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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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最新映画レビュー『まともな男』 小さな嘘が大きくなる。他人事とは笑えない、スイス映画

現在単館公開中のスイス映画『まともな男』。
見る人はほとんどいないと思うが、
何かのついでに機会があれば。
なんだか、ことを荒立てないで済ましたがる
日本人にありがちなテーマだと思って見てしまった。



主人公は妻と高校生ぐらいの娘と暮らす中年男。
休暇でスイスのスキー場にある別荘に行くが、
上司に頼まれ、その娘を一緒に連れて行くことになる。
年頃の娘たちだから、夜は別荘でおとなしくするよりは、
地元の若者たちと遊びに行きたい。
で、自分の娘と上司の娘が夜遊びに出かけるのだが
(ともに未成年)、迎えに行くと上司の娘が
別荘の管理人の息子にレイプされてしまったと打ち明ける。
さあ、あなたならどうする?

この主人公、根は善良で自分で悪事を働くタイプではないのだが、事なかれ主義というか、
自己保身を第一に考えるというか、事故があった時の日本のお役所や会社体質とよく似ている。
「まあまあ穏便に」とやって、
当事者を丸め込んだつもりが、余計に怒りを買い、
物事を大きくしてしまうタイプだ。
そして何かと詰めが甘く、その場しのぎの対応を重ね、
事件を大きくしてしまう。
自分の管理不行き届きを上司に知られたくないから、ついた嘘。
その嘘がバレないためにさらに嘘をつき、
つじつま合わせるためにさらに嘘をつく。

映画は巧妙で、最初の小さな嘘は、
相手のことを思いやっての、誰でもつくぐらいの嘘で
観客も納得がいくのだが、それが雪だるま式になっていくと、
我々観客も「もう、ここらで正直にならないとまずい」と思う。
人は追い込まれると、引き際がわからなくなる。
ということで、こうはならないように気をつけよう。
# by mahaera | 2017-11-23 11:10 | 映画のはなし | Comments(0)

自分のバンドのPVを作ってみました。Carry On - Mamatos -



仕事の合間にこんなこともしてた。
自分のバンドMAMATOSのCDからPVなるものを作ってみしまた。

曲は「Carry On」です。

音に画像合わせるのがなかなか大変で。
しかし普通のデジカメとiMovieで、
今ではこんな編集も自分のPCでできるんだなあ。
よかったらご覧ください。
# by mahaera | 2017-11-19 11:20 | ぼくの音楽・バンド活動 | Comments(0)

日帰り旅。千葉の成田と佐倉に行く。成田山新勝寺と佐倉の武家屋敷


日帰り旅。千葉の成田と佐倉に行く。成田山新勝寺と佐倉の武家屋敷_b0177242_11103692.jpg
まだ家に引きこもり始めた2週間前、
1日だけ調子がいい日があって、天気も良く、
なぜか成田山新勝寺まで行ってきた。
成田は海外旅行でおなじみだが、成田駅で降りるのはこの時初めて。
しかしオダサガからは遠い。。
外国人観光客で賑わう表参道を通り、お寺へ。
日帰り旅。千葉の成田と佐倉に行く。成田山新勝寺と佐倉の武家屋敷_b0177242_11111717.jpg
なかなか大きくて見応えがある寺院だったが、
奥の方にある古い木造寺院の方が雰囲気があってよかった。
来てみて、うなぎが名物?なのを知る。
あとは、どのお土産屋にも落花生が。
やはり千葉はピーナッツ王国なのね。

そのあと近くの佐倉に立ち寄る。
本当は国立民俗博物館に行きたかったが、時間がなく、
その手前の「武家屋敷」に入った。
日帰り旅。千葉の成田と佐倉に行く。成田山新勝寺と佐倉の武家屋敷_b0177242_11115332.jpg
本当にここ?という、小高い丘上の住宅街の中に、
武家屋敷は何軒か並んでいた。
テレビの時代劇に出てくる家老の屋敷のような豪華なものではなく、
日本の旧家といった趣でそれほど大きくはない。
子供の頃は、こんな家は田舎に行ったらまだあったな。
それにしても、当時の人の背の低さを感じる。
取っ手の類が今の感覚だと、かなり低い位置にあるし、
すぐに頭をぶつけてしまうだろう。

日帰り旅。千葉の成田と佐倉に行く。成田山新勝寺と佐倉の武家屋敷_b0177242_11122549.jpg
あっという間に日が暮れ、裏側にある小道を通って町へ向かうと、
道の先に太陽が沈んでいく。
一瞬、道が真っ赤に染まった。3分ほどのことだが、
こんな色を自然で見るのは久しぶりだった。
# by mahaera | 2017-11-17 11:12 | 日常のはなし | Comments(0)

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ブルース・クック著を読む



『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ブルース・クック著を読む_b0177242_10101396.jpg
小説ではないが、映画『トランボ』の元ネタになった、
脚本家ダルトン・トランボと関係者にインタビューした
ブルース・クックの評伝が、映画公開時に発売されていた。
すっかり忘れていたが図書館にあり、一ヶ月ぐらいかけて読む。

映画はトランボの赤狩り時代から復権までのドラマだが、
このルポは大勢の人たちの証言が中心なので、行きつ戻りつ。
そしてドラマチックな展開はさほどない。
例えば映画で一番スカッとした、ジョン・グッドマン演じる
三流映画会社の社長が、トランボをやめさせろと脅しに来た男に
バットを振りかざして出て行けという場面、あれはない。
つまり映画を盛り上げる創作だが、映画には必要なシーンだ。

また、映画ではヘレン・ミレン演じる、トランボを攻撃する
辛口コラムニストのヘッダ・ポッパーもここには登場しない。
つまり映画は評伝を参考に、それ以外の史実も取り混ぜ、
再構築したものになっている。
そして、映画の方がドラマチックで圧倒的にいい(キネマ旬報でその年の第4位)。
ということで、また映画が見たくなった。

映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』
についてのレビューは、以前こちらに書いたので、
未見の方はどうぞ。

# by mahaera | 2017-11-15 10:10 | 読書の部屋 | Comments(0)

最新映画レビュー『不都合な真実2 放置された地球』この10年、世界的な環境運動は前進したのか?


不都合な真実2 放置された地球
2017年/アメリカ

11月17日より全国公開

10年前に公開されて多くの反響を呼んだ前作の続編。
前作はアル・ゴア元大統領の講演を元に様々な映像や資料を組み合わせたものだったが、今回は少し趣を変えて、「ゴアに密着取材!」と言ったスタイルになっている。

ラジオからは今日も「ストップ温暖化!」なるCMが流れているが、この10年、CO2排出量は減らず、異常気象は続き、僕の周りでも「CO2と温暖化は関係無い」という人も少なくない。
ゴアもこの10年、環境問題は前進と後退を繰り返していると、
冒頭でぼやく。
いくら先進国で規制が進んでも、その間に中国とインドで工業化が進み、爆発的にCO2を排出するようになったのだから、全体ではチャラになってしまう。

本作のクライマックスは、
パリで開かれた温暖化防止会議COP21で、
いかにインドを説得できるかというのも、
時代の流れを感じる。
インド代表は
「先進国は300年に渡って化石燃料を使い続けてきた。
それを今さら我が国に使うなんておこがましい。
我々は今後300年化石燃料を使い続けてやる!」と息巻く。
まあ、それもわからなくもないが、その結果はすでに見えているのだから、別な歴史を作ってもいいはずだ。

この10年は悲観的な面ばかりではない。
風力や太陽光など、再生可能エネルギーを生み出すコストは年々下がってきている。今は高くても「やればできる」のが、科学や産業の発達の歴史だ。
そうした特許を持っているのはやはり先進国だが、
それを無料で途上国に提供することで、
化石燃料を使わないようにするとゴアは試みる。

映画のラストはCOP21の調印でハッピーエンドになるかと思いきや、トランプ政権の誕生で、暗雲が立ち込めるところで終わる。
実際、オバマが最後の置き土産として批准したCO2排出規制を、
いとも簡単にトランプはひっくり返した。
まあ、こうしたドキュメンタリーはある主張のプロパガンダなので、
異なった意見や主張もあるだろう。
しかしすべてを鵜呑みにはできなくとも、
ゴアのような人々がいなければ、
私たちの世界はもう何年も前に
ブレードランナーのような世界になっていたろう。

# by mahaera | 2017-11-13 18:50 | 映画のはなし | Comments(0)