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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編]前1200年のカタストロフとオリエントの混乱/その4 トロイア戦争1

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(写真)トルコのイリオス遺跡にある、復元された木馬。妙に安っぽいがご愛嬌。

前13世紀に起こった事件のうち、文学や絵画、映画などに取り上げられて今でも有名だが、本当に「歴史」なのかどうかわからない事件がヘブライ人の「出エジプト」の他にもうひとつある。それがトロイア戦争だ。起きたとしたら、前1250年前後のことという。

ホメロスによる叙事詩『イーリアス』で描かれたトロイア戦争が歴史的事実なのかは、世界史では未だ確定されていない。
日本で言えば「古事記」を歴史書として読み解くようなもの。
だから19世紀にシュリーマンがトロイア(イリオス)遺跡を発掘した時、世界が驚いたのも納得だ。
日本で言えば、「天の岩戸を発見!」みたいなものだから。
ただし、発掘などでわかる歴史上のトロイアと、伝承のトロイアは別ものとして考えなければならない。
それでは歴史上のトロイアを語る前に、知らない方のために神話や叙事詩の中のトロイア戦争について解説してみよう。
ちなみに地名は歴史書ではイオニア方言の「イリオス」を使うことが多いが、教科書ではアッティカ(ギリシア本土)方言の「トロイア」を使っているので、地名の場合は「イリオス」ではなく「トロイア」で通すことにする。

『イーリアス』とはどんな話?

ギリシア神話の中のトロイア戦争は、トロイアの王子パリスが、スパルタ王メラオネスの妃ヘレネーを奪ってトロイアへ連れ帰った事から始まる(その前に三女神が、誰が一番美しいかをパリスに審判してもらうという話があるが)。
ともかく怒ったメラオネスは、兄であるミケーネ王アガメムノンに訴え、ヘレネーの引き渡しを求める。
しかしパリスとトロイア川はそれを拒否。
そこでアガメムノンを総大将とし、英雄アキレウス知将オデュッセウスを擁する10万のアカイア(ギリシア)軍が、エーゲ海を越えてトロイアに攻め込む。
しかしトロイア側の王子ヘクトルの活躍もあり、戦争はこう着状態に陥る。
神々も二派に分かれてそれぞれの陣営を応援する。

叙事詩『イーリアス』が今読んでも斬新な感じがするのは、こうしたトロイア戦争の顛末を最初から描くのではなく、いきなり10年目のアキレウスの怒りの場面から始まることだ。
主人公であるアキレウスは英雄だが、総大将アガメムノンとの長い確執があった。
さらにアガメムノンがアキレウスがいなくても戦争には勝てると侮辱したので、アキレウスは物語の冒頭で怒りを抱えていたのだ。

アキレウス不参加のまま戦いがまた始まるが、ギリシア軍は劣勢になり、アキレウスの親友パトロクロスがヘクトルに討たれてしまう。
敵討ちを誓ったアキレウスはギリシア側で出陣し、ついにヘクトルと一騎打ちに。
ヘクトルを倒したアキレウスは怒りに任せて、ヘクトルの遺体を引きずり回して侮辱する。
その夜、アキレウスの元にトロイア王のプリアモスが密かに現れ、息子の遺体を返してくれと頼む。
王の息子を思う気持ちに打たれたアキレウスは、ヘクトルの亡骸を返し、ヘクトルの葬儀が行われて物語は終わる。

つまり、『イーリアス』はトロイア戦争の全体ではなく、その10年目の一部を切り取ってドラマチックに構成した作品だ。
なので戦争のクライマックスであるアキレウスの死やトロイア陥落も語られていないのだ(映画『トロイ』ではそこがクライマックスになるが)。(続く)
# by mahaera | 2019-04-25 10:13 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

MCU フェーズ3 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)から『マイティ・ソー バトルロイヤル』 (2017)までの5作品の感想まとめ


今回は『エンドゲーム』までにと、昨年から1作目より見直しているMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のフェーズ3の5本(13作目から17作目)を★から★★★★★まで個人的評価。フェーズ3は11本あり、うち9本公開済み。


13『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年)★★★★★
監督のルッソ兄弟の実力は大したもので、MCU最重要監督になったのはよくわかる。ほぼアベンジャーズと言ってもいい本作品は、前作『ウィンターソルジャー』のソリッドさはないが、さらに増えたキャラ(ブラックパンサー、スパイダーマン)を入れ込み、ヒーローの交通整理、さらにストーリーを進めるという難題をこなした。
「ヒーローを誰が管理するのか」という「ウォッチメン」的な課題から始まる本作。これは前からの「大きな組織や権力ではなく、おのれの良心で動く」というキャップ、「平和のためには枠組みが必要で、組織に大きな権力を与えるのもやむをえない」というトニーとの対立が軸になる。タイトルの『シビル・ウォー(内戦=南北戦争)』が示すように、これはアメリカ建国以来のイデオロギー対決が、この二人のヒーローに集約されている図だ。どちらが間違っているわけでもない。共により良い個人と社会を目指していて、2つの正義があるだけだ。
ただ、映画はそれをテーマのように見せて、最後は個人的なところに落とし込む。「復讐の連鎖を止めるにはどうしたらいいか」だ。復讐のループに入ってしまえば、どんなに理屈ではわかっていても、感情が打ち勝ってしまう。トニーの怒りがわかるだけに、やりきれなさと希望を感じて終幕を迎える。


14.『ドクター・ストレンジ』(2016年)★★★
重い『シビル・ウォー』の次は、軽く見られる本作が。何せヒーローが使うのは“魔法”なんだから。カンバーバッチのストレンジはかなりのはまり役。正直、ストーリーは普通で、悪役も名優マッツ・ミケルセンの割には紋切り型。しかしエッシャーのだまし絵やマグリットのシュールレアリズム的な画像は魅力満点で、映画館のIMAXで映える。ので★おまけ。


15.『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年)★★★★
1のほうがいいという人もいるが、僕はこちらの方が好き。こちらは「家族」とは何かというテーマ。主人公クイルの本当の父親が現れるが、クイルを本当に思いやっているのは別な人だったという「そして父になる」話だ。
それと並行してガモーラとネビュラの複雑な姉妹関係、人を困らせることでしか愛情を表現をできないロケットなど、複雑な人間関係が、ポップなスペクタクルの中で描かれる(みな愛を求めているのだ)。そしてラストのヨンドゥには泣ける。
前作以上に、かかるヒット曲がツボ。オープニングの ELO「ミスターブルースカイ」(二度見で歌詞の映画とのシンクロ度に気づく)、ルッキンググラスの「ブランディ」、喧嘩したりいがみ合ったりしても心はつながっているフリートウッドマックの「チェイン」、そして父が息子を思う気持ちを歌ったキャット・スティーブンスの「ファーザー&サン」、ラストのチープトリックの「サレンダー」だって映画の内容にあった親子の理解の歌だ(夜中に起きたら、自分のKissのレコードを聴きながら両親がHしてた。ママやパパの気持ちもよくわかったよ。もう降参という歌)。ということで、英語の歌詞がスラスラ入って来れば、もっと楽しめるのだろうな。


16.『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年)★★★
全体的に“大人”になりすぎていたMCU世界を、ぐっと子供に戻した。NYクイーンズのヒーローであるラモーンズの曲からしてピッタリだ。今までのスパイダーマンには欠けていた、高校生としてのピーターに焦点を当て、その未熟さを魅力にした作品。いくら超人的な力を持っていても、大人たちの間では所詮子供というのをある意味、クールに映し出している。しかし大人から見れば子供には子供の言い分もあり、時にはそれが正しい時もある。
本作で、父親がいないピーターの前に現れる二人の大人の男は、子供が見る二つの父親像だ。お金持ちでヒーローで完璧に見えるトニー、そして力を犯罪に使うが家族を思う気持ちは強いトゥームス。しかしトゥームスもトニーのせいで犯罪者になったとも見えるように描かれ、陽の当たる場所には必ず影があることも知る(陽と陰の関係)。そこでピーターがとる選択は。教師と反面教師と子供という構図の作品。


17.『マイティ・ソー バトルロイヤル』 (2017年)★★★
本作を見たときは、「あれ?ソーってこんなキャラだっけ?」。『シェア・ハウス・ウィズ・バンパイア』のワイティ監督だからとは思っていたが、完全にコメディ路線。よくしゃべるハルクにも当惑。でもだんだん慣れてきたけどね。音楽使いがいいMCUだが、今回はツェッペリンの『移民の歌』でソーの物語にぴったり。ロキも邪悪なキャラから兄弟漫才に。しかし、今まで単体作品としては成功と言いがたかったソーシリーズをテコ入れして、きちんとキャラを修正したのは成功かも。


# by mahaera | 2019-04-24 11:13 | 映画のはなし | Comments(0)

名盤レビュー/ジョニ・ミッチェルその8最終回 『シャドウズ・アンド・ライト』 Shadows and Light (live) (1980)

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ジョニ・ミッチェルの70年代を総括するような傑作ライブ。
1979年9月カリフォルニア州サンタバーバラにて録音。
LP時代は2枚組で、CDは最初は1枚のため何曲かカットされていたが、のちに2枚組で出てLPと同じに。
同内容の映像版DVDは微妙に収録曲が異なる。
映像の方にはアンコールのGod Musy Be a Boogie ManとWoodstockがないが、「陽気な泥棒」が入っている。
78年のアルバム『ミンガス』の後のツアーなので、『ミンガス』でミュージカルディレクターを務めたジャコ・パストリアスがツアーメンバーの人選を行った。メンバーはジャコ・パストリアス(ベース)を筆頭に、パット・メセニー(ギター)、ドン・アライアス(ドラム・パーカッション)、ライル・メイズ(キーボード)、マイケル・ブレッカー(サックス)という強者揃い。
本当はジャコはウェイン・ショーターを入れたかったが、レコード会社との契約で、ウェザーリポートからの人選は2名までとキマていたらしい。

LPとCDが手元にないので、今回はDVDのレビューを。
イントロは『シャドウズ・アンド・ライト』(最後に入っているライブ音源と同じ)で始まり、映像は『理由なき反抗』など50年代の映画や音楽映像が流れる。
そのまま「フランスの恋人たち」に突入。曲の途中でようやくライブ映像に切り替わる。こちらとしては豪華なメンツなので、普通にライブ映像を見せて欲しいのだが、本作は時々PV風のイメージ映像に切り替わり、それが余計に感じるかな。
『イーディスと親玉』に続く代表作「コヨーテ」もコヨーテの映像がかぶる。ジャコのベースがもっと見たい曲なのに。
明るいヒット曲「パリの自由人」でマイケル・ブレッカーが登場。次はジョニはギターを下ろしてスタンドマイクでミンガスの「グッバイ・ボーク・パイ・ハット」へ。
次はステージはジャコだけ残り、彼のソロコーナー。ハーモニクスとディレイを使ったメロディアスなソロを聴かせる。最近のエド・シーランが使うようなループがない時代だから、ループさせると音がどんどん劣化していくけど(笑)。ソロの後、ジャコは退場。

ステージのドン・アライアスがリズムを刻み、それに合わせてジョニが「デ・モインのおしゃれ賭博師」を歌い出す。
途中からジャコとブレッカーが参加。曲に合わせてか、ラスベガスの映像が挿入される。
曲が終わると映像は太平洋上で消息を絶った女性飛行士アメリア・ハートの記録映像になり、ジョニの弾き語りで「アメリア」へ。バックには薄くメセニーのギターが絡む。サックス、キーボードが静かに加わる。続いてメセニーのソロを挟んで、曲はそのまま静かに「逃避行」へ。
この曲の次はライブ映像ではなく、アルバム「逃避行」のジャケと同じジョニが黒いカラス風の衣装を着て、スケート選手とリンクの上で滑るPV風の映像になっている。
ジャカジャカというジョニのギターコードカッティングに始まる「黒いカラス」で盛り上げ、ここでメセニーとアライアス以外のメンバーはいったん袖に引っ込み、「フュリー・シングス・ザ・ブルース」へ。シンセのようなメセニーのスライドが静かに絡む。
メンバーが戻り、ノリノリのロックンロールナンバー「陽気な泥棒」へ。ジャコとメセニーに笑顔が見える。ここで、メンバー紹介があり、黒人コーラスグループのパースエイジョンを呼び込み、ドゥーワップのWhy Do Flool in Loveを歌とパーカッションのみで演奏。そしてシンセがコードをイントロを流し、パースエイジョンと共にアカペラで最後の「シャドウズ・アンド・ライト」が歌われ(これが秀逸)、コンサートは幕を閉じる。

イメージ映像が入ったり、カメラの切り替えが悪くてジャコがあまり映らなかったり、と音楽だけちゃんと聴きたい人にはいろいろ不満があるとは思うが、音楽自体は一級品。
当時のトップミュージシャンたちが、ジョニの歌を立てるために自己主張を抑えめに、絶妙のバランスで音を奏でている。
また選曲も70年代中盤以降のジャズ・フュージョン期を代表するものが多く、1974年のLAエクスプレスとの共演のライブ『マイルズ・オブ・アイルズ』とも曲がダブらず、買いの一枚だ。

この後、ジョニはラリー・クラインを公私ともにパートナーとして80年代に入っていくのだが、セールス的には不調に。
サウンドも時代に追いつくように変わっていき、悪くはないのだが、マジックが消えていってしまったような気がする。
ということで断続に続いていたジョニの名盤紹介、これにて終了。次からは、他のアーティストを取り上げていこうかな。あくまで不定期だけど(笑)。


# by mahaera | 2019-04-23 09:10 | 音楽CD、ライブ、映画紹介 | Comments(0)

MCU フェーズ2 『アイアンマン3』(2013)から『アントマン』(2015年)までの6作品の感想まとめ


『エンドゲーム』までにと、昨年から1作目より見直しているMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のフェーズ2の6本(7作目から12作目)を★から★★★★★まで個人的評価。
みなさんは、どの作品がお気に入り? ヒマだと思われるでしょうが、まあ10年お寺(劇場)に通ってお布施(鑑賞料金)を積んで、ようやく秘仏(最終作)を見せてくれるような気分で公開が楽しみ。て、僕だけか。


7.『アイアンマン3』(2013年)★★★
前作『アベンジャーズ』という夏祭りが終わった後のトニーのソロ活動。敵が魅力的でないとか、印象に残るのはグウィネス・パルトロウのスポーツブラ姿とか、初見時はイマイチだったが、見直すとそんなに悪くない気も。「父に評価されたい息子」というアイアンマンシリーズのテーマも盛り込まれている。


8.『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013年)★
監督の力量がないのか、テンポも見せ方も悪く、ドラマチックな出来事が続いている割には、単調な出来に。ソーの家族もの(父の危篤、弟の裏切り、母の死、恋人の重病)と世界の危機がうまくシンクロせず。敵もまたしても魅力なしで、すぐに忘れてしまう。


9.『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年)★★★★★
これが今の所『シビルウォー』と並ぶMCU自己ベスト。政治サスペンススリラーとしてよくできているのと、監督のルッソ兄弟の硬質なアクションがクオリティを高くしている。ただ公開から5年すると、これがスノーデンによる暴露事件とリンクしていて当時タイムリーな話題だったことがわからなくなってしまう(Google、Yahoo、FB、Youtubeなどが政府の要請で個人の閲覧記録を提供していた)。
「自由を守るために社会に危険な人物は事前に排除する」というのが政府なら、「では誰がそれを決めるのか」という命題が提示される。本作でキャプテンアメリカは政府や組織を信用しない、「政府は小さく、個人の権利や自由」というリバタリアンの考えを代弁している。当時は、リベラルを主張していたオバマが大統領になると国民の監視化を進め、リバタリアンの失望を買ったことも作品に反映している。


10.『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年)★★★☆
シリアス路線のMCUから一転、初期のスターウォーズ的なチームプレイが楽しい娯楽作。幻に終わったホドロフスキーの『DUNE』のデザインのクリス・フォスが関わった色彩が派手な宇宙船や、「チェリー・ボム」「月世界の白昼夢」「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」などの70年代ポップスもうまく映画にマッチ。欠点はまたしても敵に魅力なし。


11.『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年)★★
2度目の祭りは、思ったように盛り上がらなかった。というのも、そもそも危機(ウルトロンの出現)は自らが招いた結果で、世界に多大な迷惑をかけたことの回収ができていないので、「よかったよかった」とはならない。話も舞台も飛びすぎで、散漫になっている。アクションもダレる。それでも各キャラの絡みは楽しい。ヴィジョン出てきた時は「これアリ?」と当惑したが、最後のみんなで光線シーンの頃には、これはこれでアリかなあと思えるように。しかし不完全燃焼気味であることは間違いない。


12.『アントマン』(2015年)★★★☆
世評は低いかもしれないが、かなり好きな方。大きくなりすぎた世界をここで一般家庭レベルまで戻したのも、コメディ路線も、美男美女が出てこないのも好印象。お父さんにとっては世界を救うより、家庭を救う方が切実なのだ。アリ軍団とか「ミクロキッズ」を思い出した。


# by mahaera | 2019-04-22 11:33 | Comments(0)

MCU フェーズ1 『アイアンマン』(2008)から『アベンジャーズ』(2012)までの6作品の感想まとめ


祝!『アベンジャーズ/エンドゲーム』4/26公開というわけで、昨年末からMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)第1作から順に見直している。21本あるから大変だ。
出演俳優と共に長い旅をしてきた気持ちになるのは『ローザ・オブ・ザ・リング』シリーズのようなもの。
ということで、過去作を見ながら自己五段階評価。
これはいつもの映画評価とは関係なく21作見て、一番ダメなのを★、一番良いのを★★★★★にして、その中で点数をつけている。今回はフェーズ1の6作を紹介。皆さんのお気に入りは?


1 .『アイアンマン』(2008年)★★★★
 見直してもアイアンマンシリーズではこれが一番。ロバート・ダウニー・Jrの魅力全開で、これがなければ後が続かなかったかも。軍需産業批判もチクリ。

2.『インクレディブル・ハルク』(2008年)★
 MCUで見ていて退屈したのは、これか『ダークワールド』ぐらい。エドワード・ノートンはうまい俳優だが、ブルース・バナー役には合っていないし、リヴ・タイラーも学者に見えないし、敵も魅力がない。ハルクのCGIもイマイチと、すべてがかみ合っていない。

3.『アイアンマン2』(2010年)★★★
 僕が最初にリアルタイムで観たMCU映画。「結構面白いじゃない」という感想だったが、再見すると話が詰め込みすぎか。でもここでMCUの世界観やキャラ設定が確立したと思う。

4.『マイティ・ソー』(2011年)★★
 制作前に『キック・アス』のマシュー・ボーンからケネス・ブラナーに監督が変わり、重い宮廷ドラマを目指したのかもしれないが、うまくいっていない。CGIのアスガルトも今となってはイマイチか。

5 .『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年)★★★
 「キャプテン・アメリカ」って名前、格好悪いなあと期待度薄かったが、しっかりと大人の映画として機能していて驚いた。第二次世界大戦物としても楽しめる。レトロな時代の特殊効果が得意なジョー・ジョンストン監督起用は成功。ラストの大技で現代にキャップを蘇らせたシーンは、自作に期待マックスに。

6.『アベンジャーズ』(2012年)★★★★
 数年間、お布施を払って見てきた甲斐がありました(笑)。いちいちヒーローが登場するシーンで気分がアガる。こう言うオールスター映画は概して“まあまあ”なことが多いが、すべてのキャラを立たせ、反発させ、そして結集させる交通整理能力はすごい。簡単そうに見えて多くの映画が失敗しているので、なおさらだ。唯一の不満は、敵が雑魚すぎ。チタウリ軍団はショッカーの戦闘員並みの扱い。それでもラストのトニーの自己犠牲からの落下シーンは、サイボーグ009の地底王国ヨミ編を彷彿させ、アガる。


# by mahaera | 2019-04-21 12:54 | 映画のはなし | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編]前1200年のカタストロフとオリエントの混乱/その3 出エジプト記

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(写真)シナイ山の日の出。今ではユダヤ、キリスト教徒にとって有名な巡礼地だが、そもそもこのモーセが登ったシナイ山は旧約聖書の記述からするとこの場所ではなかったという説も数多くある。が信じる者からすれば、どこでもいいのである。

モーゼに率いられた「出エジプト」は本当にあったのか。
そもそも旧約聖書を、歴史書としてみていいかという問題もある。
旧約聖書の通りなら、エジプトから壮年男子だけでも60万人、家族を入れたら200万人という規模のヘブライ人の移動があったことになるが、それは有り得ない。
このころのエジプトの都テーベ(ルクソール)でさえ人口は7万人程度だったのだから、本当は数百人だったのではないか。
ともあれ、世界史の中では「出エジプト」はあったのか、あったとしてもどの程度の規模だったのかは、今もよくわかっていないのだ。
ただ、あったとしたら、ラムセス2世の長い在位時代の前1250年ごろだったという。

また、ヘブライ人が一神教になったのもエジプトにいる間という説もある。
「世界初の一神教」と言われているのが、前14世紀にエジプトのアメンホテプ4世が始めたアトン信仰だ。
他の神を崇めることを禁止したこのアマルナ革命はアメンホテプ4世の死後に頓挫したが、当時エジプトに移り住んでいたヘブライ人の間で広がったというのである。

「出エジプト記」の中で示される「十戒」の最初は「汝は私の他に何者も神としてはならない」だが、これは深読みすれば「十戒」以前のヘブライ人は多神教だった、あるいは多神教の人々もいたことを示している。
また次に「汝は自分のために刻んだ像を造ってはならない。」と偶像を禁止しているが、これもそれまで偶像を拝むものがいたということだ。

「出エジプト記」でモーゼがシナイ山に登っている40日の間、脱出したヘブライ人たちは待ちくたびれてモーゼの兄アロンに別の神を頼み、偶像として造られた“金の牡牛”を拝む。
当時、牡牛は偶像としては珍しいものではなかった。
エジプトだけでなく、ミノア文明でもインダス文明でも牛は神聖なものだった。
が、モーゼの怒りは凄まじく(まあ自分の仕事ぶりを皆が裏切ったのだから)、十戒の石板を割り、金の牡牛を燃やし、扇動した3000人を殺害する(こわ)。

旧約聖書の「モーゼ五書」のうち、ストーリー的に「出エジプト記」に続くのは「申命記」だ。
これは出エジプトの2年2か月後から始まり、ヨルダン川にたどり着く40年後までを記したもの。
モーゼはそんなシナイ半島からそう遠くないカナン(パレスチナ)に入るまで本当に40年かかったのかだが、当然ながら先住民がおり、聖書の記述を信じるならばそれを滅ぼしながらなので、まあ時間がかかったに違いない。
またこの時代も、ヘブライ人は王に率いられるのではなく、多くの族長に率いられた部族の連合体だった。
それが統一されるまでには、あと100〜200年はかかったのだ。(続く)


# by mahaera | 2019-04-20 12:00 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編]前1200年のカタストロフとオリエントの混乱/その2 ヘブライ人の登場

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(写真)トルコ東南部にあるシャンルウルファは、トルコではアブラハムの生誕地と信じられている(イラクは自国のウルと主張)。古代ローマ時代にはエデッサと呼ばれていた。これはそこにある「聖なる魚の池」。モスクの中庭にある。

ユダヤ人の先祖・アブラハム
旧約聖書によれば、ヘブライ人(自称はイスラエル)は、もともとチグリス・ユーフラテス川上流地域で遊牧生活を送っていた。
最初の預言者となる族長アブラハム(イスラーム教ではイブラーヒーム)がその祖先という。
「創世記」では、天地創造、アダムとイブ、カインとアベル、ノアの箱舟、バベルの塔と神話的な話が続き(1章から11章まで)、その後に歴史も混じったようなアブラハムの話(12章から25章まで)が続く。

カルデアのウル(イスラーム教ではトルコのシャンルウルファとされている)出身のアブラハムは一族を連れてカナン(現在のパレスチナ)を目指すが、途中のハランの地(現在のトルコのシャンルウルファの郊外)に住み着く。
アブラハム75歳の時にようやくカナンの地への移住を果たすが、その後、飢饉に襲われてエジプトの地へ移り住んだ。
やがてアブラハムの一族はエジプトで財産を築くことができ、カナンの地へ戻った。
その時、ヨルダン川西岸に住んだアブラハムに対し、弟のロトの家族はヨルダン川東岸(ソドムやゴモラがある地)に移り住む。
アブラハムと妻サラとの間には当初、子供ができず、アブラハムは奴隷のハガルを妾としてイシュマエルが誕生する。
しかし正妻サラとの間にイサクが生まれると、ハガルとイシュマエルは砂漠に追いやられ、アラブ人の祖先となった。
これは「創世記」の記述だが、それをそのまま実際の歴史に当てはめることはできない。
ただし、当時(旧約聖書が編纂された頃)のヘブライ人が信じた「歴史」であることは確かだ。

「出エジプト記」前編
ヘブライ人はやがて集団でカナンから南下して、エジプトに移り住んだ。
これが歴史上のいつのことかというと、彼らに“好意的な王朝”ということで、地中海東岸からやってきてエジプトを支配したヒクソス王朝時代(前18〜16世紀)と言われている。
ヘブライ人はおそらく、ヒクソスと共にエジプトへやってきたのだろう。
やがてエジプトはヒクソスを追い出して新王国を築いたが、その後もヘブライ人はエジプトにとどまった。
この時、エジプト人に「ヘブライ人」と言われるようになったらしい。
旧約聖書によれば、奴隷として迫害されたヘブライ人は、指導者モーゼに率いられてエジプトを脱出し、シナイ半島を経てカナンの地へと移り住んだ。
ただし、旧約聖書にはエジプトの史実上の王名がないこと、エジプト側にヘブライ人の脱出の記録がないことから、それがいつか、本当にあったことなのは今も特定できていない。(続く)


# by mahaera | 2019-04-19 12:26 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)