたという説のほうが、説得力があるような気がする。


北米では前8000年頃には、メキシコのオアハカでカボチャやヒョウタンが栽培されていており、これはアメリカ大陸最古の栽培例として知られている。
アメリカで最初に栽培された植物は、トウモロコシではなくカボチャだったというのはちょっと意外だ。
ペルーでも同じ頃にカボチャを栽培していたという遺跡が発見されている。
トウモロコシの原種はまだまだ小さく、
その粒はまだ稲とそう変わらない大きさだった。

動物の家畜化は旧大陸に比べると遅れ、
ペルーで前5000年にテンジクネズミ(クイ)
前3500年にリャマ、前1500年にアルパカが
ようやく家畜化された。
新大陸が旧大陸に比べて農耕や牧畜にハンディがあったのは、

野生の穀類などがなく、こともある。
アジアから伝わった野生のウマは、
家畜化される以前の前1万3000年前に絶滅していた。

子供に教える世界史[古代編] 先史時代/2.農耕と牧畜の開始(前1万3000〜前6000年)その4_b0177242_11192962.jpg
(写真)アメリカ大陸で最初に家畜化されたのは、クイだった。

テンジクネズミ、あるいはモルモットとして知られている。

現在でも食用として飼われており、ペルーでは立派な地方料理だ。


# by mahaera | 2018-06-08 11:21 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

最新映画レビュー『ランペイジ 巨獣大乱闘』 開き直ったタイトルだが、それも納得(笑)


一つの仕事が終わったら、すぐ次の仕事がすぐにやってくる。
ここ数日、仕事以外はお酒を飲みに行くのがやっとという
椅子に座りっぱなしの体に悪い日々。
ニュースを見ても、毎日誰かが改ざんと言い訳をしている
こんな大人達を見ていたら、子供もずる賢い知恵だけ身につけ、
真面目にやるのが馬鹿らしくなる
思えば昔の子供(オレ)は、怪獣達が都市を
破壊するのを喜ぶぐらいの単純なものだった。
その血を受け継いだ息子は、保育園児のときに
「大きくなったら何になりたい」という先生の質問に
「ゴジラ!」と答えていた。バカだ。
しかしそんな息子も大きくなったら、
バカのくせに利口なふりをするようになり、
もう怪獣には見向きもしないだろう。
しかしそのまま大人になったオレは、
今も怪獣が街を破壊する映画でストレス発散している。
昨日のレイトショーに来ていたお客も
そんなオッさんたちか、場違いなカップルだけだった。

映画が始まってすぐに宇宙で実験失敗。
最初は宇宙なので違う映画かと思った。
地球にそのカプセルが落下し、ガスを吸ったゴリラ、オオカミ、ワニが凶暴&巨大化
暴れまくって街を破壊する。特にひねった脚本ではないが、
効率よくすいすいと話が進み、子供もダレることはない。
いらない大人の恋の話もないし、
主人公は子供も憧れのマッチョ男、ロック様だ。
怪獣相手に戦えるのは、今、彼しかいない(1980年代のシュワちゃんのようなもの)。

ロック様が動物相手に暴れるのに既視感があるのは、
4月に『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』が公開されたばかりだからか。
4月には『パシフィックリム/アップライジング』怪獣が暴れ
5月にはこの本作が、8月には『ジュラシックワールド』の新作恐竜が暴れ、さらに毎月、ヒーローと巨大ロボが街で戦う
なんだか、自分の子供時代の番組が、アメリカでグレードアップして量産されているような気がするのは、気のせいだろうか。

そういえば巨大ワニが変形したらアンギラスそっくりだとか、
オオカミが変形して滑空したらバランみたいだとか、
本作も見ながら東宝の特撮魂を感じてしまった。
日本もこんな巨獣たちに、国会議事堂や国技館や
オリンピック競技場を破壊してほしいと妄想する大人も大人だが(笑)
 
子供でもわかる深みはない映画だが、そういう映画でいい!。
もっと暴れろ!
★★★

# by mahaera | 2018-06-07 12:20 | 映画のはなし | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編] 先史時代/2.農耕と牧畜の開始(前1万3000〜前6000年)その3

子供に教える世界史[古代編] 先史時代/2.農耕と牧畜の開始(前1万3000〜前6000年)その3_b0177242_12311836.jpg

(写真)最初に農耕が始まったエリアは肥沃な三角地帯のうちの丘陵地帯。
これはシリアのハマ、オロンテス川にかかる水車。この町の水車の起源は、前1100年ごろという。


世界各地で農耕が始まる

これから時代区分が細くなるので「〜年前」ではなく、
「前〜年」とすることにしよう。

「1万年前」なら「前8000年」だ。
前9000〜7000年の間に、
農耕は世界の7か所で別々に始まった。

誤差はあるが、それまでの人類の長い時間を考えるとほぼ同時期と言ってもいい。
早い順に書くと、
前9000年/西アジアとニューギニア、

前8000年/長江とオアハカ、ペルー、

前7000年/インダスと東サハラ、
東南アジア
前6000年/黄河

前5000年/エジプト

前4000年/西サハラ
 
これらから農耕は周辺地域に広がっていった。

西アジアでの農耕の開始

今の所、初期の農耕の痕跡が認められるのは、

現在でいえばシリア、ヨルダン、トルコ、イラクの
国境付近の丘陵地帯で、チグリス・ユーフラテス川の上流、
およびヨルダン川付近、つまり「肥沃な三日月地帯」から、のちに文明が発生したチグリス・ユーフラテス川の下流域とエジプトを除いたあたりだ。

この頃は、のちに古代文明が生まれるナイル川やチグリス・ユーフラテス川の下流域は、まだ人が住むには難しい環境だった。
ヤンガードリアス期が終わった前9600年ごろ、一部の人々は上記のエリアに定住し、農耕を再開していた。

最初にこの地域で始まったのは、大麦やライ麦、
小麦などの穀類の栽培だ。

大麦は降水量の多い冬に発育し、初夏に収穫する。

野生種はタネを落とすが、人類は収穫しやすいようタネが落ちずに実が多い種類を1000〜3000年ほどかけて選び、栽培種を育てた。完全に農耕が栽培種のみになるまでに、
移行に3000年ほどかかったと考えられている。

つまり、野生種の採取と栽培種の農耕が並行して続けられていた
あるいは畑に栽培種と野生種を同時に育てていたということだ。

穀類はそのままでは食べられないので、

粗挽きにしたものを粥にしたり、

粉にして水で溶かして練ったりして食べていたようだ。
小麦も同時期に同エリアで栽培化されたが、
当初は大麦よりも重要視されなかった。

食べ方がまだ粥状で食べていたためで、小麦がより好まれるようになるのは、粉に挽いて焼いて食べるようになってからだ。

おおむね、世界各地で最初に栽培されるのは主食となる植物だ。
西アジアでは麦、東アジアでは米、東南アジアやニューギニアではイモだが、
なぜイネ科の穀類を主食にする地域が多かったかというと、
栄養があり、保存や貯蔵がきくというのが最大の理由だろう。


子供に教える世界史[古代編] 先史時代/2.農耕と牧畜の開始(前1万3000〜前6000年)その3_b0177242_12312898.jpg
(写真)インドの牛は、西アジアと別系統で野生から家畜化されたという。
家畜には「食用」以外にも、農耕に必要な動力としての役割もあった。

野生動物を家畜化する

農耕が始まると、多くの地域で牧畜も開始された。

また、地域によっては、牧畜の方が先行する場所もあった。
「家畜化」の定義は、「人間により遺伝子レベルで品種改良されたもの」とされており、繁殖も人間の管理下にないと家畜と言わない(繁殖を自然にまかせたアジアゾウは家畜には入らないとされている)。

家畜化される動物の条件として、
まずエサが人間と競合しないものが選ばれた。
人が食べられない草がエサなら、動物を飼っても人は困らない。

その点、肉食動物はNGだ。

第2に成長が早いこと。

時間がかかる動物(ゾウなど)は非効率だ。

第3に繁殖能力が強いこと。

これは単にたくさん子を産むということだけでなく、
飼育するとストレスであまり子を産まなくなる動物(アンテロープなど)は適さない。

他にも気性が荒い動物(北米のバッファローなど)」は不向きだし、群れに序列性がない動物(シカ)も管理しにくい
諸説あるが、農耕の開始と共に家畜化された動物は、

ヤギ、ヒツジ、ウシの3種、
それにブタ、ニワトリが加わり主要5種になった。

家畜化に向いた野生種が多いことが条件

西アジアで最初の牧畜が始まったのは、
野生種が身近にいたからだろう。

野生種で一番多かったのがガゼルで、家畜化しようとした試みの形跡が遺跡から発見されている。
しかし跳躍力が高く逃げ出しやすいので、家畜には向いていなかったようだ。
ただし最初に家畜化された野生動物は、オオカミから分化したイヌで前1万5000年ぐらいという。

狩猟生活に欠かせないものなっていったが、
食用にするのが目的ではないので、牧畜動物ではない。

イヌの次に家畜化されたのは、ヤギだろうと言われている。
前7000年ごろ、西アジアで野生種が家畜化されて、
人は初めて搾乳をし、チーズやバターなどの乳製品が発明された。

1000年ほど遅れてヒツジも家畜化された。

ヒツジはヤギにはない体毛と脂肪分を持っているため、
ヤギよりもより寒い地域で重宝されるようになる。

ウシの家畜化はもう少し遅れた。

野生のオーロックスは獰猛で大きく、最初は手こずったろう。

しかしウシは肉や牛乳が得られるだけでなく、農耕に欠かせない動力として(エンジンが発明される以前には最高の牽引力だった)、農耕の拡大とともに急速に世界に広まる。

ウシはかつて西アジアで家畜化されて、インドに伝わったとされていたが、最近の研究では西アジア産とインド産のウシでは種の系統が違い、別々に家畜化されたとみなされている。

野生のイノシシを家畜化したブタは、
西アジアでも中国でも前9000〜前8000年ほどまでには家畜化されていたようだ。

原産が西アジアか中国か、あるいはそれぞれにかはわかっていないが、特に中国では食用として重宝された。
ブタと共に現在食用として重要なニワトリだが、
これは他のものに比べると、いつから家畜化されたかは分かっていない(前8000〜前4000年)。

最初は食用ではなく、朝一番に鳴くために祭祀用に、あるいは闘鶏用にという説もある。

しかしまもなく、人間はその肉や卵を食用とするようになる。

時代がずっと下って前4000年ごろには、ウマ、ロバ、ラバ、水牛、ラクダ、ネコなども家畜化されている。


# by mahaera | 2018-06-04 12:40 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

最新映画レビュー『ゲティ家の身代金』リドリー・スコット最新作は、実際の誘拐事件が題材

このレビューは、別サイト「前原利行の映画レビュー」に引っ越しました。
以下リンク先です。内容は少しリライトしてあります。2021.6.22



# by mahaera | 2018-06-03 15:03 | 映画のはなし | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編] 先史時代/2.農耕と牧畜の開始(前1万3000〜前6000年)その2

子供に教える世界史[古代編] 先史時代/2.農耕と牧畜の開始(前1万3000〜前6000年)その2_b0177242_18045505.jpg
(写真)1万3000年前にアメリカ大陸へ人類は渡ったが、ヤンガードリアス期で北米が寒冷化したので、
どんどんと大陸を南下して至ったのかもしれない。(アメリカ自然史博物館)

最終氷期の終了、地球は間氷期に

約2万年前、最終氷期のピークが去ると、
以降は徐々に世界の温暖化が進み、海面が上昇していく
これは約1万2700年前まで続いた
もしかしたら人類の多くの集落が当時の海辺や河口にあったのかもしれないが、最大で海面が120mも上がったので今は海の底だ。
今後も発掘の見込みは薄いだろう。
魚を捕り、貝を食べて海辺で暮らしていた人もいて、
人類はそこからどんどん内陸に移動していったのかもしれない。

氷期が終わると、ヨーロッパやシベリア、北米を覆っていた氷河は後退していき、最初は湿地、やがて大草原が生まれる。
太陽エネルギーが地球をみたし、多くの植物が繁茂し、それを食べる動物も増え、獲物を求めて移動しなくてもいいほど、食糧が豊富になったのかもしれない。
高緯度地方では、この間(と言っても数千年)に平均気温は10度以上がった。
大方哺乳類は絶滅するか、北の寒い地方へと遠ざかり、

その代わりに草を食べる小型哺乳類が増えていた。
ちなみに最後のマンモスが死んだのは割と最近で、

前1700年のシベリアのウランゲリ島だ。

狩猟の対象が小型動物になると、狩猟の方法も変わった。
数は多いが逃げるのも早いので、罠や網を仕掛けるようになる。
そして一人でも倒せるので、集団で狩猟をする必要もなくなってくる。
大型動物を求めて移動するスタイルから、定住して出かけ、小型動物を捉えたり、植物を採取したりするスタイルに生活が変わっていったのだろう。
気候は暖かいので、人々は洞窟から出て外に住むようになった
日本の縄文人は狩猟採集民だが、基本的には竪穴式住居を作って住んでいる。


農耕以前、穀物の採取時代があった

このころの人類の食糧には、動物以外にも木の実や果物、

野生の穀類や豆類、根菜といった植物も含まれていた。
気温は現在の地球とあまり変わらない(時にはそれ以上)ほどにまで上がり、食べられる植物には事欠かなかったのかもしれない。
穀類は、現在の品種改良されたイネやムギと違い、野生種はタネが実ると自然にぽとぽとと地面に実を落としていた(そうでないと育たない)。
人類はそれを拾い集め、あるいはカゴなどを用意して揺すって実を集め、そのままでは食べられないので、煮て粥状にして食べていたようだ。

「自然は人類に不公平だ」と言ったのは、
「銃・病原菌・鉄」の著者ジャレド・ダイアモンドだったか。
農耕が始まる環境は、地域によって差があったのは言うまでもない。

しかし豊かな地域はもちろん、そうでもない地域にも人類は進出していく。

最終氷期が終わった後の1〜2万年前の西アジアでは、ラッキーなことに野生の大麦やライ麦、小麦などの穀類などが豊富に生えていた。
基本的には野生植物は1年生だから、移動する採集民でも実りが多い時期にはまたそこに戻ってこなくてはならない。
ただし時期がズレたら収穫はできなくる(早ければ実っていないし、遅ければ地面に落ち、鳥などに食べられてしまう)。
最初は群生地のそばに定住して通っていたのか、
あるいはそれも面倒になり、定住地の近くにタネを蒔いたのかもしれない。
男どもが狩りに出かけている間に、女性が家のそばに余った種を蒔いたのが農耕の最初だったのかもしれない。
ともあれ、どこかの時点で人類は植物の栽培を覚えた。

今の所、人類最古の農耕の跡といわれているのが、前1万3000年のシリアにある「アブ・フレイラ遺跡」だ。
これは100人から200人ぐらいの集落で、
人々は野生動物(ガゼルやウサギ、ヒツジなど)の狩猟をしていたほか、そこで発見されたライ麦などの穀類の中に、すでに栽培種があったことがわかっている。


再び寒冷化へ ヤンガードリアス期

おおむね2万年から地球は暖かくなってきたが、
実は1万1000年前、地球は再び寒冷化に揺り戻されていた
これは惑星の回転や自転によるレギュラーな氷期ではなく、
突発的なイレギュラーなもので、
北米にあった世界最大の氷河湖の水が大西洋に流出し、
メキシコ湾流が北上しなくなったのが原因という説と、
彗星の破片が地球に落下したのが原因という2つの説がある(今も論争中)。
1300年ほど続いたこの短い氷期を「ヤンガードリアス期」という。イギリスでは年平均温度が5度も下がり、高緯度では再び氷河が形成された。
これは地球の歴史にとっては“たった1300年”の一時的なものだったが、全世界の人口が約500万人に増えていた人類にとっては、それは死活問題だった。
この人類の人口500万人は、最近の研究では全世界に広がった人類が狩猟採集のみで生きるのに限界に近い数字のようだ。
地域によっては、人口過剰を生み出していたのかもしれない。
しかしヤンガードリアス期の寒冷化により、
寒冷地では狩猟で得られる哺乳類が減り、
豊富に実っていた植物も消えていった。
氷期はまた乾燥化も引き起こす。
西アジアではすでに定住農耕が始まりかけていたが、
ヤンガードリアス期が始まると集落が縮小したり放棄されたりし、また狩猟採集生活に戻ったことが遺跡から分かっている。
しかし約1万年前(前9600年)にヤンガードリアス期が終わり、世界が再び温暖になると、今度は世界各地で農耕が始まりだす。

# by mahaera | 2018-06-02 18:05 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)