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旅行・映画ライター前原利行の徒然日記

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子供に教える世界史[古代編]古代オリエント文明(前3500〜前2300年ごろ)2・エジプト古王国時代(その6)

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(写真)カフラー王のピラミッド。頂上部分に化粧岩が残っている。


ピラミッドは何のために造られた?

ピラミッドが何のために造られたかは、
実はいまだに正解が出ていない。
ヘロトドス(古代ギリシャの歴史家、BC5世紀)の時代から、

王墓だと言われていたが、内部空間はほとんどなく、
ほとんどが石でびっしり埋め尽くされている。
のちに「王の間」「女王の間」と名付けられたわずかな内部空間にも、王の遺体はなかった。三人の王の名が付いているが、

それも本当にそうなのかはあてにはならないのだ。
「ピラミッド」という名もギリシア人が2000年後にそう呼んでいただけであり(ギリシア語)、建てられた当時の本当の名前はわからない。

ピラミッドと並ぶギザの名物、スフィンクスもそうだ。
ヘロトドスはスフィンクスのことについて触れていないが、
当時は砂に埋もれていたのだろう。
「スフィンクス」は、謎かけをして答えられないものを食べてしまうギリシア神話に出てくる怪物だ。
ギリシア神話ではオイディプス王により謎を解かれて死んでしまうが、このギリシア神話のスフィンクスと、古代エジプトのスフィンクスは関係がなく、古代ギリシア人が
似ているからそう呼んだに過ぎない。
時代的には三大ピラミッドよりも少し前の時代に
作られたと言われる。
このスフィンクスは数百年ごとに砂に埋もれたり、
顔を出したりしていた。
新王国時代のトトメス4世が掘り出したり、ローマ皇帝が補修を行ったりしたのち、イスラム時代には忘れられた存在になる。

18世紀にナポレオンがエジプト遠征をした時は、
砂の上に顔だけ出した状態だった。

知らない人もいるだろうが、
ピラミッドの容姿は現在の姿とは異なる。
無骨な石積みの姿で馴染んでいるが、
建設当時はピラミッドの表面は石灰岩の化粧岩で覆われていた

なので、太陽の光を受けて遠くからわかるほど輝いていたと言われる。
当時のエジプトは太陽神信仰だったので、
太陽と関係あるのだろう。
しかしこの石灰岩は白ではなく、赤く塗られていたという説や、

表面に文字や描かれていたという説もある。
いずれにしても、数千年かけてそのほとんどが剥がされ、

カイロの町の建設に転用されてしまっている今では推測するしかない。
ただしカフラー王のピラミッドの上部には、
今も化粧岩が少し残っている。


エジプト古王国の終焉

三大ピラミッドを建設した第5王朝も後期になると政権が弱体化していく。
肥大化した官僚機構を縮小しようとする試みがなされるが、
たいてい失敗し出費が重なる。
前2322年の第6王朝のころになると、
その衰退には拍車がかかっていく。
ピラミッドの規模も小さくなり、技術も衰退していく。
この頃メソポタミアではアッカド王国が初めてシュメールとアッカドを統一し、はるか東方ではインダス文明が全盛期を迎えていた。

前2145年、第6王朝が終了し、第7王朝が始まるが、

この時代は地方分権で権力が乱立する混乱期だった。
エジプトは南北に分かれ、第一中間期に入る。
次に上下エジプトが再統一されるのは、前2040年。
第11王朝のメンチュヘテプ2世の時で、
ここから中王国時代が始まる。
メソポタミアではまもなくウル第三王朝が滅亡し、
東地中海ではクレタ島のミノア文明が栄えていく頃だ。
(続く)


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# by mahaera | 2018-11-20 11:35 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

Mamatos 2ndCD「Chase the Cloud」トレーラー完成!



出たのは8月だけど、忙しさにかまけていて
宣伝ほとんどしなかった、自分のバンドMamatosの2ndCD「Chase the Cloud」。
ようやくトレーラー(予告編)を夜なべして作ったので、よかったら見てください。
iMovieで作成。
んで、良かったら買ってくださいねー(笑)。

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# by mahaera | 2018-11-17 10:42 | ぼくの音楽・バンド活動 | Comments(0)

最新映画レビュー『モダンライフ・イズ・ラビッシュ ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~』 薄っぺらなドラマ




2017年/イギリス
監督:ダニエル・ギル
出演:ジョシュ・ホワイトハウス、フレア・メーバー、イアン・ハート
配給:SDP
公開:11月9日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷にて公開中

BlurのベストアルバムをCDショップで購入しようとした女性ナタリー。
それにリアムが声をかけたことから、2人の付き合いが始まる。
リアムはロックバンドをしているが、なかなか芽が出ない。
ふたりは一緒に暮らし始めるが、ナタリーはリアムを支えるために夢を諦めて就職。
しかしふたりの心はすれ違っていく。

2000年代を舞台にした英国ロック青春もの。
あるある感は親しめるのだが、主人公のリアム(当然ながらオアシスのボーカルの名)が子供ぽく自己中で、いまひとつ共感できない。
彼女の方がかわいそうと見てしまう。
映画のタイトルはBlurのアルバムのタイトルと同じで、主人公リアムがiPhone、スタバ、デジタル配信、YouTubeなどについていけないアナログ人間で、便利生活を否定しているからか。

好きなジャンルの映画なのだが、ストーリー、キャラ設定とも、深みのない書き割りの青春もので、なんだかダメなテレビドラマとかマンガを見ているような感じ。
どんどん置いてけぼりになる。細かい設定を楽しむことぐらいしかできなかったな。

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# by mahaera | 2018-11-16 11:17 | 映画のはなし | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編]古代オリエント文明(前3500〜前2300年ごろ)2・エジプト古王国時代(その5)

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(写真)ギザにあるクフ王のピラミッド。バスや馬から見ると、いかに大きいかわかる


ピラミッド建設黄金時代
前2600年頃に第3王朝から第4王朝へと変り、
ピラミッドは途中で角度が変わるスネフェル王の屈折ピラミッドなどが作られ、いよいよクフ王、カフラー王、メンカウラー王の三代の王によるギザの三大ピラミッドが建設される時代になる(前2550〜前2490年ごろ)。
なかでもクフ王のピラミッドは底辺約230m、高さ約140m(建設当時は146.5m)あり、当時の高い技術水準がわかる。

ギリシアの歴史家ヘロトドスは、
クフ王はこのピラミッドの建設のために強制労働を国民に強いて、奴隷を酷使したと述べており、
そうしたイメージが今にいたるまでついてしまっているが、
近年の研究ではそうではなく、「失業者対策」の意味も兼ねていたという説が有力になっている。

石材はアスワンで大きく切り出され船で運ばれ
ギザに近いナイル河畔の石切場でブロック
整えられて運ばれる。
ピラミッド建設の主要期間は、増水となる農閑期の4か月だ。
この時期はナイルも水量を増しているから、
川の流れも早かったろう。
建設現場近くには労働者村が築かれ、
そこで労働者は家族たちと暮らしていた。
食料はファラオの食料庫から提供されており、パンやビール、精がつくようにニンニクとタマネギが配られたという。
食うにも困る人々は、
ここで働けば少なくとも食は補償されたわけだ。
また、徴用されたとしても、当時のエジプトの人口からすると数年から10年に1度、それも4か月ぐらいの働きなので、古代中国の兵役に比べればさほど負担ではなかったろう。
しかもクフ王のピラミッドは建設に30年もかかった
というから、早く完成することが
そもそも目的でなかったのかもしれない。
ピラミッド建設のようなこうした大規模な公共事業は、
それ以外の効果ももたらした。

エジプト各地から人を集めるのには、各地域の正確な人口を知らなければならないから、人口調査が行われたことだろう。
また、様々な地方から来る人々の間に共通言語が生まれたり、同じ神を信じることから
エジプト人意識も進んだりしたことだろう。
大規模な土木工事には官僚制の整備も必要であり、またファラオにならない王族に役職を与えるのにも好都合だった。

(続く)


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# by mahaera | 2018-11-15 17:02 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

「子供のための世界史」関連本紹介4(古代オリエント)その1「毛皮と人間の歴史」「シュメール―人類最古の文明の源流を辿る」

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毛皮と人間の歴史
 紀伊國屋書店 2003年 西村三郎

図書館で探したけど、ありそうでなかった人間の衣服歴史本。

この本はタイトルにある通り、服飾の中でも毛皮に絞ってあるが、最初の頃の古代の章では人類が服を着始める頃のことについても記してあって参考になった。
特に資料から具体的な数字を引いているので
イメージしやすい。
世界史の教科書からは、古代人の服装をイメージしにくい。
まだ布が高価な時代、自分では、古代の一般庶民は手に入りやすいヒツジやヤギ、犬などの毛皮を下半身に身にまとっていたと思っていたが、どの歴史本でも言及していなかったので謎だった。
しかし、この本ではローマ時代の物価の資料で、
その3種の皮が取引されていたことが出てきて
ようやく納得がいった。中世以降は、
具体的な毛皮の貿易量が出てくるので、これも参考になる。
★★★☆


シュメール―人類最古の文明の源流を辿る
 アリアドネ企画 1998年 ヘルムート ウーリッヒ

タイトルのようにシュメール文明の研修者による解説本なのだが、構成のせいなのか、翻訳のせいなのか、大まかな流れがわかりにくい。
ページを読み進めていっても、50ページ前からどのくらい歴史が流れていったのかがわかりにくいのだ。
もちろん一冊まるごとシュメールなので、
詳しいことは詳しいのだが、読み終わっても、
あまりシュメール人のことが生き生きと伝わってこないのが
残念。★★


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# by mahaera | 2018-11-13 11:01 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

子供に教える世界史[古代編]古代オリエント文明(前3500〜前2300年ごろ)2・エジプト古王国時代(その4) エジプト初期王朝時代


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(写真)サッカーラの階段ピラミッド

さて前回、エジプト神話でオシリスの息子のホルスが、
父の弟で仇であるセトを打ち負かして王になったと述べた。
これは初期王朝のころは、セト神とホルス神を信じる
グループがおり、その抗争後、
和解して統一したということかもしれない。
ただし初めてエジプトが統一されたころは、
王はまだ上エジプトの有力者の中の第一人者にすぎなかった。
だから強力な王権を確立するために、首都を下エジプトに近いメンフィスに移し、各地に遠征も行ったようだ。
第二王朝のころにはエジプトが青銅器時代に入り、
シナイ半島にある銅山を手に入れている。

この初期王朝時代に、古代エジプトの文字であるヒエログリフが生み出された。これは絵文字から発達したもので、
やがて早く書きやすいようにやがて様式化されていく。
神官文字(ヒエラティック)からやがてもっと簡略化された民衆文字(デモティック)が作られるが、
それはもっと時代が下ったころだ。

書記は穀物の量や家畜の頭数を調査して税の基準とし、
また土木事業の進行具合を記録し、
戦時には軍団にも同行して記録を残した。
記録は木製のパレットに赤と黒の絵の具を入れ、
葦の筆でパピルスの紙に文字を書いた
神殿には膨大な書類があり、専門の書類整理係がいた。
シュメール人が粘土板に楔形文字を刻んでいたころ、
エジプト人も同じようなことをしていたのだ。
世界史の中で文字の発達は、まずは税の管理から始まった。
しかし書類がパピルスだったエジプトならいいが、
粘土板だったメソポタミアの書記は大変だったろうな。
上司に「おい、去年の資料持ってこい」と言われると、
その重労働におびえたことだろう。
粘土板100枚とか重そうだもの。


ピラミッド建設の開始(エジプト古王国時代)

さて、次に続く第3王朝から第6王朝までの約500年間(前2686〜前2181年)が「古王国時代」だ。
エジプトは上下エジプトの境界であるメンフィスを都として栄え、ピラミッドが数多く建設された。
この時代に王であるファラオの力は確立し、
神と同一視される神権政治が確立した。
ピラミッドが最初に作られたのは、
第3王朝の2代目の王ジェセル(前2630年頃)の時で、
それがサッカーラにある階段ピラミッドだ。
石造りの巨大建築としてはエジプト初で、
建設当時はピラミッドの周辺に王宮や神殿もある
複合施設だった。
最初ということで建設中に何度も計画が変更され、
このピラミッドだけ底辺が正方形ではない。
この階段ピラミッドは形がメソポタミアのジッグラトに似ているので、その影響を受けたというのが定説だ。
それがエジプト独自で発展していき、
方錐形の「真正ピラミッド」に発展していく。(続く)


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# by mahaera | 2018-11-12 14:02 | 子供に教える世界史・古代編 | Comments(0)

最新映画レビュー『ボヘミアン・ラプソディ』 クイーンというよりフレディの半生を描いた伝記映画。王道の作り


ドドパッ、ドドパッ、we will we will ROCK You !

という訳で、日本でもものすごい宣伝費かけている
フレディの半生を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』、
公開になったので紹介です。
この映画、試写が日本でもギリギリだったので
ちょっと心配したけど、中身はひとまずホッとする出来。
監督がちょっと苦手なブライアン・シンガー(『Xメン』シリーズ)なんで外したらと思ったけど、かなり王道というか、
ストレートすぎる作り。
『グレーテスト・ショーマン』ぐらい、深読み不要なわかりやすい作品だ。

映画は、クイーンというよりフレディの映画で、
フレディがクイーンに参加するあたりから、
1985年の伝説のライブエイドのパフォーマンスまでを描く。
このあたり、もっとアルバムやシングルごとにいろんなエピソードを見せて欲しいところなんだが、わりとサクサク進んで行く。
クイーンと日本の関係もセリフでさらっと触れられるぐらいで、ほぼ無視されているのが残念。
正直、クイーンの他のメンバーの描き方は書き割り背景に近く、内面にはほぼ踏み込んでいかない。
あくまでフレディの物語を進めるための進行役といった感じだ。
でも、ときどきサービスで名曲誕生秘話も入れている。

この映画で知ったのは、フレディの上顎の歯が
ふつうより4本多いということ。
そのため、口元がむきむきっとしているのだが、
映画でもバンドにボーカルとして入りたいとフレディが言うと、
メンバーに「歯医者に行け」的に言われるシーンがある。
あとは、クイーンのデビューの頃は印パ戦争があったころなので、イギリスには難民も多かったのだろう。
「パキ野郎」と一般人に罵られるシーンがあるが、
当時、日本のファンはフレディがインド系ってほとんど知らなかったと思う。

フレディの出生名は、ファルーク・バルサラ
生まれたのは父親の仕事でアフリカのザンジバルだが、
8歳からはムンバイで成長。
ロックバンドなどを結成するが、ボリウッド映画の
音楽の影響も受けていたようだ。
17歳の時にイギリスに家族で移住するが、
映画では幼少時代のことには触れてはいない。
ただし、フレディの家族のシーンで、
彼が自分の出自にコンプレックスを持っていたことが示される。

クイーンとしてデビューしてからのバンドの成功物語は、
あっさり、ひとすら登り調子として描かれているが、
それと並行してフレディの性についてもきちんと描かれる。
今ではフレディがゲイであることは誰でも知っているが、
当時はそれは噂程度だった。
最初の頃は、女性の恋人を連れて来日もしていたし。
映画では、フレディがメンバーから孤立していく様子を、
スタッフひとりの悪者に集約しているが、実際はどうだったのだろう。
映画なので史実通りでなく、
余計な枝葉の部分は切られているのだが。

ドラマ部分は物足りないところは多い(テレビ的というか、昔の娯楽映画を見ているぐらいさらっと進む)が、音楽シーンになると俄然盛り上がる。
何だかんだで、ライブエイドの演奏シーンを再現したクライマックスは、鳥肌ものだ。
大観衆をCGで作ったのかな。
これは劇場の大音響で見ないとダメでしょ。
あ、あとフレディ役のラミ・マレックさん、
熱演しているが似てない
これは当初の配役のように、サーシャ・バロン・コーエン(ボラットさん)にやってほしかったかも(笑)。
★★★

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# by mahaera | 2018-11-11 13:01 | 映画のはなし | Comments(0)